
数日前より、私の持ちバラ中いちばんのお気に入りのテス・オヴ・ダーヴァヴィル(Tess of the d'Urbervilles)が咲き始めました!
ロックダウンは来週いっぱいまで続くものの、昨日よりエクササイズための外出は半径2キロから5キロに広がりました。
解除に向けてのロードマップが示され行く先が見えたことで、久々の活気…と言ってもいいような空気が市中にみなぎり始めています。交通量も目に見えて増え、人々の表情から不安や困惑が消え、静まりかえっていた外の世界から話し声や笑い声が聞こえます。
感染者、死亡者の数も減少、横ばいを繰り返しながら、少しずつカーヴが沈み始めました。ICUの入院患者数もピーク時の3分の1くらいまで減ったことが報じられています。
「ニュー・ノーマル(新しい、当たり前)」が始まった…と肌で感じ始めています。
公園や店でのソーシャル・ディスタンスは新しい常識としてすっかり確立され、初めの頃は機械的で不自然に感じられた距離を取る人の動きや流れが今では当たり前に。ぶつかっちゃったりしたらどうしよう、おどおど、ビクビク…みたいな雰囲気はいつの間にかなくなり、触らないし離れているけど、自然な笑顔や挨拶が戻ってきました。
コクーン(巣ごもり/繭ごもり)中の70歳以上や疾患のある人も、昨日より制限区間内で散歩やエクササイズを始めました。(買い物はまだダメ)
友人の両親は嬉しくて、車で海辺や森に出かけて、3時間も帰って来なかったそうです(笑)。
ダブリン市は昨日、「市内の公園は明日から13:30~15:30をコクーン中の人たち専用にします」と発表。行政が率先して高齢者や弱者を配慮し、みながそれを「グッド・アイデア!」と受け入れるアイルランドの社会の在り方が好きです。
今日はたわいもない小さな珍事が続きました。
3軒先にジョーさんというおじさんが住んでいるのですが、買い物から戻った私を見て、「君の腕は細いから、ちょっと貸してくれないか」と言うのです。
ジョーさんは年齢はおじいさんですが精神は子どもな人で、ふと窓の外に気配を感じるなあ、と思って見ると、じっとこちらをのぞいていたりします。うちのドアをどんどんたたいて、CIAに追われているから警察に電話してくれ、と言いに来たことも。
この家に引っ越して来たとき、最初に大家さんに「ジョーは無害だから大丈夫よ」って聞いてなかったら、別の意味で警察に通報していたかも(笑)。
そのジョーさんですが、天気がいいので玄関扉を開けたままにして出たり入ったりしていたら、風で扉がバンと閉まってしまってしまったらしい。
近所の鍵開け名人のおじさん(私も以前にこの人に開けてもらったことがある!)が来ていろいろやってみたが開かない。最後の手段はたてつけの郵便口から手を突っ込んで、扉の内側の鍵穴にささったままになっている鍵を引っこ抜く…という作戦。男性の腕は入らないけど、女性、しかも小柄なアジア人の腕なら入るだろう、というわけです。
こんな細長い穴に入るのかな…と思いましたが、面白いようにするりと入ってしまった(笑)。鍵を引っ張る要領をつかむまで何度か入れたり出したものの、無事に抜き取ることに成功。
ジョーと、鍵開け名人おじさんと、私の3人で思わずハグしそうになり、ああ今はパンデミックだったと瞬時に気づいて離れました。(笑)
そして夕方には我が家に珍客が。オンラインでのヨガ教室の真っ最中、キッチンでものすごい音がして、ニャオーンと聞こえてきたのです!
なんと、お隣りのネコのヒーイーが屋根づたいに窓から我が家に侵入。本人(本ネコ)もびっくりしたらしく、家中あちらこちらをウロウロした挙句、ベッドの下へ隠れてしまった。初めは静かだったのでヨガが終わるまでそのままにしておくつもりでしたが、次第にニャオンニャオン鳴き出したので、仕方なく抱え出してお隣りへ連れていきました。
この子は先週、私の黄色いバラにジャンプして枝を折った子です。去年までいた黒猫のボウイが死んでしまい、新しくやってきた三毛猫なのですが、いつも私の玄関マットの上で寝ていて、私が帰宅したのを見るとささっとよけてくれる…というジェントルマンだったボウイとは大違いで、行儀が悪く図々しい。
でも、抱きかかえた時の柔らかさと、なんとも言えないぬくもりに負けた…。今回は家宅侵入も、バラの損害賠償も、私のヨガを邪魔した罪も、すべて許してあげますっ!(笑)
こんな珍事でさえも、当たり前の日々が戻りつつあることの象徴のように思われて嬉しい。少しずつ、本当に少しずつですが。

蔓バラの性質を持つテス・オヴ・ダーヴァヴィル、何年なってもなかなか壁をはうような蔓にならないので、今年は剪定をかなり弱くしてみたんですね。そのせいか花が小ぶりに…
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