
付箋のびっしりついた愛読書を傍らに。スーザンが作るのとはちょっと違ってしまったけれど…
毎回のオンライン読書会に合わせて、物語に出てくるお菓子を作るのが恒例になってきました。
今回のお題は『アンの娘リラ(Rilla of Ingleside)』。お料理を習い始めたばかりのリラが高望みして挑戦して失敗し、「窯からひらめのように平たくなって出てきた」シュークリーム(cream puffs)にトライしてみようかと思ったけれど、きっと私もリラの二の舞を演ずるだろう気がしたので、無難なところでフルーツケーキにしておきました。
一家の忠実なる住み込みお手伝いさんスーザンが、アンの長男ジェムが出征するときに持たせたお菓子のひとつ。(ほかの2つはショートブレッドとミンス・パイ!)
前作『炉辺荘のアン』で、スーザンのフルーツケーキはプリンス・エドワード島いち!とアンも太鼓判を押しています。
ところが、赤と緑のチェリーとか、気の利いたドライフルーツ類が手に入りませんでした。
行きつけない店に出かけて探し回るのも面倒で、こうなったらあるもので作ることにし、ドライプラム、レーズン、クルミ、そして買い置きのブラムリーアップルを小さく刻み、ブランデーの代わりにジェイムソン・ウィスキーを入れて、パウンド型で焼いてみました。

クルミが焦げてしまい見た目はイマイチですが、しっとりずっしりした食感となり、味の方はバッチリ♪
こういうお菓子は数日寝かせた方がおいしいですよね。私は2日前に作り、待てなくて食べ始めてしまったけれど、今日食べたひと切れが味がなじんでいちばんおいしかったです。
アンの時代はフルーツの種を抜き、何日も前からお酒に浸しておくなど、ミックスフルーツを作ることからしなくてはなりませんでした。手間のかかるお菓子でしたので、特別な日のためのものだったようです。日持ちするので、戦場へ持たせるのにも適していたのでしょう。
いつも参考にさせていただいている
テリー神川さんの『赤毛のアン』のお料理BOOKによると、プリンス・エドワード島ではアンの時代にはウェディング・ケーキもフルーツケーキにアイシングをぬったものだったそう。そういえば『リラ』にも、リラがスーザンに「プラムや卵やシトロンの皮がどっさり入った見事なウェディング・ケーキ」を友人の戦時結婚のために作って、とお願いするシーンがありました。
アイルランドのフルーツケーキと言えば、ハロウィーンに食べるバームブラックとか、ギネスビールを入れて作るポーターケーキとか。
そういえば以前、
クリスマスを過ごさせてもらった友人ロレインのカウンティー・モナハン(Co. Monaghan)の実家では、クリスマスのケーキがポーターケーキでした。クリスマスにはプディングが定番だけど、ロレインの家では昔からポーターケーキなんだそう。
ウィスキーの国アイルランドですが、ポーターケーキはあっても、ウィスキーケーキと呼ばれるようなものは特にないなあ、とふと思いました。
あえてウィスキーケーキと呼ばないだけで、ミックスフルーツをウィスキーに浸すなどするレシピはあるでしょうが。
今回私がしたのは、いつも作っているバナナケーキのレシピのバナナをフルーツに変えて、ウィスキーを大さじ2杯くらい加えただけ。子どもの頃に食べた、ひと切れづつ固形包装の高級な感じのする洋菓子…みたいな味になりました。
ウィスキーを入れただけで何倍もおいしくなったので、今後焼き菓子を作る時はいつもアイリッシュ・ウィスキー入りにしてしまいそう!
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