今日は通訳の仕事でギネス(Guinness)へ。飲食関係のエキスパートの方々の視察のご案内で、通常の観光では入ることの出来ない、ギネスの製造工場を見学させていただきました。

ロースター(焙煎窯)に入る前の大麦が貯蔵されるサイロ
ギネスのようなスタウト(黒ビール)は、ダークな色と香ばしい風味が特徴。これは、通常ビール作りに使用される麦芽に、焙煎した大麦が加わるためですね。
この焙煎する行程を自社で行っているのは、アイルランドではギネスだけ。仕込みや発酵を行う醸造エリアには過去にも入ったことがありますが、焙煎所に入るのは今回が初めてでしたので、とてもワクワクしました。

巨大なロースター(焙煎機)が4台あり、うち2台が常に稼働しているそう。通訳に忙しくてロースターの写真は撮れませんでしたが、こちらは材料の配分・配合などが記された、1905年当時の貴重なレシピ本
説明されたことの中で興味深かったのは、1880年に法律が変わるまでは、焙煎するのは大麦ではなく、麦芽でなくてはならなかった、ということ。
保存されているレシピ本は法律改正後のものなので、材料の「焙煎した麦芽(Roasted Malt)」のマスは見事に空白になっていました。
ちなみにギネスに使用される焙煎した大麦と麦芽の配分は、1対9くらいだそう。全体のたった1割の焙煎麦が、ギネスをギネスたらしめる色と風味を醸し出していることに驚きです。
醸造エリアへ行く途中、ギネス発祥の地を見せてもらいました。
1759年、初代のアーサー・ギネスが賃貸で始めたビール工場はたったの4エーカーでした。現在の敷地面積は55エーカー。260年の時を経て、創業時の約14倍になったわけです。

今は駐車スペースとなっているこの辺りが創業時の工場跡地。アーチがギネス発祥地を示す、有名なセント・ジェームス・ゲート(St Jame's Gate)。縦長のレンガの家屋(トーマス通り1番地)はアーサー・ギネスの住まいでした
1880年頃に最盛期を迎え、世界一のビール工場として隆盛を極めたギネス。
工場の敷地はトーマス通りを挟んでリフィー川岸まで広がり、通りを挟んだ南北両エリアを結ぶ地下トンネルが建設されました。トンネルは現在も使用されていて、地上を歩くと20分かかる距離も数分で移動出来てしまいます。

私たちもそのトンネルを通って、仕込みが行われている醸造所へ
現在稼働しているのは、2014年9月に新規オープンした第4醸造所。ムダを省き、エネルギーの再利用など最大限の省エネを可能にした工場として評価されています。

仕込み中のステンレス製の巨大容器。マッシィング(粉砕した焙煎麦と麦芽をお湯に浸してぐるぐる混ぜる)→濾過→ホッピング(ホップを加えてグラグラ煮る)→濾過…という行程がここで行われます
このあとイースト菌を加えて発酵させ、約6日間の熟成を経て出来上がり。全行程にかかる日数は約10日間だそう。
年間製造量は訳し流してしまったので覚えていませんが、確か1日にして約200~250リットル…だったように記憶しています。はぁ~、すごい量。そして、これだけの液体が次々飲まれていくという事実もスゴイ。(おそらく半量は輸出でしょう)
普段はなかなか入ることの出来ないギネス製造の現場。初めて知ることも多く、聞けば聞くほど、ギネス愛が増します。
通訳しながら「へぇ~」とか「ほ~」とか声をあげてしまう場面も多く、「今日の通訳さんは楽しんでるねー」とお客様に笑われてしまいました(笑)。
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