ご案内中の周遊ツアーが本日無事に終了。日々良いお天気に恵まれ、皆さん元気に帰国の途につかれました。
このツアー中、今月末に控えたブレグジット(英国のEU離脱)の離脱交渉に大きな進展が見られ、英国とEUが離脱条件でついに合意に達しました。
焦点となっていた北アイルランド国境での税関審査は行わず、国境は開いたままにすることに。つまり、アイルランドと北アイルランドの人やモノの行き来は、これまで通り自由に行われるという内容です。
詳しい内容については、英国在住のジャーナリストの方がまとめたこちらの記事が分かりやすいです。
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英国がEUと急転直下の合意 10月31日にEU離脱の可能性(ポイントとなる合意内容はこちら。上記の記事から抜粋)
(1)EUの規制が北アイルランドのすべての財(モノ)に適用される。
(2)北アイルランドは英国の関税地域に留まる。従って北アイルランドは英国の貿易政策の恩恵を受ける。
単一市場へのエントリーポイントとして残る。英国当局は北アイルランドに入る財が単一市場に入る可能性がない限り、英国関税を適用。単一市場に入る場合はEU関税を適用。
(3)付加価値税(VAT)では単一市場との整合性を維持する一方で、英国が主張するデジタル解決策を尊重する。
(4)この枠組みが施行されてから4年後、北アイルランド議会はこの枠組みの中に留まるかどうかを単純多数決で決定する。
この発表があったまさにその日に、ツアーの皆さんと北アイルランド国境を越えて、アイルランド共和国へ入りました。
世界が注目する話題の国境。せっかくなのでツアーバスを止めて、皆さんの足で歩いて国境越えを体験していただきました。

北アイルランドのストラバン(Strabane, Co. Tyrone)からアイルランド共和国のリフォード(Lifford, Co. Donegal)へ。フォイル川に架かる橋が国境。看板は、ブレグジットにより国境管理が復活することを懸念する「ノー・ハード・ボーダー(=物理的な壁を作らないで)」
速度制限の看板に注目。北アイルランドは英国本土と同じマイル表示ですが、アイルランドはキロメートル表示となります。

ストラバン(北アイルランド)へ向かう方は「40マイル」と出ていますが…

リフォード(アイルランド共和国)へ向かう方は「50キロメートル」となります。国境をなくして全島でアイルランドになることを希望する「イエス・フォー・ユニティー(=統一に賛成)」の看板もありました
英国とEUがここへきてやっと折り合いをつけて前進出来たのは、先日アイルランドのレオ・バラッカー首相と英国のボリス・ジョンソン首相が会談し、バラッカー首相が北アイルランド和平の点からジョンソン首相を説得してくれたからのようです。
あとは英議会を通すのみ…ですが、これがまた前途多難ですね。採決はまさに今行われていますが、いざ通ったら通ったで、大多数の人の安堵とは裏腹に、北アイルランドのロイヤリストたちが黙っていないでしょう。
全500キロの国境線がこれからも侵害されることなく、住民の平和が守られますように。そんな想いをお客様と共有しながら、ブリグジットに揺れる国境線を越えたのでした。

日本では体験出来ない陸路での国境越えを楽しむお客様たち。手前の色が濃くなっている部分が橋の真ん中、国境の線です
※関連の過去ブログ→
ブレグジットと北アイルランド国境問題/
国境なきアイリッシュ・ラグビー、ブレグジットへの懸念…/
南北アイルランドの国境を水路で超える(カーリングフォード湾)/
FNNニュースで北アイルランド国境問題…これからオンエアです!/
ブレグジット「合意なき離脱」に備え、グリーンカードを申請…/
ブレグジットの国境問題の取材/
元テロリストが語る、ブレグジットとテロ再燃の懸念(産経新聞)/
新聞記者ライラ・マッキーさんの死と、産経新聞の記事【追記・同日22時15分】
このブログを書いている間に進展が…。英議会で、離脱協定案は可決されたものの、期日までに離脱するためのスピード審議は否決されたとのこと。(←複雑…)
これにより、今月末の離脱はほぼ不可能に。ああ、またひと波乱ありそう。終わりなきブリグジット…。
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コメント
榊原富雄
2019/11/07 URL 編集
naokoguide
ははは、お別れのハグ、私も嬉しかったです。旅の思い出は美しい景色はもちろんですが、やはり「人」との交流ですよね。
斉藤さまのHP、私も拝見しました。とても楽しい、素敵なグループさんをご案内出来て、光栄に思っています。
ぜひまたいつか、お目にかかれます日を楽しみにしています!
2019/11/07 URL 編集