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もうひとりのマイケル・コリンズ、アポロ11号の3人目の宇宙飛行士

人類を月に初めて着陸させることに成功したアポロ11号の宇宙飛行士のひとり、マイケル・コリンズ(Michael Collins, 1930 – 2021)さんが、一昨日(4月28日)、90歳で永眠されたと報じられました。

奇しくもこの日、脳科学者の茂木健一郎さんのVoicyをランニングしながら聞いていて、アポロ・チョコレートはアポロ11号の月面着陸と同じ1969年に発売されたので、その宇宙船にちなみあのような形になった…という話題に「へぇ~、知らなかった!」と感動していた矢先でした。(←地球へ帰還した司令塔コロンビアの形!)

アポロ11号と言えば、月面に最初に降りったニール・アームストロング船長が有名ですが、恥ずかしながら彼の名前しか記憶していませんでした。アームストロングさんに続いて月に立ったバズ・オルドリンさんの名も聞けば知っている…という程度で。
歴史的なアポロ11号のミッションのことをあまりにも知らないなあ、と思い、あらためて調べてみて、宇宙船にはもうひとり飛行士が乗っていたことを知りました。その名もマイケル・コリンズさん、アイルランド独立時代の英雄マイケル・コリンズと同名ではないですか。
アイルランドの歴史におけるマイケル・コリンズとは、北アイルランドを除いた南部アイルランドのみの独立に反対する仲間たちを、「このまま戦争が続けば犠牲が増えるだけだ。名誉のための汚名なら喜んで着せられよう」と、伝説に残る名スピーチで説得しようとした人。(説得しきれずに独立を進めたことで、内戦が勃発。その最中、31歳で暗殺されてしまうのですが…)
そのマイケル・コリンズと同名の宇宙飛行士が、アポロ11号に搭乗していたけれど月面には降りず、ほかの2人が月にいる間、(アポロ・チョコレート型の!)司令塔に残って月の周りを飛行していた人でした。月に降りた2人ほどには注目されず、「忘れらた宇宙飛行士」と言われることもあるようですが、考えてみれば仲間と離れて21時間半、宇宙という絶海でまったくのひとりぼっちでミッションを遂行し続けたことの方がスゴイ。

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アポロ11号の3人目の宇宙飛行士、マイケル・コリンズさん(Photo:Public Domain)

アポロ・チョコレートから興味がつながり、宇宙飛行士マイケル・コリンズさんのことを知ったまさにその夜にニュースで訃報が流れたので、あまりの偶然に驚きました。その人の存在と偉業を知ったその日に、亡くなったニュースを聞くなんて。

訃報とともにコリンズさんがアイルランド系アメリカ人3世であることも報じられ、またひとり、偉大なアイリッシュ・アメリカンがいたことを知りました。
昨今、ジョー・バイデン大統領のご先祖のルーツがアイルランドにあることが話題となりましたが、アメリカ人の約5人に一人が大なり小なりアイルランド人の血を引いていることは広く知られています。アイルランドが貧しかった時代に、本国から移民として流出していった人たちの子孫です。
マイケル・コリンズさんもそのひとりで、父方の祖父ジェレマイア・バーナード・コリンズ(Jeremiah Bernard Collins)さんが、ジャガイモ大飢饉後の1860年代、アイルランド南部ウェスト・コークのダンマンウェイ(Dunmanway, Co. Cork)からアメリカに移民したそうです。

ダンマンウェイと言えば、アイルランドの国技のひとつゲーリック・フットボールの優勝杯、「サム・マグワイア・カップ」の名の由来となった、ゲーリッグ・フットボーラーで、アイルランド独立を支持し政治活動に関与した愛国者サム・マグワイア (Sam Maguire Cup, 1877 – 1927)の出身地。彼のお墓もそこにあります。
独立戦争を指揮した英雄マイケル・コリンズの出身地クロナキルティー(Clonakilty, Co. Cork)もその近く。コリンズという姓はウェスト・コークに多いのでしょう。
ちなみに、コリンズを政治組織に誘い入れたのは他でもないマグワイアであり、独立戦争中、マグアイワはコリンズの右腕としてIRAロンドン支局の情報部長として活躍しました。同郷のよしみだったのしょうか、

宇宙飛行士のマイケル・コリンズさんに話を戻します。
月の周りをひとりぼっちで周っていたとき、とくに、月の裏側にいて地球とのあらゆる通信が途絶えていた48分間、さぞかし孤独で不安であったろう…と思うのは凡人の考えで、コリンズさんは生前のインタビューで孤独の恐怖はまったく感じていなかったと言っています。
むしろ、広い宇宙でたったひとりぼっち…という事実をかみしめ、「孤独」に浸って胸を高鳴らせていたよう。

…アダム以来、こんな孤独を味わった人間はほかにはいない
…not since Adam has any human known such solitude


(孤独や恐怖というより、むしろ)自覚、予期、満足、自信、ほとんど歓喜(に近い感情)
awareness, anticipation, satisfaction, confidence, almost exultation


そして、こんなことも言っています。

私は今ひとり、本当にひとりぼっちで、あらゆる既知の生命から完全に隔離されています。数を数えてみるならば、月の向こう側には30億人プラス2人、こちら側には1人プラス神のみぞ知るというところでしょう。
I am alone now, truly alone, and absolutely isolated from any known life. I am it. If a count were taken, the score would be three billion plus two over on the other side of the moon, and one plus God knows what on this side.


※参照→Statement from Apollo 11 Astronaut Michael Collins(NASA)、アポロ11号の忘れられた宇宙飛行士、マイケル・コリンズ(エスクァイア、2019年7月20日)など

なんだか、スゴイ境地ですね。まったく想像のつかない体験!

アポロ11号の司令塔コロンビアは、コリンズさんが設立に尽力し、館長も務めたワシントンDCの国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum)に展示されています。
2001年にワシントンDCを訪れた際、私はこの博物館を訪れているのですが、コロンビアを見た記憶なし。ああ、また見に行かなくては!

ApolloColumbiaMichaelCollins
アポロ・チョコレートにそっくりの形!(Photo:CC-Arjun Sarup, Wikipedia)

そして余談ですが、明治チョコレートの工場見学に、アポロ・チョコレートとアポロ11号にちなむ見学ツアーがあるそうです。
「月面・宇宙探検ツアー」の世界観を演出した「アポロ見学ライン」…との売り文句。今後日本へ行ったときに、このツアー、参加してみたいかも!(笑)
明治なるほどファクトリー坂戸の見学内容
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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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