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オンライン読書会『赤毛のアン』

アン仲間とのオンライン読書会も7回を数え、本日のお題はアン・ワールドの始まりの書『赤毛のアン(Anne of Green Gables)』でした。

1908年出版、カナダ、プリンス・エドワード島に住む、当時ほぼ無名であった女流作家L.M.モンゴメリによる初の長編小説。
執筆当初いくつかの出版社に持ち込むも断られ続け、屋根裏にしまい込まれそのままお蔵入りしたかもしれなかったのに、ひとたび出版されるやベストセラーに。続編が次々書かれ、全8冊(スピンオフ的な2冊を入れて10冊とする場合もあり)の「アン年代記」が生み出されたことは多くの方の知るところでしょう。

私とアンとのかかわりも早40年。世界名作劇場のTVアニメで出会い、小学校の図書館でシリーズを読み、中学生になるとアン以外のモンゴメリ作品も見つけて読み、ファンクラブに入会(今、読書会でご一緒しているのはこの会で長くお付き合いいただいている皆さん)。高校生になりプリンス・エドワード島の女の子と文通をはじめ、大学生になると彼女を訪ねて島へ。
そのペンフレンド一家がなんとアイルランド系だったことがのちにわかるのですが、アンとの縁が思いがけずアイルランドにつながったことは運命的とさえ思えてなりません。

今回の読書会に当たり、久しぶりに原書の『Anne of Green Gables』を通読。気心知れた友と密度の濃い時間を過ごすかのような、幸せなひとときでした。

anneofgreengablesbookclub08202
大学の卒論のとき以来ずっと愛読している書き込みいっぱいの原書は、映画でアン役を演じたミーガン・フォローズが表紙。日本語訳も初代の村岡花子訳をはじめ、今や多くの方が手がけておられ参考になります

『赤毛のアン』についてはある意味「habit(習慣)」と化していて、今やどこが好きとは言えないくらいなのですが、今回読んでいて最後の3章はとくに涙、涙、涙…でした。
読書会の数週間前に通読し終えてしまい、ここ数日お気に入りの章をまた読んでいたのですが、マシュウの死のあとでマリラがアンに想いを吐露するシーンは何度読んでも「うわ~ん」っていうくらいに号泣。

We've got each other, Anne. …(中略)…I love you as dear as if you were my own flesh and blood and you've been my joy and comfort ever since you came to Green Gables.
(拙訳)2人一緒じゃないか、アン。…(中略)…おまえのことは血と肉を分けた我が子と同じように愛しているんだよ。あたしの喜びであり慰めだったんだよ、おまえがグリンゲーブルズにきてからずっと。

昔はアンの発言にばかり笑ったり泣いたりしていたけれど、今や私もマリラの歳に近くなり、この物語のさらなる意味や醍醐味が感じられるようになってきたのかもしれません。
これを書いたときのモンゴメリはまだ30歳そこそこで、結婚も子育ても経験していませんでした。我が子への想いならぬ、それをひとひねりもふたひねりもした、我が子でないのに我が子として子を想う独身アラフィフのマリラの微妙な心情を、よくもまあここまで表現できたものだ…と驚き感激せずにはいられません。

ところで、英文の小説やエッセイを読むときは出来るだけ音読するよう努めているのですが、モンゴメリの文章は言葉が美しく、リズム感、躍動感があり、読み進めるにつれ色も、音も、香りもますますリアルになっていくような感覚があります。
なんだか呪文を浴びせられて、魔法にかけられたかのよう。時に恍惚とする瞬間もあり、もしやこれは神秘小説なのでは…との想いもわいたくらいです。

ここ数年の私の『アン』読みのテーマは、作中に出てくる(感じる)アイルランドやケルトなので、さまざまな描写に神秘的な趣きを感じたのもあながち的外れではなかったような気もしています。
ケルト的な要素はモンゴメリが後年に書いたシリーズ後半の作品や、エミリーやパットといった別の主人公の作品で色濃くなるのですが、第一作の『赤毛のアン』にもすでにその兆候が表れていると言えます。私がとっても好きな、これぞケルト(前キリスト教)的だと感じるのが、お祈りについてのアンの考え。

