昨晩のバイデンさんとカマラ・ハリスさんの当確スピーチ、時差の関係でアイルランドでは夜中の1時過ぎからでしたが、頑張って起きていてリアルタイムで観て良かった。感動しました。
初の女性副大統領となるカマラさんの、「私が最初で最後にはなりませんよ、今夜これを見ている小さな女の子はみな、この国には可能性があることがわかったでしょう。性別を問わずすべての子どもたちよ、夢と信念をもって、まだ誰も見たことのない道へ自分を駆り立てましょう(拙意訳)」…ってところで泣きました。
あの瞬間のカマラさんのキラキラしたオーラは、世界の多くの人たちの免疫力をアップさせたと思います!
バイデンさんもカマラさんも、アメリカという国の「possibility (possibilities)=可能性」を強調していましたね。
カマラさんの初の女性、黒人、アジア系…ということに加え、個人的には、バイデンさんの間もなく78歳という年齢での勝利にも大きな「可能性」を見た気がしました。
もう歳だから…と自分の可能性を制限する必要は全くなく、何歳になってもチャレンジできる!「可能性」とは性別や年齢を口実にあきらめないこと、負けないこと、だと。
当地アイルランドでは、23人目のアイルランド系アメリカ大統領となるバイデンさんを「ケネディに次ぐもっともアイリッシュ・アメリカンな大統領」とさかんに報じています。
過去22人の中には、ほんのちょっぴりだけアイルランド人の血が混じっているだけ、という人や、大統領になって初めてアイルランド系であることが明らかになった人もいますので。
例えば
オバマさんは、母方の6世代前がアイルランド内陸部の小村モニゴール(Moneygall, Co. Offely)からの移民ですが、それが分かったのは大統領選が始まってからでした。
8th cousin(=またx7いとこ!)が見つかり、ご先祖の家は今や博物館として再建保存されていますが、バイデンさんのように大統領になる前からルーツがはっきりしているケースは少ないようです。
ケネディも、レーガンも、クリントンも、オバマも、みな大統領になってからアイルランドを訪問していますが、バイデンさんは副大統領だった2016年にすでに当地を訪れています。先祖の地を訪ねて親戚の人たちとも会い、その後も交流を続け、中にはホワイト・ハウスに招かれたという人も。
すでに「ジョーは我がアイルランドの友達」と認識され、大統領としての再訪が早くも期待されています。
バイデンさんのアイルランドの血がどのくらい濃いかというと、16人の高祖父母(「ひいひい」祖父母)のうち10人がアイルランド生まれとのこと。
ご先祖は北西部カウンティー・メイヨーのバリナ(Ballina, Co. Mayo)のブルイット(Blewitt)一族と、北アイルランドとの国境を成すカウンティー・ラウスのクーリー半島(Cooley Peninsula, Co. Louth)のフィネガン(Fineggan)一族。
どちらの町でも、この週末はちょっとした祝賀ムードだったようです!
まずこちらが、昨日のバリナ。
1850年代、バイデンさんの「ひいひいひい」お祖父さんに当たるエドワード・ブルイット(Edward Blewitt)さん一家が、ひと足先にアメリカへ渡った息子のパトリック(Patrick)に続いてこの町から移民。のちのバイデンさんの生まれ故郷となるペンシルベニア州スクラントンに居を構えました。(バリナとスクラントンは姉妹都市)
動画で最初にインタビューに答えている方が、「またまたまたまた」いとこ(5th cousin)のジョー・ブルエット(Joe Blewitt)さんかと思います。
ちなみにバリナは、1990年にアイルランド初の女性大統領となったメアリー・ロビンソンさんの出身地でもあります。「メアリーはバリナの娘」と言われてきましたが、今度はそこに「ジョーはバリナの息子」が加わりました。
ところ変わってこちらは、クーリー半島の中心の町カーリングフォード(Carlingford, Co. Louth)の本日の様子。
先日ご紹介したラグビーの元アイルランド代表のロブ・カーニー選手とは、このクーリー半島の血筋つながりです。
→
アイルランド系のバイデン氏、元ラグビー代表のロブ・カーニーのいとこだった!1850年頃、バイデンさんの「ひいひい」お祖父さんのひとりオーエン・フィネガン(Owen Finnegan)さん一家が、4人の子どもと兄弟、いとこと一緒にこのクーリー半島からアメリカへ移民。フィネガン一家ははじめはニューヨーク州のセネカにいたようですが、オーエンの息子ジェイムズの代でスクラントン近くへ移り住みます。
ジェイムズの息子アンブローズ・J・フィネガン(Ambrose J. Finnegan)さんが、前述のバリナから来たエドワード・ブルイットの曽孫に当たるジェラルディン・ブルイット(Geraldine Blewitt)さんと結婚して、バイデンさんの祖父母となりました。
昨晩のスピーチでバイデンさんが、
祖父からは信念を持ち続けることを教わり、祖母からはそれを広めることを教わりましたと言っていた、その方々です。
幾多の不幸や困難にも「負けない、あきらめない」バイデンさんを作ったのは、フィネガンxブルイットのアイルランドの血。大切なスピーチの場で祖父母のことを話すバイデンさんを見て、アイルランドのルーツをいかに誇りにしておられるのか、そのことがひしひしと伝わってきました。
4年間のトランプ政権で露呈した、アメリカが潜在的にかかえていた分断の構図。これを諫めて導いていくのは大変なことだと思いますが、まずは第一歩、知性と良識ある方向へ進んだような気がしてほっとしています。
大西洋のこちら側でも、イギリスのEU離脱がカウントダウンに入り、北アイルランドとの国境をフリーボーダーとして維持できるのか、「アイルランドの友達」であるバイデンさんの仲介に大きな期待が寄せられています。

この建物、ホワイトハウスに似ていませんか?アイルランド大統領官邸(アラス・アン・ウフタラン=
Áras an Uachtaráin, Phoenix Park, Dublin)です。ホワイトハウスの設計者はアイルランド人の建築家ジェームズ・ホーバンですが、2つの建物が酷似しているため、ホーバンは当時イギリス総督の夏の邸宅をだったこの建物をモデルした…と言われています(ところがホワイトハウス正面の柱はホーバンのデザインではなく、別の建築家がのちに付け足したものなので真偽のほどは…)本日ジョギング中に通りがかって撮影
※参照→
What are Joe Biden’s Irish roots? (The Irish Time)など
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コメント
山本敦子
2020/11/16 URL 編集
naokoguide
メディアにはたくさんの意見や情報があふれていて、いろいろな意見や憶測があふれていますね。起こることにはすべて意味があると思うので、ここから学びや気づきもあることでしょう。
私はこれ以上のドラマチックな展開はもう結構かな。不正うんぬん以上に大事なこと、解決すべきことがたくさんあると思うから。
対立や分断ではなく、アメリカと世界の平和や調和に向かって欲しいと心から願うばかりです。
2020/11/17 URL 編集