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添乗員仲間と、U2と、キルメイナム刑務所

コロナ禍で旅行会社や観光地の苦境は報じられるものの、私たち現地の観光ガイドや、添乗員さんたちの状況というのはあまり取り沙汰されることがないように思います。
おそらくこういう仕事に就いてる人は世の中的には少数派だからだと思いますが、私の交友関係の中には当然たくさん。昨年より政府なり所属会社なりからの休業補償を受けて静かに暮らしているわけですが、日本の添乗員さんの中にはそれさえも受けられない人もいるようですし、すでに別の仕事(バイト)を始めている人もいます。

海外旅行再開の目処がつかないままに迎えた、コロナ禍2年目。収入の面だけでなく、精神的に追い詰められた気持ちになってもおかしくない状況ですが、私がここまで比較的楽に乗り越えてこられたのは、アイルランド政府の処遇や、身近な友人知人の思いやりのおかげであると同時に、遠く日本にいる仲間の存在も大きかったと思います。
プライベートな友人はもちろん、オンライン講座やヴァーチャル・イベントを通して交流させていただく日本にいるアイルランド・ファンの皆さんや、異業種だけれども「アイルランド」を軸に活動している仲間とのやり取りがどれほど励みになり、刺激となってきたことか。
加えて、常に海外を飛び回っていてめったに会ったり話したりする機会のなかった添乗員時代の元同僚たちが、今やそろって家にいるので、現役添乗員の彼女たちとの交流が再び始まり、定期的にオンラインでやり取りさせていただけるようになったのも喜ばしいことでした。
同業者にしかわからない悩みを打ち明け合ったり、日本の旅行業界の現状をリアルタイムで聞くことが出来たりして、とてもありがたいのです。

添乗員さんたちの会話というのはスゴイです。何がスゴイって、例えばおいしいものの話をしていたとして、「(イタリアの)〇〇町へ行く途中の右手にあるお店で食べる××がさぁ~」とか、まるで近所の商店街で昨日食べたもののことを言っているかのように普通に話すのですから。
先日は、話の脈絡は忘れましたがエリマキトカゲの話題になり、会話に参加していた6~7人のうち、私ともうひとりを除いて全員がエリマキトカゲを見たことがあるという事実に驚愕。「速いんだよね~、走ると、ははは」とか、普通に言ってるんです(笑)。
(残念ながら添乗員時代にエリマキトカゲのツアーに行けなかった私にとっては、エリマキトカゲ=エリザベス一世。襟に大きなピラピラのついた服を着ているから・笑)

添乗員さんたちの世界を股にかけたオモシロ話、雑学の知識というのは大したもので、歴史も宗教もひと通り網羅していますし、世界のおいしいものや珍しいものも知っている。しかも、ただ知識や情報として知っているのでなく、実際に現地で見て、聞いて、食べてますから!

今日は大先輩であるベテラン添乗員のおひとりの、会話の中でふとこぼれ落ちたアイルランドに関するトリビアに感服。
いつも通りに近所をランニング中、キルメイナム刑務所(Kilmainham Gaol Museum, Kilmainham, Dublin 8)の前のベンチでコーヒー休憩していたら、ラインでのおしゃべりが行われていたので私も加わりました。

kilmainhamgaoljuly200321
キルメイナム刑務所(写真は2020年7月撮影)

今ここです~と私の居場所を言うと、すかさず返ってきたメッセージが、「U2のビデオが撮影されたところね」。
えぇ~っ!そんなことまで知ってるなんて。特にU2ファンでなくとも仕事柄そういう話題は網羅しているつもりだったのに、しかもこんなに近所に住んでいながら、その情報拾ってませんでしたよ、私!


1982年リリースの「セレブレイション」(A Celebration)のミュージック・ビデオ。ボノが若い!

キルメイナム刑務所で撮影された映像作品と言えば、北アイルランド紛争下に生きる父と息子を描いた映画『父の祈りを(In the Name of the Father)』(1993)や、アイルランド独立期の対立を描いた『マイケル・コリンズ(Michael Collins)』(1996)、『麦の穂を揺らす風(The Wind That Shakes the Barley)』(2006)など。
それらよりもU2のMVを思い出すってかなりマニアック。(…じゃないのかな?もしかして、映画の方がマニアック?)

「セレブレイション」はU2としては大ヒットというわけではなく、コアなファンのみが知るような曲らしいです。
いかめしい外観の刑務所ですが、刑務所としては優美とも言えるビクトリア時代の造りの中を駆けまわり、1916年イースター蜂起の首謀者たちが銃殺刑に処された中庭でギターかき鳴らし、ドラムをたたいて弾ける若き日のU2を見ながら、制限が緩和されたら久しぶりに刑務所見学に行こう!と思い立ったのでした。
日本との遠隔の何気ない会話で、近所の名所に再び目を向けるきっかけになるとは。

添乗員時代の仲間たち、面白くて、機転が利いて、最強です。当時からいつも助けてられてきたけれど、今も変わらず心強い!
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コメント

sima-s

わ、またU2の文字に(ブログ本旨から外れて)反応してしまったファンです。U2のこと書いて下さってありがとうございます。仰るとおりCelebrationはU2がまだメジャーになる前の初期も初期、二十歳ぐらいのボノたちが皮肉っぽい歌詞をパンク調で歌い飛ばしてたものですね。当時ビデオのボノの赤いパンツが不評だったと聞いています(笑)。
日本でも今年からの緊急事態宣言がさらに延長されました。変異ウィルスの増加でこの先事態が収まる見通しもたちません。
介護の現場でヘルパーさんケアマネさんたちが努力して以前と同じサービスを継続して下さっているおかげで、生き延びています。
ナオコさまの明るいアイルランドレポートが、一人息をつくときに本当に心の糧になります。愛と感謝をこめて。

naokoguide

sima-sさんへ
こんにちは!U2に反応してくださってありがとうございます、嬉しいです。
セレブレイションの内容やバックグラウンド、教えてくださってありがとうございます!
そうか、これは本当にU2初期の頃なんですね。歌詞はShake shake!とかしかちゃんと聞き取れなくて、ネットで調べてみたら平易なようで意味が深くて素晴らしいな、と思いました。イェイツの詩の、U2バージョンみたい(笑)
U2の他の曲の詞も、もっと見てみよう、と思いました。
興味をつなげて、広げてくださってありがとうございます!

心の糧だなんて…嬉しくて涙出そうです。私からも愛と感謝を込めて。
お互い、元気で生き延びましょう!




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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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