今週はRTE(アイルランド公共放送局)の夕方6時のニュース終了後に、耳慣れたイントロが聞こえています。私の好きなTVシリーズ「リーリング・イン・ザ・イヤーズ(Reeling in the Years)」の再放送です。
過去のある一年を、その年の主なニュースや流行歌でつづる25分間。かれこれ20年ほど前、1980年代の10年間分が制作されたのを皮切りに、90年代、70年代、60年代(は62年以降)、そして2000年代…と、現在までに5シーズン48エピソード制作されている人気シリーズ。
タイトルのとおり「時代を巻き戻して」アイルランドの歩みを振り返ることの出来るとてもいい番組です。

フィルムがカチャカチャ…と巻かれているようなオープニング映像がレトロでいい感じ
しばしば再放送していて、お馴染みのテーマソングがふと聞こえてくると、ついついTVを見入ってしまいます。この番組のおかげで、私の知らない時代のアイルランドをずい分たくさん勉強させてもらいました。
今週は80年代を再放送していますが、YouTubeにほとんどのエピソードがあげられていることに気がつき、数日前の夜に見始めたら止まらなくなってしまいました…。
今週は明日の講座がアイルランドの近代史なので、それに関連した時事ネタが出てきて思いがけないひらめきを得たり。70年代のエピソードを見ていて、おお、エイモン・デ・ヴァレラだ、講座に使用する写真よりずい分歳をとっているなあ…なんて思ったりして(笑)。
こちらは1981年の回。YouTubeの検索でタイトルを入れるといろいろな年のエピソードが次々に出てきます。そのうちに消されてしまうかもしれませんが…
80年代前半の回は傑作ぞろい。例えばこの81年はアイルランド移民の子孫レーガン大統領の誕生に始まり、ノック空港(現ダブリンウェスト空港)を勝手に建設し始めるホーラン神父登場(今日再放送していた86年の回で空港が完成していました!)、そして、映画『バックトゥーザフューチャー』で一躍有名になった車、デロリアンの工場がベルファーストにオープン、それを報じるレポーターがなんと未来のアイルランド大統領、若き日のメアリー・マッカリースさんです!
この年、ダブリンでユーロビジョン・コンテストが開催され、アイルランド代表が伝説のガールズ3人組シーバ(!)なのですが、まるでピンクレディー+キャンディーズみたい。だとしたら、優勝したUK代表にはトシちゃんとマッチがいる!ああ、いずこも同じ、これぞ80年代の幕開け…(笑)。
北アイルランド紛争が深刻化していた時代で、ボビー・サンズのハンガー・ストライキもこの年だった。エアリンガス機のハイジャック事件、チャールズ皇太子とダイアナ妃のまるでフェアリーテイルそのものだった結婚式(当時小学生だった私もロンドンからの中継をうっとりしながらブラウン管で見ていたものです)、そして、レンスターハウスにたむろする国会議員の中に、我らがマイケル・D・ヒギン大統領の若き姿らしき人を発見。英国大使館での暴動、ルービックキューブ流行り…と、なんて熱い盛りだくさんな一年だったのでしょう、81年は!
私がリアルタイムで知らない時代のアイルランド。観光ガイドとしての知識として知っている出来事が当時のニュースで現れたり、語り継がれている人々の生前の活躍や、今のセレブリティーの若き日の姿が続々と出てきて、当時を知らないにもかかわらず懐かしい気持ちになることも。
1968年の回にコークのトンネルの名前として知っているジャック・リンチさんが生きて出て来たときには、とても感動しました!
私がアイルランドに来てからの2000年代のエピソードを見ると、大きなイベントなど「私もここにいたわっ!」ということが多々あり、ああ、私のアイルランド暮らしもヒストリーになり始めているのね…と感無量。
ちなみに2010年からの10年分は、来年までに制作されるようです。楽しみ。
毎回必ず、その年のゲーリッグゲーム、サッカー、ラグビーの結果が盛り込まれるのもアイルランドならでは。
RTEの顔として活躍してきたレポーターやテレビマンたちも出てきますので、アイルランドのTV史でもあるのでしょうね。
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