
ネトル(Nettle)=セイヨウイラクサ。葉のかたちはシソみたい
昨日のネイチャー・ウォーク中、ネトルの葉を摘みました。
ネトルの葉は目には見えないチクチクする刺毛(しもう)で覆われているので、知らずに触ると大変。皮膚が赤くなって、数時間痛みが続きます。
ガーデニング用の手袋とハサミを持参して、新鮮そうな上部の葉をひとつかみほどチョキチョキと摘ませてもらいました。

30~50㎝位の丈になる多年草。先週来た時に良さそうな茂みをチェックしておいたのでした
春のネトルは色もきれいで柔らかく、ビタミン(ビタミンC、β-カロチンなど)やミネラル(カルシウム、カリウムなど)が豊富。
刺毛には抗アレルギー作用のあるヒスタミンが含まれていて、花粉症や副鼻腔炎などに効き目があると言われます。
慢性的な副鼻腔炎に悩まされてた知人のご主人が、春先の数週間、週に一回ネトルの茂みに腕を突っ込み(!)刺毛に刺されることを繰り返したら、すっかり完治してしまった…という話を聞いたことがあります。その頃私も鼻炎がひどく、低気圧が近づくと前頭部が痛む日々でしたが、ネトルに刺される勇気はなかった&季節が春ではなかったので、市販の乾燥ネトル・ティーを買ってしばらく飲んでいました。
そのせいかどうかわかりませんが、いつの間にか鼻炎症状は治まり、ここ数年まったく出なくなりました。
ネトルはアイルランドでは古くからスープにして食されてきました。タラの芽やワラビのような季節の珍味でもあり、利尿効果があるので、冬の間に体内にたまった老廃物をデトックスしてくれる春のハーブ…だったのではないかと思います。
アイルランドの家庭の味を食しましょう、みたいなディナーかランチで、何度か「ネトル・スープ」を食べたことがありますが、普通のジャガイモのスープにネトルの葉が短冊状に刻んで入っていたこともあれば、ブレンダーにかけてドロドロにして緑のスープになって出てきたことも。
どちらもそれほどおいしかった…という記憶がないので、生のネトルを煎じるだけの簡単なネトル・ティーを作りました。
(チクチクの刺毛に含まれる毒性は熱を通すとなくなるそうです)

ネトルの葉がちょうど隠れるくらいの水を入れ、強火で火にかけます。完全に沸騰する直前くらいに火を弱め、とろ火で2~3分。茶こしでカップに注いで出来上がり(浮いているピンクは桜の花びら。桜の葉と花も摘んで同じ袋に入れていたので混ざってしまった)

ミント・ティーみたいな色(白いマグに入れればよかった)。口当たりはまろやかですが、風味はかなり草っぽい…
以前にご案内させていただいたジャパンハーブソサエティーのメンバーの皆さんの著作『
ハーブのすべてがわかる事典(Garden Books)』の「ネトル」のページを見たら、「干し草のような香り」と書いてありました。まさにそんな風味です。
乾燥ティーはこんな強い香りはなかったので野生味があっておいしいと思いましたが、2杯目にはハチミツを入れたら、干し草臭は消えました。(笑)
友人クリスティーンにネトル・ティーの話をしたら、ジェイミー・オリバーのネトル・パスタのレシピを雑誌で見たわよ!とのこと。やわらかいネトルの葉が生えているうちに、トライしてみようかな。(夏になると葉が固くなり、色もどす黒くなります)
ちなみに和名は「セイヨウイラクサ」で、アンデルセンの「白鳥の王子」のお話に出てくる「イラクサ」がこのネトルだそう。お姫様が手を血だらけにしてイラクサを摘み、足で踏んで糸を取り、白鳥に姿を変えられたお兄さんたちの呪いを解くため無言で服を編み続ける…というお話。
日本にある「イラクサ」は学名がちょっと違う別種ですが、やはりチクチクする葉を持ち、ハーブとして同様の効能があるのは同じようです。
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