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シィーシャ・ローナン主演『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

映画『Little Women(リトル・ウィミン)』(邦題:ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語)を観て来ました。
タイトルのとおり、19世紀アメリカの名作小説『Little Women(若草物語)』が原作。アイルランド人女優シィーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)が主人公ジョーを演じるとあって、楽しみにしていた一作です。
アイルランドでは年末に公開されましたが、日本滞在中で観に行くタイミングを逃し、せっかくなので久しぶりに原作を読み返してから…なんて思っていたら上映劇場が少なくなってきてしまったので、急いで出かけてきました。
(日本公開は今月下旬の予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で初夏に延期されたようです→日本の公式HP

littlewomenmovie
シィーシャ・ローナンの主演女優賞含めアカデミー6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞。19世紀アメリカのカントリー・スタイルがとても素敵でした

観終わった感想は…、初めから終わりまで大満足の2時間15分でした!
『レ・ミゼラブル』や『オリエント急行殺人事件』などもそうですが、誰もが結末を知っているような名作を映画化するのはなかなか難しいのではないかと思います。エンディングがどうなるの?…とワクワクどきどきすることでは楽しんでもらえないわけですから。役者の演技がものすごく冴えているとか、演出にひと工夫あるとか、ストーリー展開以上の付加価値が必要ですが、この作品はそのどちらにも成功しているという点で素晴らしかったです。

【この先は、結末には触れていませんが、原作を知らない方にはエピソードがネタバレになるかも】
全4作ある小説『若草物語』シリーズのうち、ベースとなっているのは四姉妹の成長過程が描かれた最初の2作。話の流れはおおむね原作どおりですが、時系列に展開するのではなく、姉妹がすでに実家を離れた第2作の途中から唐突に始まります。
結末にもなり得るようなことを最初に言っちゃっていいの?…と心配になると同時に、私が好きなのは四姉妹の少女時代なのにそこは飛ばしてしまうの?…と危惧していたらそんなことはなくて、主人公のジョーが過去を回想するかたちで、今、昔、今、昔…と物語が進んでいくのです。それが少々コンフュージングでもあるのですが、演出効果絶大。記憶をたどるというノスタルジアの中で、物語のテーマである姉妹の、特にジョーの成長が浮き彫りになっていきます。

私が『若草物語』を最後に読んだのは、おそらく30年以上前だと思います。ストーリーの細部をほとんど忘れていると思ったから映画を観る前に原作を…と思ったわけですが、読み返さなくてかえってよかった。というのも、ジョーが過去を振り返る時、私も一緒に振り返ることが出来たから。
子供の頃に出会い、繰り返し読んだ作品というのは、血になり肉になっているのかもしれません。記憶の底に沈んでいた物語の中のさまざまなエピソードが、ジョーの回想と共にまるで自分の身に起こったことかのように懐かしくよみがえってきました。
そうそう、エイミーの悩みは鼻が低いことだったけ、とか、ジョーとエイミーは天敵でよくケンカしてたわね、とか。湖の氷が割れてエイミーが落っこちたこと、ジョーが自慢の髪を切って家族を助けたこと、べスが猩紅熱にかかって命取りになったこと、メグのドレス好き、クリスマスの素敵なご馳走、厳しくも優しいローレンスさんや手強いマーチ伯母さん…などなど。
涙があふれて仕方ありませんでしたが、物語に感動したというより、子供時代の親しい友に再会したような懐かしさに胸がいっぱいになったせいだと思います。

主演のジョー役のシィーシャ・ローナンですが、すっかり大人になりましたね。今やアカデミー賞ノミネートの常連で、アイルランドのアカデミー賞(IFTA)はすでに9度受賞しており、史上最多記録。25歳の若さで、名実ともにアイルランドを代表する大女優です。
思えば13歳で「つぐない」に出た頃から、独特の存在感と透明感を放っていました。彼女がまだティーンエージャーだった頃、ディングル・タウン(Dinegle, Co. Kerry)のレストランで偶然に隣り合わせたことがあります。そのまた数年後、ダブリンの映画祭でボーイフレンドと一緒のところを見かけて、大きくなったなあ、なんて思っていたのですが、もう25歳ですか。

「ブルックリン」の時は、田舎娘がニューヨーク暮らしで洗練されていく様を演じるため、わざとぽっちゃりしてから徐々にやせていく役作りが秀逸でしたが、本作ではのっぽでボーイッシュなジョーに扮した小枝のようなスリムな体型も印象的でした。

そして全くの余談ですが、マーチ家のお手伝いさんのハンナはアイルランド系です。
『若草物語』は作者オルコットの自伝的小説で、19世紀後半のボストン近郊のコンコードが舞台ですから、アイルランド移民が多かったことでしょう。アメリカ文学発祥の地とも言われるコンコードは、子供の頃から憧れの、いつか訪ねたい場所のひとつです。

ちなみに映画の撮影はパリやニューヨークのシーンもすべて、コンコードと周辺の米マサチューセッツ州ボストンやハーヴァードで行われたそう。雪景色のオーチャードハウス(マーチ家のモデルで、作者オルコットが住んだ家)、ヨーロッパ風の屋敷の数々、紅葉が美しい森や丘、レトロな町並み…など、古き良き時代の景観をたっぷり楽しめます。
オーチャードハウスは歴史的建造物のため、実物での撮影はほんの少し行われたのみ、室内はレプリカだそう。詳しいロケ地案内がありましたので参考まで。
LITTLE GETAWAY Where is Little Women filmed? US locations revealed including the house that inspired the original book(The Sunより)
Visit these Little Women filming locations in Massachusetts(Lonely Planetより)

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コメント

シィーシャ(^_^)

若草物語、私は(も?)大大昔に読んだ本です。
アスパラガスを茹でる時や傘立てを見た時にはいつもその本を思い出します。
(^_^)

シックスネーションズの時期だけ加入するWOWOWで、今度「レディバード」をやるので、楽しみにしています。
この映画でもアカデミー賞にノミネートされていましたね。

Re: シィーシャ(^_^)

ようはっぱさん、シックスネーションズの試合が軒並み延期となってしまいましたが、別の楽しみもあって良かったです!
「若草物語」、映画を観た後で久しぶりに読み返していますが、面白いです。アスパラガスをゆでる場面は出て来ませんが(笑)

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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