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ついに3党連立合意、次期首相はミホール・マーティン

2月の総選挙から実に4ヶ月余り。ここ数日今か今かと待たれていた3党連立政権の樹立ですが、各党のリーダーたちがついに政策協定に合意したと本日報じられました。

先の総選挙が大荒れした結果、与党も野党も過半数を超える議席を取れず、連立が話し合われている最中にパンデミック勃発。リオ・ヴァラッカー首相をケアテイカー(代理)首相として新型コロナの嵐をしのいできました。
晴れて新政権として連立することになったのは、以下の3党です。

フィネゲール(Fina Gael)=統一アイルランド党、党首レオ・ヴァラッカー(現与党)
フィナフォール(Fianna Fáil)=共和党、党首ミホール・マーティン
グリーンパーティー(Green Party)=緑の党、党首エーモン・ライアン
※日本語の呼び名は日本での報道を参照しました→アイルランド、主要3党が連立合意 政治空白4カ月(時事ドットコムニュース)なと

5月はじめ、長年のライバルだったフィネゲール、フィナフォール2大政党が歴史上はじめて連立政権となることが決まりましたが、まだ議席が足りないのでもう一党(または無所属議員)を入れなくてはならず、最終的にグリーンパーティーが加わることになったのは新鮮な驚きでした。

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左からエーモン、ミホール、レオ(写真は本日のRTE Newsより転載)

与党党首がティーショック(首相、アイルランドではこう呼びます)の座に就くのが通例ですが、今回はフィネゲール、フィナフォール両党の党首が順番に就くことに。5年の任期のうち、2022年12月までの前半をミホール・マーティンが、後半をレオ・ヴァラッカーが務めるという取り決めになりました。
レオの今後の役職は、ミホールが首相の間はトーニチェ(副首相)になるだろう、と言われています。

これで決定…と思いきや、リーダーたちが合意した政策協定案を各党の党員選挙にかけ、承認を得るというプロセスにもう2週間近くかかるそう。すでに政策案の一部項目に反旗をひるがえそう!という議員集団の動きも報じられていますので、今後の波乱もあるかもしれませんが、予定通り進めば6月27日(土)または29日(月)にはミホール・マーティンのティーショック就任式が行われるとのこと。
制限解除のフェーズ3(6月29日から)に進むタイミングで、新政権誕生…ということになりそうですね。
Agreement reached on final programme for government(RTE News)参照

ライバル関係にあった2大政党が歴史上初めて手を結んだことについて、ニュースではさかんに「End of Civil War politics(内戦政治の終焉)」と報じています。その意味はフィネゲール、フィナフォール各党発足の歴史的背景に由来しています。
20世紀初頭、イギリスからの独立戦争を共に戦った闘志たちが、北部6州(現在の北アイルランド)の所属をめぐって対立し、内戦(1922~23)が勃発。「北部6州を渡さないというイギリス側の案にひとまず妥協し、まずは南部26州で独立すべし」としたマイケル・コリンズに対して、「いやいや妥協は認めない、全島でアイルランドとして独立すべし」としたエイモン・デヴァレラ。コリンズがフィネゲール、デヴァレラがフィナフォールの祖です。
(レオ首相の執務室に軍服姿のマイケル・コリンズの写真が飾ってあるのはそのため。昨今オンライン会議などでデスクの様子がメディアに出ることが多いので、よく目につきます。ミホールに変わったらデヴァレラの写真になるのでしょう)
実情はもっと複雑ではあると思いますが、100年前の仲違いを払拭し、ライバルから連携へ歩みを進めた…という点で、歴史的意義のある大きな政治的転換が今まさにアイルランドで起こっていると言えましょう。

ちなみに2大政党といえば右派、左派の違いとか、欧州ですと親EUかそうでないかなど、思想や政策が相反するのが通例ですが、アイルランドはそのパターンに当てはまらないという点でユニークです。
フィネゲール、フィナフォールはどちらもちょっぴり右寄りの中道。ターゲットとする有権者の層も同じです。
2党の違いを説明したわかりやすい動画がありますので、ご興味のある方は見てみてください。(英語)
Fianna Fáil v Fine Gael | Explained By Prime Time

ところで、2月の総選挙で大躍進したシンフェイン党ですが(獲得議席数フィナフォール38、シンフェイン37、フィネゲール35、グリーンパーティー12…)、いずれの党にも拒まれ連立協議には呼ばれず。
シンフェインのことはまた別の話になりますので、機会のある時に。

そして、政策内容については、グリーンパーティーが政権に加わったことでなかなか興味深いものがあります。これも長くなりますので、また別のときにご紹介したいと思います。

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コメント

No title

アイルランドの二大政党が今連立内閣を組んだ歴史的意義を、分かりやすく書いてくださり、ありがとうございます。改めて本など読み返したり、大変楽しい勉強になりました。リンク先の「二大政党の違いとは」が、英語が半分以上分からなくて残念(^^;)。目下英語も再学習中です。保守と革新、などではなくて、「国のかたち」の1点で、主要政党が対立しているとは・・・外国支配と闘い続けてきた人々なのだな・・・と、苦難の歴史の重さを思いました。

sima-sさんへ

sima-sさん、コメントありがとうございます。
sima-sさんのコメントの「国のかたち」で政党が対立してきた…という表現で、私もよりよく分かった気がしました。政治からしてアイルランドはほかの欧州と違ってユニークだなあ、とあらためて思います。
動画は、私もよく理解できない部分がありました。政治もGAA(アイルランドの国技のスポーツ)もアイルランドは農村地域と密接に結びついているんですよね。昔からのクラン(一族)意識…とでもいいましょうか、あの家はフィネゲール、あの家はフィナフォール…というのがあるようです。最近は変わりつつあるのでしょうが。

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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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