ウィンターフェル・キャッスルへ行く途中に、近くにあるロケ地も一か所ご案内しました。
12世紀建立のインチ・アビー(
Inch Abbey, Co. Down, Northern Ireland)の廃墟です。

シトー会の修道院廃墟。現存する部分の多くは12~13世紀のもの。中世には大変繁栄した修道院でしが、16世紀に閉鎖され廃墟に
ここはシーズン1の最終章となるエピソード10に出てくる、ロブの野営地。ロブの野営地は
昨日のブログでキャッスル・ワードの敷地内にあると書きましたが、ほかにも2か所あり、そのうちのひとつがこちらインチ・アビーです。

これがそのシーン、キャトリンの背後にインチ・アビーがバッチリ映っています(PC画面をスマホで撮影)
うそー、そんなことがあっていいのー!まだシーズン1なのにー!…と誰もがびっくり&やるせない気持ちでいっぱいになったシーズン1・エピソード10のあの場面の直後。悲しい知らせを聞いたキャトリンが息子ロブに伝えに行く…という印象的なシーンですので、記憶にある方も多いことでしょう。
スターク家の捕虜になったジェイミーが捕らえられていたのもここですね。
インチ・アビーのほとりには、クィール川(River Quoile)という川が流れていて、その景色もとてもきれい。
「クィール(Quoile)」は「狭い(narrow)」という意味のアイルランド語で、その名の通り幅の狭い川なのですが、アビーのある辺りから徐々にストラングフォード湖(Lough Strangdord)へ流れこんでいき、その広がりある景色はなんとも風情があります。

写真では小さいですが、木の枝越しに対岸に見える塔のある教会はダウン大聖堂(Down Cathedral, Downpatrick, Co. Down)。5世紀にアイルランド島にキリスト教をもたらしたと言われるアイルランドの守護聖人、聖パトリックの墓所のある教会です
ここではシーズン3・エピソード3のお葬式のシーンを撮影。タリー家の伝統にのっとった船に乗せた遺体を川に流す、あの印象的な葬儀のシーンです。
ちなみにクィール川が注いでいくストラングフォード湖は、キャッスル・ワードの敷地内でのシーンでしばしば背後に登場しています。ツイン・キャッスル(シーズン1・エピソード10)を隔てる川もそれ。
海への入り口が狭いという地形上の特徴と潮の流れの影響で水の流れがものすごく速く、ツイン・キャッスルのシーンは早朝の満潮時を狙って撮影されたそう。(→
昨日のブログ参照、そのシーンの写真あり)
インチ・アビー建立以前、この地は800年頃からアイルランド島に攻め込んできたヴァイキングがさかんにやって来た場所のひとつでした。ダブリンのクライストチャーチ大聖堂を建てたデーン人(ヴァイキング)の王様シトリックが1002年に最初に上陸したのもここ。
舳先のとがった幅の細いヴァイキング船で海から川をさかのぼり上陸、ここからダブリンへ南下していったのでしょうか。
当時はここは川の中洲で、「インチ」とはアイルランド語で「島」を意味する「inis(イニシュ)」に由来します。さまざまな侵入者がここを行き来した地なのでしょうね。歴史とドラマの世界がオーバーラップして感じられました。
『ゲーム・オブ・スローンズ』のロケ地としてインチ・アビーを紹介した映像がYouTubeにありましたので、ご紹介しておきます。
Game of Thrones location Ireland- Inch Abbey
この翌日にお客様をご案内して行ったコーズウェイ海岸、アントリム海岸沿いのロケ地については、また追ってご紹介させていただきます。

この日のドライバー、クレイグはベルファースト出身。彼のお兄さんも『ゲーム・オブ・スローンズ』に歩兵役で出演したそうです!
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