本日夕方、政府の記者会見があり、来週月曜日(5月18日)よりアイルランドは当初の予定通り、制限解除のフェーズ1(第一段階)に進むと正式に発表されました。
ヴァラッカー首相は開口一番、「希望の糧にはなるものの、祝うようなことではない」と釘を刺し、「まだ長い道のり。行く手にはデコボコもあるだろうから、警戒は緩めないで」と前置きした上で、解除の詳細を再確認しました。
2週間前に示されたロードマップが若干アップデイトされ、以下の内容が月曜日からのフェーズ1(3週間)に適応されます。
・建設業、庭師など屋外での仕事の再開
・ガーデンセンター、ハードウェア(建築資材、DIYグッズ、金物など)ショップ、電気店、自転車修理店の再開
・少人数(4人まで)での屋外スポーツ
・サッカー場、ラグビー場、テニス場、ゴルフ場など屋外スポーツ施設の再開(ソーシャルディスタンスが維持できる場合に限る)
・人が絶えず動いている状態で運営できる屋外公共施設、観光施設の再開(ソーシャルディスタンスが維持できる場合に限る)
・世帯を別にする友人、家族と4人までソーシャルディスタンスを維持して屋外で集って良い
・外出範囲は、引き続き、半径5キロ以内
私も含め多くの人が勘違いしていたことですが、記者会見でも質問があり、開けて良いのは「ハードウェア」の店であって、「ホームウェア(家具、カーテン、家庭用品など)」は含まれないそう。
サイモン・ハリス保険大臣いわく、「新しいベッドカバーやカーテンを買うのはもう数週間待って」とのことですので、月曜日からオープン…としていたダブリン市内のIKEAも、再開が見送られました。
そして、いよいよ着用が義務付けられるのでは…と言われていたマスクについても、政府の見解が発表されました。
着用はあくまでオプションで良いと。ソーシャルディスタンスを保ちにくい公共交通機関や店の中ではフェイスカバー着用を「推奨」するが、義務ではなく、法的な縛りもないとのことです。
ちなみに「フェイスマスク」(マスクのこと)でなく、あえて「フェイスカバー」と言っているのは、みなが医療用マスクを求めるようになって足りなくなると困るから。私たちが市中でするのは、薬局で買える使い捨てマスクや、手作りの布マスクで…ということですね。
いずれにしても、政府が「推奨」と言ったからには、マスクはこれからのニュー・ノーマルに必須のアイテムとなることでしょう。少なくとも買い物時に着用するのは常識化しそうです。
近所のスーパーで売っている使い捨てマスクは1枚2ユーロ。毎回買うのは不経済、かつ、環境にも良くないので、ついに私も型紙をネットでダウンロードして手作りしてみました!

タンスの肥やしになっていた、お土産にいただいた手ぬぐいや、未使用のガーゼハンカチが大活躍。ゴムは飛行機でもらうアイマスクから切り取りました(笑)

裏のガーゼも可愛く出来た♪
まさか自分がマスクを手縫いする日が来るとは(笑)。
日本の皆さんはとっくに作っているでしょうから今さらお恥ずかしくらいですが、あり合わせの材料で、学校の家庭科レベルの裁縫技術しかない私にも出来たので、しぶしぶ始めたわりにはかなりの達成感でした。
チクチク縫うのがマインドフルネス効果絶大だったことにも驚き。裁縫にはまるかも…です(笑)。
ちなみに今日の会見で、マスク着用についてハリス保険大臣がこう言いました。
「マスクを着用していない人を非難するようなことをしてはならない」、と。それぞれ事情があり、アレルギーとか、自閉症でセンシティブだとかいう理由でつけられない人もいるのだから、と。
マスクに限らず、ニュー・ノーマルが始まるにあたり、そういうことは往々に出てくる気がします。ウィルスの恐怖から変な正義感が生まれて、自分と同じことをしていない人を責めちゃう。相手の事情を斟酌せずに、自分のものさしで人を非難してしまう。
アイルランド人はそういうことは比較的しない人たちではありますが、いろいろと勝手が変わってきている中、気持ちに余裕がなくなっている人もいるはず。
大臣がそういうメンタルな面に目を向け、少数派を代弁する発言をきっぱりしたことが印象的で嬉しかったです。
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コメント
fairy
