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フランスでのスキー旅行を終え、新型コロナウィルスの現実に直面…

フレンチ・アルプスでのスキー休暇を終え、昨晩ダブリンに戻ってきました。
ダブリン空港に到着するや否や、フランス全土でカフェ、レストランが閉鎖されることになったとのニュースが飛び込んできて、あまりのタイミングに言葉を失いました。つい数時間前までフランスの小さな村のベーカリーでランチしていたのに。最後に食べたクロワッサンとホットチョコレートの味が思いだされて、なんとも言えない気持ちに…。

そして今朝、フランスのスキー場がすべて閉鎖されたことを知りました。昨日まで普通にすべっていたのに!
なんと深夜に突然発表されたそうで、現在3万人のイギリス人が退去を命じられて大混乱しているそうです。イタリア、オーストリア、スイスのスキー場が次々閉鎖を発表していたのでフランスも間もなく…とは思っていましたが、こんなに突然に。
私たちも帰国日が1日遅かったら、大変なことになっていたでしょう。

この1週間で、私たちが住む世界はすっかり変わってしまいました。
新型コロナウィルスの感染は今やヨーロッパが最前線となり、イタリアに続き、スペインも大変なことになっています。アイルランドの感染件数はこの1週間で100以上も増え、昨日の時点で129件、2人目の死者も出ました。北アイルランドの感染件数も30件を超えています。
3月6日のブログで「感染者は出ているけれど、'business as usual'(=通常通り)です」とお伝えしたのが遠い昔のことのよう。ほんの1週間で事態がここまで悪化し、学校閉鎖、文化施設閉鎖、出来る限り在宅勤務…という大規模な「封じ込め」策がアイルランドでこんなにすぐに始まるとは正直思っていませんでした。

スキー休暇中、日を追うごとに話題はコロナウィルス一色となり、リフトやゴンドラでもスマホのニュースを追う日々。まだジョークにして笑える余裕がありましたが、それも不安の裏返し…だったかも。
地震や台風など人知を超えた自然災害で多数の命を失う体験を近年にたびたびしてきた日本に比べ、アイルランド人は緊急事態への対応にナイーヴかもしれません。それでも互いを喚起し合い、少々パニックになったりしながらも、みなで対峙すべきこととの認識を日に日に強めていく姿に私も感化されました。

昨晩ダブリン空港に到着した私たちは、休暇に出かけた1週間前とは明らかに違っていました。出発の時の高揚した気分とはうって変わって、待ち受ける現実に戦々恐々…といった心境で小雨の降るダブリンに到着。
ジュネーブ空港からのエアリンガス機には飲み物・食べ物は一切搭載されておらず、ターンテーブルではスーツケースが1時間以上出てきませんでした。
在宅勤務の奨励で現場にいる空港職員が少ないこと、チェックイン後に気を変えて乗るのをやめた人のスーツケースがそのままになって混乱を招いていることなどが原因だろう、という噂でしたが、はっきりした理由は分からずじまい。シカゴから到着した人はすでに8時間(!)スーツケースが出てくるのを待っている…と言っていましたから、明らかに異常事態です。

今回のスキー旅行は総勢9名、日頃から気の置けない仲間同士で、スキーやサーフィンに何度も一緒に海外に出かけているメンバーです。普段だったら「じゃあ、また来週!」なんて気軽に別れるのに、昨晩はなんだか去りがたい雰囲気でした。
今後数週間のうちに予定されていたサーフ・クラブの飲み会、週末旅行、一緒に出場するはずだったマラソンなどはすべて中止、スキー旅行の反省会と称してリユニオンすることもしばらく出来そうにありません。いつまたみんなに会えるやら…と思うととても寂しかったです。
高齢の両親の介護をしているスティーブン、月曜日から医療現場へ戻る看護師のシュネード、航空機リース会社の危機管理部門の責任者クリスティーン、7歳の娘がいるシングル・ファーザーのマルコス…。みな、それぞれの立場で不安を抱え、今後数週間の暮らし方を危惧しています。
フランスからスイスの空港経由で帰ってきた私たちは政府が定める自己隔離の対象ではありませんが、無差別に人が密集するところを通ってきたので、自主的に自己隔離すべきという気持ちになっています。数日前のヴァラッカー首相のスピーチのとおり、「仕事以外での他者との接触をできる限り減らす」ことを実行すべきだと。

多くのアイルランド人は今回の事態を非常に深刻に受け止めています。
アイルランドにはIUCのベッドが270しかなく、このペースで感染が拡大していったら医療機関はいずれは破綻してしまいます。感染件数21000以上、1440人以上の死者が出ているイタリアの医師たちが、今メディアに盛んにうったえています。イタリアでは学校を閉めた意図が理解されずみな外に出かけてしまった。その教訓を活かし、人と集ったり、立ち止まって話しこんだりせず、とにかく家にいるように、と。
Italian doctor warns Irish people to change lifestyles

いずれは国民の6割程が感染するという見方もあり、ウィルスの広がりを止めることは不可能なようですが、感染の速度を遅らせて、医療機関の負担を減らすことは出来ます。そうすることでひとりでも多くの命を救いましょう、というのがアイルランド政府が今しようとしていることです。

ヴァラッカー首相は3月12日(木)の声明を、以下のような言葉で締めくくりました。
(全文はこちら→Statement by An Taoiseach Leo Varadkar On measures to tackle Covid-19 Washington, 12 March 2020

Acting together, as one nation, we can save many lives. Our economy will suffer. It will bounce back. Lost time in school or college will be recovered. In time, our lives will go back to normal.(中略) We have experienced hardship and struggle before. We have overcome many trials in the past with our determination and our spirit. We will prevail.

国民がひとつになり共に行動すれば、たくさんの命が救える。経済は落ち込んでもまた回復する。学校の遅れは取り戻せる。やがては普通の暮らしが戻って来る。(中略)我々は過去の歴史において幾度もの苦難にされされたが、強い意志と精神で乗り越えてきた。きっとうまくいく。


私も今月、来月の仕事はほぼ全てキャンセルとなりましたが、自分が元気でいればまた取り戻せます。平常時になれば、また皆さん来て下さいます。
仕事や経済がどうこう、教育の遅れがどうこう以前に、まずはウィルスによって命が無駄に奪われることを防がなくてはなりません。落ち着いて、自分がすべきことをして、アイルランドの皆さんと一緒に乗り越えて行こうと思います。

stmartinski032019
アイルランドは小さな国です。今後身近な人々にも感染が拡大してくるかもしれません。楽しかったスキー旅行の写真を見るとなんだか涙が出そうですが、すべきことをしていきたいと思います

【同日17:35、追記】
先ほど政府より発表があり、今夜より3月29日まで全国のパブやホテルのバーがすべて閉鎖されことになりました。今朝ヴァラッカー首相が、室内での100名以上が集まる行事の中止にはパブやナイトクラブも含む旨を強調したのを受けて、ダブリンのテンプルバー(Temple Bar, Dublin 2)のパブが自主的閉鎖を決めたのが引き金になったようです。自分たちのビジネス優先ではなく、安全と健康第一に行動するパブのオーナーたちの責任感と行動力が素晴らしい。
従って、セント・パトリックス・デーの休日もパブは閉鎖となります。ハウス・パーティーもしないように、と政府から注意が促されています。

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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