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ストーモント(北アイルランド自治政府)、3年ぶりに復活

気がつけば1月も半ばを過ぎ、月末のブレグジット(英国のEU離脱)まであと2週間。当初の予定(昨年3月末)から延びに延びましたが、今度こそ現実のものとなりそうですね。

英国で唯一EU(アイルランド共和国)と陸の国境を有する地域であることから、その影響が注目されてきた北アイルランド。先月行われた英国の下院総選挙で離脱を目指す与党・保守党が圧勝し、それにより1月末の離脱がほぼ確定したわけですが、北アイルランドではナショナリスト側が初めてユニオニスト側(注1)の議席数を上回るという真逆の結果となりました。
(※注1→ナショナリスト=アイルランドへの併合を求めるカトリック系=残留派、ユニオニスト=英国の統治継続を求めるプロテスタント系=離脱派)

英国内における北アイルランドの人口比率、単純小選挙区制の下院定数比率が小さい(注2)ため総選挙全体の結果には響かなかったものの、一連のEU離脱騒動を通して北アイルランドのマジョリティーが変わってきていることは明らか。これまで英領であり続けることを良しとしてきたユニオニストの中にも、「EU離脱後の英国の一部であり続けるより、(EUである)アイルランドにくっついている方が将来の見通しが明るいのでは…」と考え始める人が出てきたということかと思います。
(※注2→英国の全人口は約6600万人で、イングランドの約5600万人に対し北アイルランドは約190万人。下院定数650のうち、イングランドが533を占めるのに対し、北アイルランドは18と小さい)

以上のような流れの中で、ここへきて3年間も機能停止状態にあった北アイルランド自治政府スト―モント(Stromont)が、1月11日をもって復活。

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イギリス議会を「ウェストミンスター」と呼ぶように、北アイルランド議会は議会堂の建物の名から「スト―モント」と呼びます。1932年完成の、東ベルファーストの高台にそびえるように建つ白亜の殿堂。内部の見学も可能→Tours of Parliament Buildings)(ちょっと前の写真ですみません、2012年8月撮影)

2017年1月、再生可能エネルギーの政策費用高騰をめぐるスキャンダルをきっかけとして、そもそも不和だったDUP(ユニオニスト政党)とシン・フェイン党(ナショナリスト政党)が激しく対立。議会は崩壊し、政権不在状態に陥っていました。
先月英政府の働きかけで自治政府発足に向けた主要5党による協議がようやく始まり、晴れて仲直り…という運びになったようです。
13日には英国のボリス・ジョンソン首相とアイルランドのレオ・ヴァラッカー首相がスト―モントに集い、喜びを表明しました。
Johnson says Stormont talks with Taoiseach 'productive'

ただ、今後もこれが維持されるのかは不安…というのが、長きにわたる対立の歴史を見てきた住民の率直な想いのよう。
昨年北アイルランドでの取材をご案内させていただいた産経新聞の板東和正記者もそれを指摘しておられ、現場の声を聞いたからこその実感を記事にしておられます。
英領北アイルランドで3年崩壊していた自治政府復活 継続に向け未だに残る不安

北アイルランドでの建設的な動きが表面上のジェスチャーに終わることのないよう、そして、ここまで来たら、2週間後に迫ったブレグジットをつつがなく迎えられるよう、願うばかりです。

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スト―モント全景。建物はシンメトリーで、北アイルランドの6州にちなみ柱も窓も部屋の数も、シャンデリア、街路樹、ゴミ箱の数に至るまですべてが6または6の倍数!逆光で見えにくく申し訳ありませんが、ドラマティックなポーズの銅像はエドワード・カーソン(Edward Henry Carson, 1854 – 1935)、北アイルランド統一党のリーダーで、元祖ユニオニストのような人物。オスカー・ワイルドを同性愛の罪で糾弾した弁護士がこの人で、そのストーリーは『A Trinity of Two』という対話劇で再現されていますね(2019年2月撮影)

※参考にさせていただいた記事→北ア自治政府、3年ぶりに復活(NNA EUROPE ヨーロッパ経済ニュース)/「強硬」から「穏健」へ 政治の潮目が変わった北アイルランド(by 服部正法氏・毎日新聞)

※北アイルランドとブレグジットに関する過去ブログ→ブレグジットと北アイルランド国境問題国境なきアイリッシュ・ラグビー、ブレグジットへの懸念…南北アイルランドの国境を水路で超える(カーリングフォード湾)FNNニュースで北アイルランド国境問題…これからオンエアです!ブレグジット「合意なき離脱」に備え、グリーンカードを申請…ブレグジットの国境問題の取材元テロリストが語る、ブレグジットとテロ再燃の懸念(産経新聞)新聞記者ライラ・マッキーさんの死と、産経新聞の記事ブレグジットの焦点、これが北アイルランドの国境

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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