If I really wanted to pray I'll tell you what I'd do. I'd go out into a great big field all alone or into the deep, deep, woods, and I'd look up into the sky—up—up—up—into that lovely blue sky that looks as if there was no end to its blueness. And then I'd just FEEL a prayer.
(拙訳)わたしだったら本当にお祈りしたいときにはこうするわ。誰もいないただただ広い野原か、深い深い森へ出かけて行って、空を高く、高く、高ーく見上げるの。その空は無限に広がる澄み切った青い空なの。そこでね、ただ祈りを「感じる」のよ。

モノゴトの本質を言い当てたかのような11歳のアンの発言に、はっとさせられるシーンでもありますね。

作中に一か所、アイルランド・ネタがあるのですが、それについては後日また。

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コメント

No title

今回の読書会もとてもよかったです。ナオコさん、すご〜い!早速、ブログで適確にまとめて下さり、夕べの活発で愉快なやりとりを思い出しました。
テーマを決めて深く読むとまたみえてくるものが違うのですね。
そして、あなたがマリラの気持ちがわかるようになった、とおっしゃったのに共感します。読む側の人間の状況で新たな発見があったり、泣けるところが違ったり、何回読んでもアンはいいですね。

No title

昨晩はご一緒できて嬉しかったです。(いつもだけど笑)
楽しい時間をありがとうございました。

今回、作品としても大いに鑑賞しましたが、実はリアル設定に驚愕していて、心穏やかならず、でした。

息子→もうすぐ11才=アン
私→アラフィフ=マリラ
我が事ながらスゴいよねー。驚きだよねー。ははは。

読書会ではマリラの口調について意見も出ましたが、子供同士の遊びだったり、学校の先生についての評価だったり、なるほどと思うことがありました。これからの数年もまた、アンと共に過ごす時間に違った視線や新しい発見があることでしょう。
naokoguideさんのいろいろ意見や考察も楽しみにしています。また聞かせて下さい!

アンナムさんへ

ああ、楽しかったですね!今回もありがとうございました。
アンナムさんが、アンがあれば一生楽しめる!とおっしゃった言葉がずっと心にあります。人は変わるけれど、アン・ワールドは変わらない。そればかりか、自分が変わって(たぶん、成長して・笑)いることを知らせてくれる!

読書会は当初、なかなか会えない皆さんのお顔を見られる時間だと思っていました。ところが、やっていくうちに、当日皆さんとお話しするまでのひとりでアンと向き合う時間、そして、終わってからより豊かになったアン・ワールドを咀嚼する時間こそが醍醐味なのだと気が付きました。
ほんと、何度読んでもいいですね♪ 次回も楽しみです。

miwakoちゃんへ

私も嬉しかったです、ありがとう。
昨日言うのを忘れちゃったけれど、今回読んでいて、いつかmiwakoちゃんちでPearlさんと3人でマシュウの「熊手」のところを調べたことを思い出していました。あのあと、miwakoちゃんが調べてくださったアルスターコートのことも。

miwakoちゃんち、今、グリン・ゲイブルズ状態なのね!
スペンサーさんじゃなくて、コウノトリが運んできたのは男の子だった!(笑)
なるほど、子育て中のお母さん目線で読むと、そこに目がいくんですね。私もmiwakoちゃんの鋭い視点と、マニアックな資料(!)から導き出される探求を楽しみにしています!

それにしてもアニメのアンはすごいわねー。あれがなかったらこんなにアンを好きになっていたかどうか…と今さらながら思うのでした。

No title

昨晩も私達、1分1秒をも楽しみましたね♪

終わった後のメールのやりとりに興奮覚めやらず、
しかももっと深く掘り下げて下さる方達がいるので
いつまでも余韻が続いています。
今回もありがとうございました。

ダイアナがアンに、ミス・バーリーのことを説明する時
「ひどく年とってるのー70かそこらよー」って言うので
昔は自分がアンのつもりで読んでいたけど
今や私をミス・バーリーと呼んで下さいまし(笑)

次回もどうぞよろしくね。

曲まめ子さんへ

こちらこそ、今回も楽しい時間をありがとうございました!

ジョセフィン叔母さん!(笑)
確かダイアナはそのあと、叔母さんが子どもだったなんて想像もつかないわっ、って言うんですよね。
私もいつかマリラを越して、ミス・バリーと呼んで下さいましーになると思うと、まだまだアンを楽しめるわっ!ってより元気がわいてきましたー(笑)

こちらこそ次回もよろしくお願いします。楽しみですね♪

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naokoguide

Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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