素晴らしいお天気も今日を限りに、明日から下り坂の予報。
この晴天を最大限楽しもうと、午後からダブリン山脈の裾野にあるボーハナブリーナ貯水池(
Bohernabreena Reservoirs, Co. Dublin)へ出かけてきました。

「ザ・ウォーターワーク(the Waterworks=上水道)」とも呼ばれ、ダブリン市南部の3万5000世帯へ水道水を供給する貯水地
1883~87年に建設された貯水池は、ダブリン市南部を流れるドダー川と連結しており、ダブリンの飲み水確保のほか、川の水量をコントロールして洪水を防ぐ役割も担っています。建設当時はダブリンに数多くあった、水車を回す水の供給源でもありました。
グレナスモール・バリー(Glenasmole Valley)という風光明媚な谷間にあり、現在はダブリン市街地から車で30分程の距離ですが、19世紀後半まで完全に隔絶された谷間で、英語の影響を受けないゲールタクト(アイルランド語を第一言語として話している地域)でした。今やアイルランド西部の離島や入り江の奥、山奥などのみに残るアイルランド語のネイティブ・スピーカーですが、ここには20世紀以降もかなりの数がいたそう。いわば、ダブリン最後のゲール文化の砦だったわけです。
貯水池は2つあり、駐車場から歩道を10分程歩くと、下の貯水池に出ます。(駐車場はGoogle Mapでは「Bohernabreena Waterworks」と表示)
下の貯水池沿いの歩道は池の北岸にあり日陰になるので、南岸から行けないかと周り込むも、道が続いているか定かでない上、あまりのケモノ道に挫折。
景色は素晴らしく、しばし池のほとりで太陽を浴びながら休憩しました。

自宅から車で20分強でこんな絶景があったとは!空の色が映って池が水色に見えますが、実際は泥炭地特有の茶色です

倒木に腰かけてひと休み。一緒に行った友人が撮影してくれました
グレナスモール・バリーは自然環境が非常に豊かで、湿地、森林、草地に生息するさまざまな動植物が見られることから、EUの特別保護区(EU Special Area of Conservation=SAC)にも指定されています。

下の貯水池の南岸周辺に、上高地みたいな不思議な景観の湿原が。この枯れた木の根っこ群が泥炭の予備軍です

湿地帯を好むクックー・フラワー(Cuckoo Flower)が群生していました。カッコウが鳴くころに咲くので「カッコウの花」と名付けられたそう。和名はハナタネツケグサ

イエロー・スカンクキャベツ(Yellow Skunk Cabbage)も咲いていました。北米産の外来種で、ザゼンソウ/水芭蕉の親戚。『赤毛のアン』でアンが、「バラが、アザミやスカンクキャベツなんて名だったら、あんなにステキとは思えないわっ!」って引用してますよね。確かにヒドイ名前(笑)スカンクみたいに悪臭がすることからついたと言いますが、そんな匂いするかなあ…

森の木陰にはウッド・アネモネ(Wood Anemone)も群生。本当に可愛らしい花。日本のヤブイチゲですね
下の貯水池を過ぎると、歩道は池沿いをそれて上り坂に。数分のぼると上の貯水池に出ました。

こちらの方が泥炭の度合いが少なく水が澄んでいます。水道水になる貯水はこちらのよう
上の貯水池は歩道が南岸にあり、舗装もされておらず、歩くのが楽しい道でした。写真を撮り忘れましたが、ブラックソーン(Blackthorn、スピノサスモモ)の白い花が咲き誇り、蜂がぶんぶん飛びまわり、小さな楽園のよう。
先日のオンライン講座で「ケルズの書」の紫色のインクの原料に使われたとお話したライケン(lichen)もありました。これが生息しているということは、空気の洗浄度が高いということですね

ハリエニシダ(gorse)も満開間近。この晴天でいっきに花開いたことでしょう
願わくば貯水池周りを周遊することが出来ればよかったのですが、道はそのように作られておらず、ループ状に歩くには貯水池沿いを離れて長い距離を行かねばならないことが分かり、もと来た道を引き返しました。歩数計によると、往復で8.8キロ歩いたことに。
昨日の泳ぎ疲れも合わさって全身ぐったり、太陽をさんさんと浴びたあとの特有の疲れがなんだか心地よく、夏のホリデーで思いっきりサーフィンしたあとの気分がよみがえりました。
あ~、楽しかった!

この谷間には当地原産の赤リスがいるそうですが、会えませんでした。代わりに、駐車場へ戻る道すがらブラック・シープ発見。でも、なかなかこちらを向いてくれない~笑
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コメント
Reico
2021/04/28 URL 編集
naokoguide
楽しんでいただけて、私も嬉しいです。パンデミックの行動制限のおかげで、身近な名所を発見する良い機会になりました。
いつも服装をほめてくださり、ありがとうございます。なんだか小学生みたいな恰好ですよね(笑)
短い「夏」は終わってしまい、次はいつ来るやら…笑
昨日からまた、気紛れなアイリッシュ・ウェザーに戻ってしまいました~(涙)
2021/04/28 URL 編集