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オンライン読書会 『アンの夢の家』

新型コロナ禍に始めた『赤毛のアン』のお仲間とオンライン読書会も早くも5回目となり、今回のお題はアンの新婚時代の物語『アンの夢の家(Anne's House of Dream)』でした。
東京、神奈川、群馬、静岡、名古屋、そしてダブリン…と総勢9名がオンライン上に集い、久しぶりの再会とおしゃべりを楽しみました。

前回から一か月以上あり時間があったので、原書で読み始め、半分過ぎたところで間に合わないかも…と翻訳を読み進め、最後の数章はまた原書に戻って読み終える…という不思議な楽しみ方をしてしまいましたが、そのおかげで翻訳がいかに優れていようとも、やはりどうしても薄められてしまう作者モンゴメリの霊的とも言えるペンのマジックをあらためて強く感じ、胸が打ち震えたのでした。

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原書は電子書籍で、翻訳は村岡花子訳の新潮文庫で

読み進めている間にオンラインでのアイルランド・カルチャー講座がスタートし、先週はケルト、妖精…にどっぷりつかっていたこともあり、今回の再読ではモンゴメリ作品に流れるケルト的な要素をとくに強く感じました。
シリーズ第4作にあたるこの作品は、「生と死」がはじめて大きくクローズアップされる一作であるように思われます。第1作の『赤毛のアン』で最愛のマシューの死の悲しみが描かれますが、それはあくまでアンの成長過程としての出来事のひとつ。『夢の家』で訪れる死はもっとこう、人間の限りある生を際立たせるような、この世の美しさとはかなさ、それを超越して行きつく果ての世界を予感させるような、そんな描き方なのです。

作者モンゴメリの思想でもあると思われる「魂の再生思考」が、灯台守の老人ジム船長の口を借りてさまざまな表現で語られていきます。
生まれたばかりの赤ちゃんを失ったアンに、若き日に亡くした恋人の話を聞かせるジム船長はこう言います。

How'd we stand living if it wasn't for our dream of immortality? And that's a dream that's BOUND to come true, Mistress Blythe. You'll see your little Joyce again some day.

わしらに不滅の夢がなかったら、どうして生きていけますね?しかもその夢は必ず実現する夢なのですぞ、ブライスの奥さん。いつかまたあんたはジョイスに会いなさるですわい (第20章)


この世で叶わない夢も、あちらの世界では叶えられる。夢とは不滅のもの、会えなくなった人ともやがてまた会える…というジム船長の確固たる言葉は、肉体の死を生命の循環のひとつととらえるケルトの思想そのもの。
生と死、光と闇がなんとも美しく調和した、シリーズの中でも珠玉の一作だなあとあらためて感じました。

「愛と信頼を羅針盤と水先案内にすればどんな嵐でも切り抜けられる」(第38章)と、若いアンたちにまるで予言者のごとく諭し伝えるジム船長。
フィドルの名手でもある彼は、私の中ではいつもアイルランド人のイメージがつきまとう人です♪

※『アンの夢の家』関する過去ブログ→「赤毛のアン」の島のケルト音楽バンド、イースト・ポインターズ

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コメント

No title

読書会、とてもよかったけれど、ナオコさんのモンゴメリの思想がケルトの思想に通じるとの考察で更に目を開かされました。「アンの夢の家」ではジム船長が主役ではないかと思いたいくらい、大好きな登場人物です。
付箋をつけたところ,ナオコさんと同じ!

アンナムさんへ

感動のポイント同じ、ヨセフを知る一族はいいですね~♪
読書会後、ユウコさんが送ってくださったみんな笑顔の写真を見て、「夢の家」はアン自身の世界に属する最後の作品ね…としみじみ感じていました。あれこれ調べたり読み解くのも楽しいけれど、そうせずとも自然に入ってくるというか…。
ジム船長すてきですよね。社交的になったマシュウの再来みたい…って気もしました。

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Re: 読書会の仕組みとおんなじ?

Yamaさん、短編集の小品かのような楽しく、情報満載のコメントをありがとうございます!
パイ家の時計でしったけ?そういうのがあると、すぐに盗み聞ぎしているのはあの家だ!ってわかってしまいますね(笑)

オンライン読書会は本当に画期的な試みです。いちばん遠くにいる私が率先して参加できてしまうのですから。

こういう暮らしになって、Zoomなりスカイプなりで無駄話をわちゃわちゃするのがいかに大切かってことがよくわかりました。
電話もオンラインのフェイスタイも、繋がりたいという根っこの気持ちは同じ。個人的には、対面と文章やメッセージのやり取りとの間にある、距離のある人とのお付き合いが結構しっくりきています。このくらいの距離感でちょうどいいかもしれない、と。

ジム船長については話が尽きませんね!Yamaさんのおっしゃるとおり、私が言いたかったことを言い得てくださったような気がしました。

コーク

直子さん
ご無沙汰しています。自分のGmailにロックアウトされ(おバカ)、貴メルアドも分かりません。教えてください。そちらの私のメルアド、これに更新ください。
実は赤毛のアンのファンなんですが、このリモート会無料なら一度参加させてもらえませんか? Skypeは心もとないけど、Zoomならいけます。

Re: コーク

敦子さん、こんにちは!
ご連絡ありがとうございます。メールしますね!

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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