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新型コロナ防止の外出制限、イギリスは「命令」、アイルランドは「お願い」

本日午後4時に政府より新たな発表があり、新型コロナウィルス感染拡大の防止に向けて、より厳しいガイドラインが示されました。
先日素晴らしいスピーチで国民の心をひとつにしたヴァラッカー首相ですが、今日はまず、国民が互いに協力し合って困難に立ち向うべくベストを尽くしていることを称賛し、政府のアドバイスに耳を傾けてくれてありがとう、と感謝の意を示してから、具体的な決定事項を述べました。

結果的にアイルランドは完全なロックダウン(封鎖)という措置は取らず、学校や施設の閉鎖を延長し、必需品以外の商店を新たに閉鎖し、不要不急の外出をより制限するにとどめました。国民へのメッセージは、これまでにも増して「家から出ないで」ということ。それを、

I am asking you to stay home if at all possible
(お願いですから出来る限り家にいてください)


と強い口調ながら冷静に訴えたヴァラッカー首相。昨晩イギリスのボリス・ジョンソン首相が、

You MUST stay at home!
(家から出てはいけません!)


と、語気を強めて命令調でロックダウン宣言したばかりでしたので、ヴァラッカー首相の国民への「お願い」という言い方がより印象的でした。
まるで北風と太陽みたい。☀☀☀
※ヴァラッカー首相の声明全文(英語)→Post Cabinet Statement, An Taoiseach, Leo Varadkar 24 March 2020

具体的な内容は、下記に箇条書きします。
当初3月29日までとして勧告された、3月12日の発表内容が4月19日まで延長され、明日から新たに下記事項が加わることになります。

●日々の外出について
・外出は、在宅勤務が不可能な場合の出勤、必要不可欠な生活用品の買い物、医者や歯医者の診療、他者へのケア、エクサイズに限る。
・必要不可欠でない他者の家への訪問は避ける。
・同居家族以外は、4人以上で集まってはいけない。
・心と体の健康を保つために家族や大切な人と会うのは必要だが、2メートル以上離れて会うことの出来る場合に限る。
・海外、国内ともに不必要な旅行はしない。イースター休暇も特例なし。

●施設、イベントについて
・劇場、クラブ、ジム/レジャー・センター、美容院、馬券売り場、(家畜などの)市、マーケット、カジノ、ビンゴ・ホール、図書館、それらと同様の施設は閉鎖。
・すべてのホテルは、必要不可欠ではない社交や観光での宿泊を制限する。
・必要不可欠でない小売店は閉鎖。その他の小売店は人と人の距離を保って開ける。
・すべてのカフェ、レストランは閉鎖。テイクアウト、宅配のみ営業。
・無観客を含むすべてのスポーツ・イベントはキャンセル。
・すべての遊技場(プレイグラウンド)、キャラバン・パーク(キャンピング・カーなどによるキャンプ場)は閉鎖。
・すべての祈りの場は、一回の入場数を、求められる人と人の距離が保てる数に限る。
・すべての屋内外での社交イベントは、規模に関わらず行わない。
・上記に従わない場合、人との距離を保たない場合は、警察が介入する。

●その他
・PCR検査の順番または検査結果を待つ間は、陰性の検査結果が出るまで、または症状が出てから14日間は、同居家族も外出を制限する。
・公園など込み合った場所は避ける。
・予定されている客船の入港は停止する。
・工場や工事現場は閉鎖しなくてよいが、働く人は人との距離をどのように保つか指導をあおぐことが出来る。

●警察の介入について
・公園や公共の場には、人と人の距離が保たれているかどうかを見張るレンジャーや警官が配置される。アイルランドでは独立以来、警察活動は強制ではなく同意により行われてきた。それが我が国のやり方であり、変えるつもりはない。警察の権力行使は慎重に行い、必要な場合にのみ行使する。