マスク可愛いですね!私はお裁縫が全くダメですが(涙)かわいい布を見つけるとつい買ってしまったり。手持ちの布で長女が手作りマスクに挑戦しました。表と裏の布の柄合わせも楽しいー!と主人の両親、私の両親、ボーイフレンドの両親に作りました。残念ながら只今日本への郵便は送れないとの事でしばらく先になりましたが。
月曜から私自身の生活は特に変わりませんが、
新しい日常への第一歩は気持ち的に前向きになれそうです。
2020/05/16 URL 編集
naokoguide
私も、今回のフェーズ1では特に生活の変化はないのですが、フェーズを追って少しずつ進んでいく…というのはいいですよね。このくらいのゆっくりペースで解除してくれる方が個人的には安心で、ありがたいと感じています。
マスクは、今日政府のガイドラインのビデオを見ていたら、あごまで隠れる方が良いらしく、この型紙だとちょっと幅が狭かったかなあ…と思っています。
もうちょっと大きくして、作り直そうかな…と思ったり。時間だけはいっぱいあるので(笑)
2020/05/16 URL 編集
ひろ
ところで、5月19日の東洋経済オンラインにパンデミックに関わる記事が掲載されました(https://toyokeizai.net/articles/-/351092)。
ここで驚いたのは2014年のエボラ出血の際のアイルランドで深刻な恐怖と人種差別的な状況があったように伝えられている点です。
たびたびアイルランドに訪れた経験であまりそのようなことを感じたことはありませんでしたが、エボラは主にアフリカ系が多く、今回のコロナはアジア系から始まったことから、アジア系のみなさんへの影響はどうなのかと多少心配しています。
ナオコさんの現地で感じている状況はいかがなものでしょうか。制限解除が始まったということで、よければ教えていただけないでしょうか?そのようなことは心配無用であることを願っていますが、よろしくお願いします。
2020/05/19 URL 編集
naokoguide
そして、大変興味深い記事とご質問をありがとうございます。
エボラはニュースにもなり、人々の話題にもなりましたが、アイルランドは当事者ではなかったですし、恐怖…と言えるような空気はなかったと記憶しています。あれが来たら怖いよね…的な会話はありましたが、一般の私たちの暮らしには影響はなかったですし、恐怖まではなかった。
今回の新型コロナがイタリアで深刻化し始めた頃、アイルランドはまったくの対岸の火事でした。あの時のような、まだアイルランドには感染者がいなかったときの空気感…だったかもしれません。
人種差別はあの時も今も、特に問題になっている感はありません。一部にはあったのかもしれませんが、社会問題として取り上げられたり、事件が報じられた記憶はないです。今はアイルランドにも、相当数のアフリカ系、アジア系がいますが、ロンドンやパリなどに比べたら断然少なく、数に比例して差別も少ないのだと思います。
新型コロナの感染初期の頃、フランスやイギリスでアジア人の差別の報道がありましたが、アイルランドでは聞きませんでしたし、私も「日本のご家族は大丈夫?」と心配されることはあっても差別はまったく受けていません。
また、難民の人たち(アフリカ系が多い)が一か所の宿舎に隔離されているような状況が報じられ、差別だという意見もありましたが、彼らを人種で隔離しているのではなく、他地域から宿舎を移したという理由で隔離していたのだと思います。
東洋経済の記事を読んで、ひとつ思い当たることがあります。
一般的な統計ではアイルランドは人種差別の率が少ない国と言われ、マイノリティー人種である私も、20年住んでいてあからさまな人種差別を受けたことは一度もありません。
ところがアイルランド人は、この国には人種差別が多いと言うんですね。問題意識が高いのです。だからこそ私のような他人種にかえって親切なのかもしれませんし、ほんのひとつでも差別の事例があったら大問題だ、ととらえるのかもしれません。
あと、学生さんなどが人種差別を受けた、という話をよくよく聞いてみると、教育の行き届いていない地域で起こっていることが多いです。おそらく教育が行き届かないと差別も増えるのではないかと思いますが、アイルランドは他国との比較では行き届いている方なので、差別の率も低くなるのかな、とも思います。
2020/05/19 URL 編集