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9か月ぶりの映画館、『ウルフウォーカー』を観ました

今日は3月以来、実に9カ月ぶりに、数日前に再オープンしたばかりの映画館へ。新型コロナの影響で上映が遅れていたアイルランド制作のアニメーション映画『ウルフウォーカー(Wolfwalkers)』を観てきました。
日本は首都圏ではすでに上映が始まっていますので、本国での上映に先駆けてご覧になられた方も多いことでしょう。

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行きつけのライトハウス・シネマ(Light House Cinema, Dublin 7)へ。入口に大きな『ウルフウォーカー』のポスターが出ていました

座席は事前予約制。前後の列は空席で、予約すると自動的に隣り数席がブロックされます。
館内へ入るときはマスク着用ですが、着席したら外して良いよう。よくわからなかったので近くの人に聞くと、3人くらいがいっせいに振り向いて、外していいのよ!って教えてくれました(笑)。
午後3時45分からの上映回だったので、親子連れも多く和やかな雰囲気。久しぶりの映画鑑賞とあって、大人もちょっぴりはしゃいだ様子。始まる前の今後上映予定の作品トレーラーを観ただけで、館内に笑いやざわめきが響き渡りました。

さて、楽しみにしていた『ウルフウォーカー』は、期待を上回る素晴らしさでした!
『ブレンダンとケルズの秘密』(2003)、『ソング・オヴ・ザ・シー海のうた』(2014)に続く、カートゥーン・サルーン制作のケルト3部作最後の作品だそうで、ほかの2つも大好きですが、これがいちばん完成度が高いのではないでしょうか。
(過去ブログ参照→「ブレンダンとケルズの秘密」この夏、日本で上映

多様な絵柄や線、動きが混じりあっていて、今まで見たこともないような世界を見ているような気もすれば、子どもの頃に見ていたアニメを見ているような気も。親子の愛とか、自分探しの冒険とか、私が幼稚園~小学校低学年くらいの小さな子どもだった頃に見ていた70年代のTVアニメの世界みたいで、ちょっぴり懐かしいような気持ちにもなりました。
監督のトム・ムーア(Tomm Moore)さんは私よりも少し若く、ジブリのアニメを見て育った世代。彼が影響を受けた大作をのちに手掛けることになる才能ある人たちが、駆け出しの頃に関わっていたTVアニメを私は見て育ったわけです。ムーア監督の潮流の大もとを私は知っている!…みたいな気分になりました(笑)。

『ウルフウォーカー』は17世紀のアイルランド南東部キルケニー(Kilkenny)を舞台に、地元に伝わるオオカミ人間(ウルフウォーカーズ)の伝承にインスピレーションを得た物語。
キルケニーは12世紀建立のイギリス時代の城のある古都で、アイルランドの国技のひとつハーリングがさかんな街としても知られます。(アニメの中で、街のいじめっ子たちが競技で使用するスティックを手にしていました)
ちなみにカートゥーン・サルーンのオフィスがあるのもキルケニーです。

個人的に興味深かったのは、オオカミが森にいた時代のアイルランドが描かれている点。
かつてのアイルランドは深い森に覆われていて、物語が設定された17世紀には島の3分の1が森でした。そこにはたくさんのオオカミいて、近隣の国々から「ウルフランド」と呼ばれていたといいます。
ところがイギリス支配のもと、船を作るために森林伐採が進められ、人間の暮らしを脅かすものとしてオオカミ狩りがさかんに行われました。その結果、18世紀終わりにオオカミは絶滅。20世紀初頭にアイルランドがイギリスから独立したときには、国土面積に占める森林の割合はたったの1%になってしまったのです。(植林により現在は11%まで回復)

古代ケルトは森の民でした。ケルトにとってオオカミは聖なる存在で、人間と共存していたのです。それが侵略者の手によって追い詰められいく…。
直線的・平面的な「街」と、曲線と手書きタッチの「森」の対比から、「近代」と「原始」、「キリスト教」と「ケルト」、「イギリス」と「アイルランド」、「支配」と「自由」、さらには「分断」と「共存」…といった対局する2つの概念がさりげなく問題提起されているのもスゴイ。そんなふうに分析するのがかえって陳腐に感じられるほど、奥深いテーマが潜んでいるのです。
親子の絆、友情、娘を想いつつもずれちゃってるお父さんが変化していく様子も感動的。これ以上言うとネタバレしちゃいそうなのでこの辺で止めますが、あらすじや物語のバックグランドはさまざまな日本語サイトでも紹介されていますのでそちらをご参照ください。
※例えばこちら→『ウルフウォーカー』ケルトの伝承に着想を得た至極のアニメーション体験(CINEMORE)

ところで、メイヴを見て、子どもの頃の愛読書だったいぬいとみこさんの児童書『木かげの家の小人たち』の続編、『くらやみの谷の小人たち』に出てくる「アマネジャキ」みたい…って思った方、ほかにいませんか?
その小鬼っぽさといい、しっかりしているかと思えば子どもっぽく怒りっぽいところなど…。「アマネジャキ」、あ、知ってる、知ってる、そういえばメイヴと似てますねー…なんて方が他にもいたら感激。マニアックでスミマセン(笑)。

メイヴがアイルランド語を2回ほど言った気がしました。細部をもう一度味わいたいので、上映期間中にもう一度観に行こうと思います。

今日からカフェやレストランも店内飲食が解禁されたので、早めに行って映画館の中でお茶したのも楽しかったです。
映画館へ行くということがイベントだったんだな、と再開の喜びをしみじみと感じました。

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今年最初のミンス・パイを食べました!

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館内のクリスマス・ツリー。どこもかしこもクリスマス・ムードいっぱいでキラキラ☆

※カトゥーン・サルーン制作のアニメ過去ブログ→『パフィン・ロック』(ウーナとババの島)で癒される💛
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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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