おとといのオンライン・カルチャー講座「泥炭の不思議」終了後、講座にご参加下さった、以前にご案内させていたっだいたお客様が「ナオコさんの話を聞いて(滞在した)スライゴの街の川の色が黒かったことを思い出しました」とメールをくださいました。
それを見て、ああ、その話をすれば良かった、と今さらながら思いつきました。そう、スライゴだけでなくアイルランドの川や湖の多くは、泥炭地を流れてくるせいで黒ずんだ色をしているのです。

グレンダーロック(Glendalough, Co. Wicklow)を流れる川。黒いのは泥炭に含まれるタンニンのせいで、濁っているわけではないのです
川の色が黒いことがすっかり当たり前になってしまっていて思いつかなかった!
泥炭地に近い北西部の高級ホテルでは、泥炭水(ピート・ウォーター)をあえてウリにしているところも。→
トロリ肌に優しいピート・ウォーター(ハービーズ・ポイント)そういえばダブリン(Dublin)という地名も、そもそも泥炭水の色に由来しています。
アイルランド語でダブ(Dubh)は「黒い」、リン(Linn)は「水たまり」の意。その昔、現在ダブリン城(Dublin Castle, Dublin 2)のある高台に池がありました。街の名は「オー・クリア(Átha Cliath)=(川を渡るための)足場が置かれた浅瀬」でしたが、バイキング時代以降、街の中心が川沿いから高台へ移り、そこに泥炭地を流れてくる黒い水の池があったので「ダブリン=黒い水たまり」と呼ばれるようになったのです。
(ちなみに「黒い水たまり」は現在の聖パトリック大聖堂のある場所からわき出るポドル川の一部で、リフィー川へ注いでいました。今でも地下水となって流れていて、引き潮でリフィー川の水位が下がると、ギネス工場近くの護岸の内側の大きな穴から水がごうごうと注いでいるのを見ることが出来ます)
泥炭、泥炭…と深~く、深~く考えすぎて、身近な話題をかえって見逃していました。
20年も暮らしていると「灯台もと暗し」になってしまっていること、結構いろいろあるものです。
あの話は?って思われたら、どうぞご指摘くださいませ!
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