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安野光雅さんの「アイルランド小景」

画家/絵本作家の安野光雅さんが、クリスマスイヴに94歳でお亡くなりになられたと先日報じられましたね。
私は安野さんの絵本を持っていた記憶はないのですが、『ふしぎなえ』も『旅の絵本』も身近で親しんでいましたから、おそらく学校や図書館など子どもの目に触れるところに常にあったのでしょう。『旅の絵本』は大好きで、まるで魔法の国をのぞくような気持ちでページをめくっていたことを思い出します。
記念切手にもなっていましたし、日本で安野さんの絵を見たことがない人はいないのではないでしょうか。

2年ほど前、『赤毛のアン』のお友達ユウコさんが、安野さん挿絵の『赤毛のアン』(岸田衿子さん訳)の新刊をプレゼントしてくださいました。あとがきに「アンのすぐれた想像力を大人も忘れないようにするために、読むべき一冊」、「必読の書」、「女も男も読む方がいい」…とさかんに書いておられるのを見て、ああ、安野さんも「キンドレッド・スピリッツ」のひとりだったのね!と知り、嬉しく思っていました。
ダブリンの私の手元に今ある安野さんの絵は、この『アン』だけ。訃報を聞き、物語に散りばめられた挿絵をあらためてひとつひとつ見返しました。

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2018年に出版された『赤毛のアン』(朝日出版社)。良く知られた安野さんの風景画とはまた違ったタッチで、想像の余地をたくさん残してくださっているような挿絵がとてもいい。岸田衿子さんが『アン』を翻訳していたことにも驚き、感激しました

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シャムロック見つけた・笑!『アン』にはクローバーが野一面に咲くシーンがたびたびあるのでそのイメージでしょうか。ひとつだけ四つ葉🍀

世界を旅していろいろな風景を描かれた安野さん。ふと、アイルランドも描かれたのだろうか、と思い調べてみると、ちゃんとありました。

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『安野光雅 カレンダー アイルランド小景 2012』(新潮社)

なんと、安野さんのカレンダー・シリーズのアイルランドがあったんですね!
2012年のものなのでもはや売り切れ&絶版。カレンダーですから中古で手に入れるのは難しいでしょう。ああ、知っていたかった。そして、入手していたかった…。
この表紙はいったいどこなんでしょう。パブの看板でも描かれていればわかりそうなものですが、さすがにこれでは私もちょっと判別できない。雰囲気としてはウィックロウとか南西部?通りすがりの小さな村だけど、電柱があるあたりが、ただきれいなおとぎ話ではない生活感のあるアイルランドの田舎の小村風情をよく表してくださっています。
安野さんがどんなアイルランドを描かれたのか、ほかの絵も見てみたい。安野さんのふるさと島根県津和野町にあるという安野光雅美術館へ行けば原画があるのでしょうか。

そんなことを思い巡らせながら、旅ができない今、安野さんの絵で空想旅行を楽しんでいる方も多いことだろうな…と思うのです。
本当に素晴らしいものをこの世に残してくださいました。

もし『アイルランド小景』カレンダーをお持ちの方がいらしたら、アイルランドのどんな風景が描かれているのかぜひ教えてください!
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コメント

北の国からSHIGE

安野光雅
安野光雅への想いを拝見し、嬉しくなりました。
私も女房も安野光雅の夢のある暖かい絵が大好きで、安野さんの画集を集めました。
十数年前には、津和野の安野光雅美術館を訪れてきました。
津和野城へも登って安野光雅をまねてお城から津和野の街を見下ろして、スケッチしてきました。
以来、毎年、安野光雅の世界の旅シリーズのカレンダーを購入しています。

書棚を捜しましたら、お尋ねの「アイルランド小景・カレンダー」が出てきました!!
表紙の絵は、「アラン島へ:アラン島へむかう連絡船の港がちかい。記録映画「アラン」で、そのきびしい生活を知り、感動した。DVDになっている、必見の映画。」との説明がありました。
1月は「古い町・この町の名は失念した」、2月は「ダブリン郊外・古戦場の史跡」、3月は「一軒家」、4月は「村のバス停」、5月は「デート」、6月は「田舎」、7月は「入り江」、8月は「田舎の鉄道」、9月は「農道」、10月は「保養地」、11月は「広い牧草地」、12月は「通りがかった町」で説明が書いてありますがいずれも具体的な町の名はありません。

アイルランドへの郵便が停止されているので、後ほどカレンダーの絵と説明をメールに添付してお送りしますね。

風景画でも、童話絵本でも、また随筆でも安野光雅の人柄がうかがえて私は大好きです。
産経新聞に月1回連載されていた京都の四季を描いた「洛中洛外」も、もう見ることができないと思うと淋しい限りですね。

naokoguide

Re: 安野光雅
SHIGEさん、こんにちは。
な、なんと!お持ちだったんですね、素晴らしい!内容についても詳しく教えてくださり、本当にありがとうございます。こんなに早く、お持ちの方が現れるとは思いもよりませんでした!

表紙は私の予想は大幅に外れ、アラン諸島へフェリーの港が近いのであれば西部の小村ですね。
それぞれの絵に具体的な地名がないのもいいです。「町の名は失念」なんていうのも、かえって想像力をかきたてられます、安野さんらしい。
やはり安野さんの絵は風景を単にとらえているのではなく、そこに息づく暮らしの一コマをとらえているから魅力なんだなあ、とあらためて思いました。タイトルからすでにそれが伝わってきます。
お時間のある時で結構ですので、メールで見せていただけたら大変嬉しいです。ご親切、感謝いたします。

さすがSHIGEさん、津和野の美術館も行っておられたんですね。そしてスケッチも。
安野さんの絵は日本の中にいつも当たり前にあるようなものとしてとらえていたので、訃報をきいて本当に驚きました。さみしいですね。

Wada

安野先生とアイルランド
Naokoさん、こんにちは。北の国からSHIGEさん、コメント拝見しました。
安野先生のことを書いて下さってありがとうございます。
私も安野先生の作品は大好きですが、2012年のカレンダーが「アイルランド小景」だったとは、知りませんでした。もし、それを知っていたのならば、2013年に先生を撮影した時にアイルランドのお話を伺うことができていたのにな、と残念に思いました。
表紙の絵は、アラン島への連絡船の港に近い、ということであればDoolinの村かもしれませんね。港に登って行く坂道が似ているような気がします。
いつか、機会があれば他の月の絵も見て、どこを描かれたのか想像するのも楽しいでしょうね。安野先生のあの優しい眼差しでアイルランドを旅して、筆を取られたかと思うと、本当に嬉しいですね。
安野先生のご冥福をお祈りします。

naokoguide

Re: 安野先生とアイルランド
さすがWadaさん、やはり安野さんの写真も撮影しておられたのですね!
確かにおっしゃるように表紙の絵はDoolinかもしれませんね。コネマラのRossaveal港へ行く道すがらの景色には見えないなあ、と思っていたので、WadaさんにDoolinと言われてそうか、そちらの港かも…と思いました。
道の曲がり具合、車の駐車スペースの感じがDoolinの村にそっくり。
本当にアイルランドを描いておいてくださって良かった。天国でも絵筆を取り続けておられることでしょう。

非公開コメント

naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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