人が密に集えないご時世となり、世界各地であんなに行われていたマラソン大会もなくなってしまったわけですが、中にはバーチャルイベントに切り替わっているものもあり、それだと開催地へ集うことなく走れるという利点もあります。
時間もあることだし、何か参加できるレースがないかな…と思っていたところ、アメリカ、コンコードで毎年行われている『若草物語』の作者ルイザ・メイ・オルコットの「オーチャード・ハウス」ウォーク/ランがバーチャルで行われることを知りました。
『若草物語』の舞台であるオーチャード・ハウス(
Louisa May Alcott's Orchard House)は作者オルコットが育った家。博物館として公開されており、英米文学ファンとしてはいつか行きたい憧れの地のひとつ。最近公開された
シーアシャ・ローナン主演の映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』にも登場していましたね。
2005年から行われているというこの10キロ、5キロ、1マイルのウォーク/ランはチャリティーイベントで、参加費用は教育や歴史保存のための基金となるそうです。
慈善家だったオルコット一家の精神を追随することにもなりますし、ルイザ・メイ・オルコット自身、「私の前世は馬かシカだったのでは」と日記に記すほどに走ることが好きだったそうですから、『若草物語』のいちファンとしてオルコット追悼と感謝の気持ちを込めて参加することに。
メールで送付されるゼッケンをつけて9月10日~20日の10日間に自分で走り(または歩き)、所定のサイトからタイムを申告すると完走証がもらえます。申し込みのときにサイズを選んだので、Tシャツも後日届くのでしょう。
私は10キロに申し込みました。そして昨日、ほぼいつものジョギング・コースではありますが、一応気分はレース!とひとりで盛り上げて(笑)、ゼッケンをつけて走ってきました。
自宅を出発点として、このパンデミック中にすっかり庭と化した近所のウォー・メモリアル・ガーデンズ(
The National War Memorial Gardens, Dublin 8)を抜け、リフィー川沿いを走り、川の北岸へ渡って市街地に隣接する公園としてはヨーロッパいちの大きさを誇る広大なフェニックス・パーク(
Phoenix Park, Dublin 7)へ。
普段は自宅を終着点とするのですが、今日は園内をいつもより遠くまで走って距離をかせぎ、園内のフェニックス・カフェ(
Phoenix Cafe)をゴールの目標に定めました。
ランニング・アプリが9キロをマークし、あと1キロ、よーし加速するぞーという時に、なんと目の前にシカの群が!
「私の前世はシカだったかも…」というオルコットの言葉を思い出し、オルコットの生まれ変わりだ!とひとり驚喜しました。

法王の十字架(Papal Cross)の近くにて。人が近づいても逃げる気配なし
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近くにいた親子連れが写真を撮ってくれました!シカと2ショット、嬉しいー
フェニックス・パークはもともとオーモンド伯爵という貴族のシカの狩り場だったところ。350年前にこの地に連れてこられたファロー・ディア(Fallow deer=ダマジカ)の子孫が今や500頭にもなり、園内に生息しています。
レース中だということを忘れたわけではなかったけれど、しばしシカとたわむれました。
ここまでにすでに散歩中の友人ファミリーにばったり会って立ち話しちゃったり、ゼッケンをつけているので「マラソンがあるの?」と話しかけられて状況説明する羽目になったり、何度かレースを中断する場面があったので、もはやタイムはどうでもいいやーという気になっていた(笑)。
シカの登場に続き、さらなる偶然が。目指すカフェより手前で10キロとなり、ランニング・アプリがフィニッシュを伝えたのは奇しくもアメリカ大使公邸前でした。
アメリカの星条旗とアイルランド国旗がはためく公邸のゲートを見て、イベント開催地のアメリカ、コンコードが近くなった気がしました。

アメリカ大使公邸前で10キロ完走のセルフィ。こういうことをひとりでしているということに、なんだか笑ってしまう(笑)

参加者はランニング・アプリを無料で使用できます。なぜか走った道筋が記録されませんでしたが、完走タイムは1時間12分56秒。シカと遊んだりしてたから過去に参加した10キロレースでいちばん遅い記録になってしまったけれど、楽しかったからいいや~
このあとひとりコーヒーとケーキで完走を祝おう!とカフェに向かって歩いていたら、複数の友人から「ベストラック!」とか「コングラッチュレーション!」といったメッセージが。途中で遭遇したシカ…ではなくて友人ファミリーから「ナオコがひとりレースしてる!」との噂が広まっていたのでした。うぅ…みんなありがとう。
そして、公園の近所に住む友人ディヴィッド&クリスティーンがレースのあと歩いて帰るのは寒いしきついから…と電話をくれ、車で迎えにきてくれました。

ディヴィッド宅の庭でコーヒー・タイム。カフェでひとり完走祝いするはずが思いがけず…うぅ…ありがとう。おいしいブラウニーを急いで買いに行ってくれたようです
そういえば、レース中にランニング・アプリがときどきニワトリの鳴き声みたいな音を出したのですが、参加者に声援を送れるような機能があったので、それだったのかも。目には見えなくとも、世界のどこかでどなたかが応援してくれていた…と思うと心温まります♪
このラン/ウォークは最終日の9月20日まで申し込みを受け付けています。
ご興味のある方はまだまだ参加できますよー。
詳細・申し込み(英語)→
15th Annual Benefit Walk/Run for Louisa May Alcott's Orchard House日本語説明PDF→
若草物語ルイザ・メイ・オルコットの『オーチャード・ハウス』バーチャル ≪ウォーク・ラン 2020≫のご案内
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