警察の在り方について、アイルランドでは「強制ではなく同意で」連行するとヴァラカー首相が言うのを聞いて、ああ、これが「ポリス(police)」ではなく「ガーダ(Garda)」なんだなあ、と再認識しました。
アイルランドでは警察官は英語の「ポリス」ではなく、「ガーダ」と呼びます。アイルランド語の「ガーダ・ショーカーナ(Garda Síochána)」の略で、アイルランド警察は「平和の保護者(Guardians of the Peace)」、つまりは「治安防衛団」なのです。

ヴァラッカー首相はそれを尊重して、コロナ防止のルールに対する警察の特別権力行使についても慎重な態度を示しました。

行使されずにすむように、各自がすべき役割を果たしましょう
(Let’s all play our part and ensure they are not used at all)


と述べた上で、こうも言いました。

独裁主義や厳罰主義を実用することなく、自由民主主義で対処できると信じています
(I believe a liberal democracy can do this without the need for authoritarian or draconian actions)


(「draconian」(ドラコニアン=過酷な、懲罰主義の)とは初めて聞く単語。厳格な法律を制定した、古代アテネのドラコンという執政官に由来するそうですが、なんだか『ゲーム・オブ・スローンズ』のエッソスにいそう…ですよね・笑)

昨晩イギリスのジョンソン首相は、ルールに従わない場合は警察が介入し、罰金の徴収もあり得ると言いました。すでに外出制限が行われているイタリアやフランスでも同様のことが行われていて、罰金の額が徐々に高くなっているという話も聞きます。
ヴァラカー首相は、我がアイルランドはそれをしませんよ、皆さんの自制心と責任感を信頼していますから、と言ったわけです。
これはアイルランド人の気質をよく突いていて、信頼して任せ、結果を待つのが相手へのリスペクト。任せられた人はその人が持てる最大の力を発揮しますから、それが合理的で、効率的で、早道であると、みな知らず知らずのうちにマインドセットされているように思います。

ちなみにヴァラッカー首相のこの発言を聞いて、なぜ私がこの国の水が合って、20年も心地よく暮らしていられるのかもよく分かりました。上から命令されると反発するけど、あなたがいちばん!って言われると(要するにおだてられると)何でも出来ちゃう…というタイプだから。
おそらく私は、ジョンソン首相のもとではへそ曲がり気質が出てしまい、決めごとに反発してばかりの人になってしまうでしょう(笑)。

話を政府の発表内容に戻します。
コロナによる失業対策として、先日制定されたパンデミック失業給付金の金額変更についてもアナウンスがありました。当初は一律週203ユーロを6週間…ということでしたが、350ユーロに引き上げられ、12週間(非常時が続く限り、との報道もあり)支給されるそうです。素晴らしい。
私も含め、この1週間から10日で大量な一時(もしかすると無期限の)失業者があふれた中での大幅な金額アップ。ありがたいことです。
雇用主は、従業員への給与支払いの70%(週410ユーロ上限)まで国の補助を得られるとのこと。

そして、新型コロナウィルスの検査費用、治療費用はすべて無料であり、当面は私立病院も国の管轄下に置かれ、国立病院と同じ扱いとするそうです。それにより治療施設を19、病床数を2000増やすことが出来ると。

ヴァラカー首相に続いて話をしたサイモン・ハリス保健省大臣は、医療関係者や流通関係者を称えるとともに、みながヒーローですよ!と国民を激励しました。「外出せず家にいるあなたもヒーローなんですよ」と。
ヴァラカー首相は40歳、ハリス大臣は33歳。高齢者が重症化する可能性が高いとされるウィルス対策ですから、若手の2人が指揮を取ってくれているのはなんとも頼もしいです。

本日の感染件数は昨日より204増え、1329件に。死者は1名増え7名に。昨日までに17992件のPCR検査が行われ、93%が陰性だということです。
北アイルランドは昨日より24件増で172。新たに2名の死亡が確認され、死者5名に。
著名人の感染カミングアウトも聞かれるようになりました。まるで肺にガラス片がたくさん刺さっているかのような、経験したことのない痛みだそうです…。

