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静かなセント・パトリックス・デーは「嵐の前の静けさ」…

お祭りもパレードもない静かなセント・パトリックス・デー。友人のディヴィッドとクリスティーンが「公園で一緒に散歩しよう!」と誘ってくれて、午後の数時間を2人と一緒に過ごしました。
ディヴィッドとクリスティーンは先週フランスで一緒にスキーをしていたメンバー。1週間同じ家に暮らし、同じ道筋で帰って来て、3人とも一人暮らしなので帰国後はスーパーに買い物に行く以外に他人と接触していない。政府の言う「2メートル離れて15分以内」のソーシャル・ディスタンス(他人との距離)を越えた範囲が共通しているので、このユニットで会う分には問題ないのでは、と考えたわけです。

私たちが単に「公園(the park)」と呼んでいるのは、敷地面積700ヘクタール、市街地に隣接する緑地としてはヨーロッパ一大きいフェニックス・パーク(Phoenix Park)のこと。東京ドームが150個、日比谷公園が45個、ロンドンのハイド・パークも5個すっぽり入ってしまうという巨大さです。
ここならソーシャル・ディスタンスを保つのも楽勝!(笑)

天気が良く、15度という暖かさに誘われて、思ったよりたくさんの人が園内をそぞろ歩いていました。アイルランドは今のところイタリアやフランスで行われているような外出禁止令は出ておらず、保健省はメンタル・ヘルスのためにも決められたソーシャル・ディスタンスを保ち、戸外で体を動かすことを奨励しています。
家族連れ、恋人同士、ひとりジョギングする人、フットボールやハーリングのキャッチボールをする親子、ベンチに腰掛ける年配のカップル…。ここでは世界はこれまで通り、何も変わっていないかのよう。

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写真では閑散としているように見えますが実際には多くの人がいて、グリーンを身にまといセント・パトリックス・デー仕様にしている人もちらほら

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園内にある大統領官邸。あとでニュースで知ったのですが、マイケル・J・ヒギン大統領ご夫妻も2匹の愛犬と一緒に官邸前へ出てきて、散歩する人たちと言葉を交わしていたそうです

おしゃべりしながら約1時間半ほど歩いたでしょうか。話題はもっぱらコロナウィルスのことだったけれど。

アイルランド人はこうやっって、家族や親しい人と公園や海辺をただ「歩く」ということをします。(「歩きに行こう」と誘われるので、この国に来たばかりの頃は意味が分からなかった・笑)
春の訪れを感じさせる新鮮な空気を吸いながら、気の置けない友人と歩いていると、ふと、昔のセント・パトリックス・デーはこんなふうだったに違いない…という想いがよぎりました。

アイルランドは貧しかったので、華々しい祭りやパレードが行われるようになったのは近年になってから。90年代後半、経済成長の兆しが見え始めた頃からやっと…といったところかと思います。それまでは特にイベントもなく、こんなふうに家族や親しい人と戸外へ出て、咲き始めたスイセンの花を愛でたりしながら、「もうすぐ春だね」、「暮らしもきっとよくなるね」なんて言い合って、静かに国民の祝日を祝っていたのだと思う。
80年代までのアイルランドは失業率20%越えが普通だったから、将来の不安と常に隣り合わせ。でもこの日だけはそれを忘れて、海の向こうへ移民した兄弟姉妹、おじさん、おばさんも元気にお祝いしているかしらね…なんて話して過ごしたのではないかと思うのです。

それを言ったらディヴィッドが、「そうか、昔に戻ったと思えばいいんだね」と、やけに合点がいったという様子で反応してくれました。
アイルランド人はこうやって親しい人とおしゃべりして歩きながら、楽しいことも、これから起こり得ることへの不安も分け合ってきたのでしょう。
そうか、だからアイルランド人は「歩く」のか!

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本日インスタグラムでさかんにシェアされたIrish Times Newsの写真。セント・パトリックス・デーにおばあちゃんに会いに来たエレナちゃん(7歳)とルーシーちゃん(5歳)。ソーシャル・ディスタンスを守ってガラス越しに大歓迎するおばあちゃんの姿に笑える、そして、泣ける…

カフェはどこも開いていないので、公園の帰りにディヴィッドの家でコーヒーとレモン・ドリズル・ケーキ(私の好物と知っていて買って置いてくれたのでしょう)をご馳走になりました。
思いがけず楽しいセント・パトリックス・デーに。ディヴィッド、クリスティーン、ありがとう。

帰宅後、夜9時から国営放送のテレビでヴァラカー首相の緊急スピーチがあるというので、自宅のテレビの前にスタンバイ。
なんだか戦時中みたい、と思ってしまいました。ドラマや映画で、ラジオの前にみんなが集まって戦況に耳を澄ませて一喜一憂する…そんなシーンが思い浮かんでしまって(笑)。

このような首相の緊急スピーチがテレビで生放送されるのは異例なこと。
約12分間、かたづを飲んで見入りました。「緊急事態は3月29日以降も夏に向けて数か月続くだろう」、「今は嵐の前の静けさで、このあと大波がやって来る(This is the calm before the storm and the surge will come)」、ときっぱり言い切ったレオ・ヴァラカー首相の言葉がいつまでも耳に残りました…。
→RTE News : Covid-19 emergency to continue beyond March - Varadkar

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コメント

うーん、、、

そーなんですかー。
夏?、大波?、
想像できない長さと大きさです。(@_@)

でも、いろんなことを、一旦リセットしてみるいい機会と捉える、(ある意味)いい機会かもしれないですね。

私が、感じるのは、今の日本は、健康的なことより経済的なことのへ打撃の方がも重視されているように感じます。
アイルランドより先にコロナの患者が出たことやいろんな文化の違いがあるかもしれません。

Re: うーん、、、

ようはっぱさん、こんにちは。

日本は人口もサイズも国の規模が違うので何とも比較できませんが、対応がゆるくて驚きます。

もちろん経済も大変です。昨日の首相のスピーチでも取り戻すのに何年もかかるでしょう、と言っていました。失業、倒産、相次ぐでしょう。それに対して政府は精一杯の支援をするので、皆さんも我々の言うことをよく聞いて覚悟を決めてください、互いに助け合いましょう、というのが昨日の首相から国民へのメッセージでした。

日本も一国のリーダーが事実と見通しをはっきり示して、真摯に国民に訴えるような場面があってもいいのでは、と思います。
真摯な言葉は人を動かします。オリンピックどうするかとか言っている場合じゃないと思う。身近な人が、無差別に広がるウィルスで死ぬかもしれない危機なのに。

そうですね、一度リセットしていろいろなことを考えてみる良い機会というのは、私も賛成です。
私の仕事も大変なことになってくるでしょうから、ほかに出来ることがないか考え見る良いチャンス。人類はきっと今、試されているのですね、このウィルスに。

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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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