アイルランド・カルチャー講座第4回「タラの丘と『風と共に去りぬ』」、おかげさまで無事に配信させていただきました。
今回も多くの皆さんにご参加いただき、本当にありがとうございました!
世界的に有名な映画&小説『風と共に去りぬ』とアイルランドの関係、タラの丘(Hill of Tara, Co. Meath)の紹介、続編『スカーレット』でめぐるアイルランド…などなど駆け足でお話しさせていただきましたが、今回が自分としてはいちばん楽しく、そして、いちばん難しかった!
これまで前日にはプレゼンが完成し、練習も重ねてこれで良し!と気持ちを落ち着けて当日を迎える…といったパターンでしたが、今回はどうもここ数日続いている異様なテンションがおさまる気配を見せず(笑)、最後の最後まで構成に改善点がある気がして、直前まで手直し、追加、削除を続けていました。
そう、好きなこと、想いが強いことをお話しするのは難しいのです。
『風と共に去りぬ』には多くの方がそれぞれ思い出をお持ちと思いますが、私にとってはおそらく初めて劇場で鑑賞した映画がこれだったと思います。
小学校5年生くらいのとき、この映画の大ファンだった母に連れられて、姉と3人で長野市の名画座へ。
当時はビデオやDVDが家庭で観られる時代ではなかったですし、我が上田市にはあまりちゃんとした映画館もなかった。都会で育った同世代と違って映画を観に行くことはとても特別なこと、ましてや大人向けの名画なんて!
感想…なんて持てるほども理解できず、長くて長くて、でも飽きずに頑張って最後まで観た!という満足感しかなかったと思います(笑)。
それでも、子ども心に強く印象に残ったシーンがありました。第一部の終わりで荒廃したタラ農場の大地にひざまづき、大根か何かをむしり取って土をつかみながら、私はもう決して飢えません!…とたくましく生きていく決心をするスカーレット・オハラの姿。その気迫が子どもには恐いくらいでした(笑)。
タラ農場の名前の由来がアイルランドのタラの丘であること知るようになるのは、そのずっとずっと後のことです。
そういえば添乗員時代、南米へ行くツアーの乗り継ぎでアトランタに一泊したとき。限られた時間の中、お客様を引き連れてマーガレット・ミッチェルの家へ行ったこともありました。
映画のシーンのカレンダーや、ヴィヴィアン・リーやクラーク・ゲーブルのマグネットを母にお土産に買って帰ったことを覚えています。展示についてはまったく記憶にないので、いつかまた再訪したい。
そして今日の講座でお話しすれば良かった…と終わってから思い出したこと。なんと、クラーク・ゲーブルが映画の中でつけた手袋はアイルランドにあるんですよ!(笑)
→
ニューブリッジ・シルバーウェア訪問② 往年のスターのコレクション&アフタヌーン・ティーこの映画はお正月にいつもテレビで放映されていましたし、今やアマゾンプライムでいつでも無料で観られますから、生涯で何度観たかわかりません。でも、劇場の大きな画面で観たのは、母に連れられて行った小学生のときが最初で最後だと思います。
我が家は特に洋風でも、都会的でもない普通の家庭で、躾はそこそこ厳しく、保守的だったと思います。(私がそれに従う子供だったかどうかは別として…笑)
それでもあの時、映画を観るために小学校を早引けした!母としてはよほどの想いがあったのでしょう。のどかな時代でもあり先生も理解があって、むしろ応援するかように送り出してくださったので、誇らしいような気持ちで出かけたのをうっすら記憶しています。
あのとき、小学生に理解できるはずもない大作を、わざわざ別の街へ電車に乗って観に行ったこと。そして、よくわからないながらもスゴイ!と感じて、嬉しかったこと。その体験がなかったら、私の『風と共に去りぬ』への想いはまったく違ったものになっていたでしょう。
子どもにホンモノを見せるのが良いとか、世間でよく言われることに耳を傾けたというわけでもなく、ただただ一途な想いで「娘に見せなくては!」と私たちを連れて行った母はすごかったと思います。
今になってわかるのは、名作には子供向けも大人向けもないということ。当時日曜の夜には『ハイジ』、『赤毛のアン』、『あらいぐまラスカル』といった世界の名作アニメが放映されていて、家族みんなで観ていましたが、普段はプロ野球中継と時代劇くらいしか観なかった父も『トム・ソーヤーの冒険』を観て毎週涙していましたから(笑)。
いつかまた劇場の大きな画面で、母と一緒に『風と共に去りぬ』を観たいものです。

昨年6月、お客様とご一緒に見たタラの丘の夕焼け。ちょっと『風と共に去りぬ』っぽい…と思いませんか?(過去ブログ→
タラの丘に夕日が沈む…)
- 関連記事
-
コメント
草野めぐみ
ブログを拝見し山下さんの風と共に去りぬへの並々ならぬ思いをお聞きし、なるほど、昨日の講座、今までとはどこか違うと感じたのはそういったところからだったのだな、と思いました。
タラの丘の今の雰囲気、時にセリフ付きでの紹介など、今回もとても楽しくあっという間の時間でした。
タラの丘ですが、いつも風が強いのでしょうか。
私が8年くらい前、ダンナと一緒に年末年始にタラの丘に行ったときは嘘でもなく立っていられないほどの強風で、本当に飛ばされると恐怖を感じ、入り口から一歩も動けなかった思い出があります。
昨日の動画でも風の音が結構入っていたのでいつも風の強いところなのかなと思いました。
来週の講座も楽しみにしています(#^.^#)
2020/07/18 URL 編集
ようはっぱ
なんで、「風と共に去りぬ」だったんだろう?って今になって思います。
結局、映画を見ただけで別れて、その後の進展もないままでした。
長くて疲れたのかなあー??
私には、ちょっぴりほろ苦い思い出です。^^;;
2020/07/19 URL 編集
naokoguide
楽しんでいただけて良かったです。
アイルランドに住んでいると風が吹いているのが当たり前になってしまって気づかないのですが、いつかの夏、フランスへ1週間程行って帰ってきたとき、飛行機を降りたらさーっと風が吹いていて、ああ、アイルランドに戻って来たな、と感じたことがありました。
ご到着されたばかりのお客様がよく「アイルランドはいつも風が強いんですか?」とおっしゃるのはこのことか!と分かりました。
西風がいつも吹いていて、さえぎる木もないから、島を吹き抜けていくんですね。(続編『スカーレット』でもタラの丘でスカーレットが西風に吹かれて…と書かれています)
なので、私たちがこの風は普通…って思う日でも、日本の方には風が強い~!って思うことが多いよう。草野さんのその日は、そんな中でも特に強風だったのでしょうね。
動画を撮った日は、私たち的には風の強さは「普通」でした。スマホが音をかなり拾ってしまいましたが。
でも、風で手振れもひどかったし、自撮りしようとしたら髪が顔を全面覆ってしまって無理でした(笑)
来週もまたよろしくお願いいたします。いつもありがとうございます♪
2020/07/19 URL 編集
naokoguide
神戸の名画座…ってところも、田舎の田んぼ道を自転車デートしていたような私には、文明の香りです(笑)
黒柳徹子さんが若い人たちに言っていました。いい恋愛をたくさんしてください、それが実らなくても、その思い出で生きていけますから…って。
ようはっぱさんの思い出をうかがって、そんなことを思い出しました!
2020/07/19 URL 編集