今月始めからラグビーの
シックス・ネイションズ(Six Nations Championship=六カ国対抗)が始まっています。
シックス・ネイションズとは、
イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド(北アイルランドも含む)、フランス、イタリアの北半球6カ国の代表チームが総当たりで競い合う、世界的に知られるラグビーのチャンピオンシップ。毎年2~3月頃の数週間にわたって開催されます。
あさって
24日(土)は、いよいよアイルランド対イングランド戦。しかもダブリンで試合が行われるとあって、試合当日に向けて日に日に盛り上がりを見せています!
IFSCに設置された野外スクリーンでは、昨日辺りからすでにイベントが始まっているようです。

緑(アイルランド)と白(イングランド)が操り人形状態(兼命綱)で試合を…!!

目玉オヤジ(!?)の応援団も登場~!
今年のアイルランドでのシックス・ネイションズは、歴史の一コマに大きな足跡を残すことになったと言われています。
というのも、
ラグビー用のラウンズタウン・ロード(Lansdowne Road)球場が現在改装工事中のため、本来はゲーリック・スポーツ(アイルランドの国技であるゲーリック・フットボールとハーリング)専用球場であるクローク・パーク(Croke Park)が試合会場となっているからです。
クローク・パークは、コンサート会場として開放されることはあっても、
2005年まではラグビー、サッカーの使用を決して認めなかった筋金入りのゲーリック・スポーツの殿堂。
特にかつての支配国・英国発祥のスポーツであるラグビーには、長い間、心情的に強い拒否反応がありました。それもそのはず、
英国からの独立戦争中の1920年に、ゲーリック・フットボールの試合が行われている最中のクローク・パークに英国軍が発砲し、30人の死者を出すという事件があったのです。
この出来事はのちに「血の日曜日事件(
Bloody Sunday)」と呼ばれ、英国とアイルランドの歴史的な確執を象徴する事件のひとつとして語り継がれています。
(映画
『麦の穂を揺らす風』をご覧になられた方は、冒頭部分のハーリングのシーン、それに続くアイルランド人青年がブラック・アンド・タンズに殴り殺されるシーンを思い出されることと思います。ちょうどあの時代の話)
スポーツに国境はないと言われますが、それは平和な時代の話。
アイルランドではスポーツでさえも自由に行えない、さらには独立以降も血塗られた歴史を象徴する出来事として記憶される時代が長く続いていたのです。
あれから90年近い年月が経ち、クローク・パーク初のラグビーの試合が行われたのが今年の2月11日(日)、シックス・ネイションズのアイルランド対フランス戦でした。
残念ながら試合には負けてしまったアイルランドですが、
かつての支配国のスポーツが大観衆に見守られて平和的に行われたという点で、大変意義深い試合でした。
あさってはいよいよ宿命のアイルランド対イギリス戦。
90年前には血を流したその場所で、
敵対していた2つのナショナリティーがついに平和的に同じスポーツを観戦できる日がやってきたのです。
アイルランドの歴史に残るビッグ・ゲームになることでしょう!
★
シックス・ネイションズアイルランド対イングランド 2月24日(土)17:30~(アイルランド時間)
日本では
J-Sportsで生中継されます!…2月25日(日)深夜2:25~(日本時間)
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