先日のオンライン講座「スターウォーズのロケ地!世界遺産スケリッグマイケル」をご視聴くださった皆さんより、アンケートや個人メールでたくさんの感想を頂戴し、感激しております。
今後テーマにして欲しいことなど、参考になるご意見もいっぱい。皆さん、ありがとうございます。
最後のQ&Aで、廃墟となったスケリッグ修道院からは修道士の持ち物や生活の道具などは発見されておらず、12世紀のブロンズ製のキリスト磔刑像が唯一見つかったのみ…ということをお話したかと思います。トラリーのケリー県立博物館(
Kerry County Museum, Tralee, Co. Kerry)所蔵。
後日アンケートで、その写真も見たかった、というご希望をいただき、ああ、お見せすれば良かったなあ…と後悔。実はトークを時間内におさめるため、前日に再度スライドを厳選して削除した中の1枚がその磔刑像だったのです、あぁ~。
匿名アンケートのため、見たいとおっしゃってくださった方がどなたかわからないので、ここで写真とともにご紹介します。ご希望くださった方の目にも触れるといいのですが…!

ブロンズ製キリスト磔刑像、1150年。スケリッグ・マイケル出土。ケリー県立博物館(2019年7月撮影)
小さなもので、せいぜい7~8センチくらいだったと記憶しています。土台があったかもしれないし、聖具の十字架に取り付けられたオーナメントだったかもしれない、との博物館員の方の説明でした。イエスの片手、片足はそれぞれ破損していますね。
発見の経緯など詳細は不明。おそらく修道院の教会の建物から見つかったものだろう、とのことですが、考古学者が発掘調査で見つけたのか、19世紀の灯台建設の際に作業員が偶然見つけたのか、はっきりしないようです。
1150年のものとのことですが、ちょうどそんな頃に修道士たちは島を後にして、本土のバリナスケリッグ修道院(Ballinskelligs Priory, Co. Kerry)へ移住しましたから、修道士の所持品というより、その後に島を訪れた巡礼者が捧げていったものかもしれませんね。
ケリー県立博物館のFacebookページにも、説明と共に写真が掲載されています。→
こちらこのキリスト磔刑像が、現存するスケリッグ・マイケル出土の唯一のもの。(個人所有している人はいるかもしれませんが、博物館なと公的機関で所蔵・保存しているものはほかにはないようです)
バックグランドが不明というのもミステリアスで、もし私が小説家だったら、この像をめぐるドラマが書けそう。中世の修道士の痕跡をたどり、命がけで島にわたった巡礼者の物語…とか。黄泉の国へ行き損ねた修道士が今も島に暮らしていて、このキリスト像が島に戻されるのを待っている…というのもいいかも。(笑)
ケリー県立博物館へは、2019年7月、TV番組のロケハンでディレクターさんとご一緒に行きました。興味深い展示品がいっぱいでしたが、そのときは番組に必要なものだけを駆け足で見学したのみでしたので、機会あれば再度ゆっくり訪れたいと思っています。

古代や中世の暮らしを等身大で再現した展示室が面白かったです。写真は中世の人が履いていた革靴のレプリカ。番組内の再現ロケ用に準備する衣装の参考にさせてもらいました(2019年7月撮影)

博物館外観。目の前のトラリー・タウン・パークには、有名なアイルランド民謡「トラリーのバラ」にちなみ、素晴らしいバラ園があります→
「トラリーのバラ」咲く、トラリー・タウン・パーク(2014年7月)
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