新型コロナウィルスの新規感染者や死亡者を報告する日々の記者会見で、3月から毎日その姿を見せ、国民から絶大な信頼を寄せられてきたトニー・ホーロハン(Tony Holohan)高等医務官が、昨日をもって休職すると報じられました。
ご病気の奥様の看病に専念するためだそうです。

5月のある日の会見でのトニー(
RTE Newsより)
こちらは、昨日の最後の記者会見の映像。
新型コロナ以前は見知らぬ人だったトニーですが、このパンデミックですっかりアイルランドの顔となりました。
3月以来記者会見に登場しなかったのは1日だけ、ご自身の体調が悪くなり病院へ行った日のみでした。新型コロナではないと報じられましたが、国民みなが心配し、翌日復帰したトニーを見て胸をなでおろしたことを思い出します。
お医者さんとはいえ、日々の感染者、死亡者の数を毎日伝えるという辛い役目(しかも4月頃は帯びたたしい数だった…)を冷静沈着に行い、医学的根拠に戻づいたシャープで分かりやすいメッセージを伝えてくれたトニーに我々の負うところは計り知れません。アイルランドの感染がこれ以上にならなかったのは、彼の知性と判断力によるところが大きいと多くのメディアが報じています。
誠実そうな人柄がにじみ出た話し方で、情熱に満ちた若手のレオ首相、サイモン保険大臣とのバランスも抜群でした。
この3人がメディアに顔をそろえると心強い思いがしたものです。
トニーは一時休職扱いのようで、記者会見のときにいつも隣りにすわっていた(らしい)ローナン・グリン(Ronan Glynn)さんという方が後任を務めるそうです。
首相も保険大臣も代わりちょっと寂しい。(とは言っても、レオとサイモンは内閣にいるので、別の役割を張り切ってやっている様子が見られるのは嬉しい)
医者として、夫として、父として、奥様と2人のティーンエージャーのお子さんを守ることを優先させたトニー。
奥様の回復を願うと同時に、これまで大きなプレッシャーの中で素晴らしい仕事をしてくださったことに心から感謝します。
ちなみに本日のニュースで、アイルランドは新型コロナによる死者数を過剰計算している可能性があると報じられました。
以前からちらちらとささやかれていたことですが、現在発表されている累計死者数より600人ほど少ないかもしれないらしいので(1700人→1100人?)、それが確定したら数字が修正されるかも、です。
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