ヨーロッパ内、ヨーロッパから日本行きのフライトも次々運行中止となっています。海外旅行というものが今、全世界からなくなったんだ…と思うと、私の仕事が成り立たないのは当然。最後にお客様をご案内してからまだひと月も経っていないのに、なんだか大昔のことのようです…。
今は、出かけず家にいるのが仕事だと思っています。ハリス大臣の言葉どおり、私もヒーローにならなくちゃ。

皆さんもどうぞ、それぞれの場所で安全にお過ごしください。

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行きつけの近所の肉屋さん。入り口に「2メートル間隔で並んでください」と書かれた看板が。スーパーなどでは床に2メートル間隔でテープが張られていたり、レジ打ちの人が顧客に接触しないよう透明のプラスチック版の仕切りを設置したりしています…

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コメント

緩んだ気配

こんばんは、直子さん

いつもアイルランドの状態をアップしていただき有難うございます。

今夜は東京都庁小池都知事の会見がありまさした。
「感染爆発(オーバーシュート)の重大局面にある」とし、「平日に関してはお仕事は自宅で行っていただき、夜間の外出についてもお控えいただきたい。週末はお急ぎでない外出は控えてほしい」と。強制ではありません。。
今週の都内の電車は、先週に比べ人が多く感じられました。少し気が緩んだのでしょうか。。今夜の会見でまた明日から町中や電車内は人が減ると思います。感染経路が分からないのでなおさらです。
オリンピック・パラリンピックも延期が決まりました。私は賛同します。

日本人は日常的に手荒いなどをする公衆衛生管理をもっています。気をつけたいのは過信をせず行動する、それにつきると思います。

レオ・バァラカー首相の言葉、アイルランドでの心温まる行動、デイヴィッドさんのお母さんの心遣い。これだからアイルランドは魅力があるのです。

4月からアイルランドでの留学を予定していた方は、本当に心配ですよね。でもアイルランドです。最高の国で留学できるよう祈っております。私も秋に向かいます!

すみません、直子さん。コメントが長くなりました。直子さんのアイルランド情報は、アイルランドでの留学やビジネスをする方々の参考となり、とても貴重な情報です。
でも直子さんもお友達も、身体に気をつけて下さい!
私達も気を付けます!
それでは!

Re: 緩んだ気配

Yukoさん、コメントありがとうございます。嬉しいです。

オリンピックが延期されて、2つの点で本当にほっとしました。
ひとつは、観客やアスリートの安全確保。
もうひとつは、これで日本政府が国内の感染状況をはっきり伝えてくれるでしょう、ということ。オリンピックが出来る安全な国のふりをするのをやめて。

そうですね、日本は日々の暮らしに公衆衛生の概念が浸透していますものね。マスクは感染防止にならないとは言え、突然せきが出てしまい手でおおうのも間に合わない…なんて時には、初めからマスクをしていればノープロブレムですし。
旅行客の皆さんもウェットティッシュを携帯していて、食事前に手を拭いたり、バスの座席の手すりを拭いたりする人もいます。
やりすぎでしょ、って思ってましたが、そういう習慣の積み重ねの成果が、日本での感染を遅くしているのかな…という気はします。
こちらの人は手もろくろく洗ったことがなかった人、多かったと思いますから。

そういう日々の習慣も含め、政治の在り方とか、他者への接し方や思いやりとか、さらには命の尊さとか。いろいろなことを考えるきっかけととらえれば、非常事態からの学びも得られるというものです、ね。

秋には終息して、安全に来ていただける状況になっていることを願っています。
日本はこれから感染防止対策が大変になってくると思います。どうぞ安全に、お元気にお過ごしくださいね!

今後ともよろしくお願いいたします。

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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