週末にダブリンのボタニック・ガーデンズ(Botanic Gardens, Dublin 9)でアイリッシュ・ブルーベル(アイルランド/イギリス原産の在来種)に会えなかったことが心残りで、今日は森へ行ってみました。
ダブリンから車で小一時間、カウンティー・キルデアにあるキリントーマス・ウッズ(
Killinthomas Woods, Co. Kildare)へ。国内に何か所かあるブルーベルの群生地の中では、ここがいちばんダブリンに近そうです。

幹線道路を外れ田舎道をくねくねドライブ。細い道の突き当りに森の入り口が現れました
入口に森の中のウォーキング・ルートの案内版がありましたが、それを見る間でもなく、行く手の小径の両側が、まるでブルーの星を散りばめたかのように輝いているではありませんか。

どこまでも広がるブルーの絨毯!

これがアイリッシュ・ブルーベルの「ブルー」、外来種のスパニッシュ・ブルーベルに比べ、断然色が濃いですね
これだけ咲いていたら森全体が甘い香りに包まれても良さそうなものですが、花が下向きだからでしょうか。ほんのり甘い、ちょっぴりライラックにも似たような香りは、かがみこんで鼻を近づけてやっとかぐことが出来る程度に控えめです。
アイリッシュ(ブリティッシュ)・ブルーベルは北西ヨーロッパ原産で、その25~50%がアイルランド/イギリスに自生するそう。
数が減少しているのは、このキリントーマス・ウッズのようなブナやカシ、カバ、ナナカマド…といったアイルランド原産の木々による森が少なくなったからでしょうか。

こちらは花色が薄く見えますが、光の当たり具合のためかと思います

同じ森でも日光が差し込みやすい場所では、花茎が長く伸びていました
入口付近では散歩にやって来たお年寄りグループや、子ども連れのファミリーに会ったのですが、森の深い場所に来ると誰ひとりいなくなり、新緑の木々と、ブルーベルの花々と、私だけ。そのままグブグブと土にでも埋まって、花のひとつとして生まれ変わりたい!…そんな気持ちにさえなってきました。
鳥のさえずりがあまりに美しく、動画を撮りました。森の清涼な空気を、少しでも感じていただけたら嬉しいです♪
ブルーベルの花は妖精や魔法と関連づけられることも多く、花を鐘に見立てて鳴らすと妖精を呼び寄せるとか、群生地には魔法がはびこるとか。
その昔、ヨーロッパ大陸からケルト人がやって来たころのアイルランド島は森に覆われていました。妖精も森と共に人口減少気味でしょうが、こういう場所にはちゃんと生き残っていることでしょう。

花茎が垂れ下がる様子がなんとも愛らしい。そして思い出すのは…↓

先日のオンライン講座でもお話した、映画『ブレンダンとケルズの秘密(The Secret of Kells)』(2009)で描かれたアイルランド古来の森。パンガ・ボン~、パンガ・ボン~♪(©️Les Amateurs, Vivi Film, Cartoon Saloon、アマゾンプラム動画より) ※過去ブログ参照→
「ケルズの書」をめぐるアニメーション映画『ブレンダンとケルズの秘密』(2021年4月)
『ブレンダンとケルズの秘密』では、森に群生するワラビの渦巻きも印象的でした。
そんなことを思いながら歩いていたら、ちゃんとありました、見事な「渦巻き」が!

やっぱりケルトの国の森ですね、渦の巻き方がお見事!(コゴミでしょうか)
今年はついに叶えられたブルーベル・ウォーク。あまりに素晴らしかったので、花の見ごろが過ぎる前にまた行きたいなあ、と早くも再訪を計画中です。
来年、日本から皆さんがいらしたらぜひお見せしたい!
- 関連記事
-
コメント
Yama
雨や霜から身を守るためという理由付けをされていることが多いのですが、この花はきっと地霊と交信しているのではないでしょうか。
受粉したあと、果実がどこを向いて実るのかに興味があります。
コゴミは荒毛など生えていないつるっとした姿をしていますから、これはsilver fern の一種?この名前のラグビー・チームがありますか。
それにしても、羨ましくてワタシ下を向いています。アイルランド行きの旅費を貯めなくては。
2021/05/12 URL 編集
naokoguide
「地霊と交信」…ゾクゾクしてきました!この花は、モンゴメリが言うところの「土地の精霊」の化身かもしれませんね。妖精を呼び寄せると言われるのもうなづけます。
Yamaさんのブログのブルーベルの考察も拝見しました。ブルーベルは北米大陸ではあまり見られないようですから、アンとダイアナがモーガン夫人の訪問に備えて摘んだブルーベルは、このブルーベルではないんですよね。
咲き終わったら果実を見に行ってご報告しますね。
ぜひいつか、Yamaさんをブルーベル・ウォークにご案内したいです!
2021/05/12 URL 編集