国会議事堂、国立図書館、国立考古学博物館など、アイルランドを代表する重要な建物がずらりと並ぶダブリンのキルデア通り。
1654年創立の由緒ある王立医科大学(Royal College of Physicians of Ireland)の本部もここに置かれています。

現存する建物は
1864年完成。
いつも気になりながらも内部を見るチャンスのなかったこの建物ですが、この度修復工事も終了し、ツアーガイド協会(
AATGI)のメンバーを対象とした見学ツアーが行われ、参加してきました。
英国時代の名残りで、未だに「王立」の名を残すこの学校。現在は
大学院レベルの医学生の専門教育機関として機能しており、キルデア通りの本部は記念ホール的な役割を果たしているとのこと。
こちらはエントランス・ホールに飾られた
校章。

天界から降りてくる神の手と、アイルランドの国章であるアイリッシュ・ハープのデザイン。しかしよ~く見ると、手とハープの間には王冠が。
オリジナルは、天界からの神の手を横向きの別の手が支えるデザインだったそうですが、
1801年、アイルランドが正式に英国に併合(Act of Union)された時に、手を消して英国王室を象徴する王冠に代えてしまったそうです…。
こちらは
メイン・ホール。

この部屋の真ん中にうやうやしく置かれた展示ケースには、
かのナポレオンの形見の品々があり、びっくり。
こちらはなんと、
ナポレオンが使用していた木製の歯ブラシ!
歯ブラシの歴史についてはよく知りませんが、200年前から現代とほぼ変わらぬ形のものが使用されていたんですね~。
他にもナポレオンの血肉を切った(!)メスなど、オタクな展示品が…。いずれも、アイルランド海軍の軍医であったカウンティ・ティペラリー出身の
バリー・オマラ博士(Dr. Barry O'Meara)のコレクション。
何故このようなモノがアイルランドにあるかというと、このオマラ博士なる人物が、
ワーテルローの戦い(1815年)で失脚して島流しとなったセント・ヘレナ島での、ナポレオンの専属医だったのだそうです。
素晴らしい図書室もあり、大学が所有する3万冊の蔵書の半数がここに収められているとのこと。

面白かったのは、この
「もしもしチューブ」。

図書室での静寂を保つため、他の部屋とコミュニケーションはこのチューブで「もしもし」して行われたとのこと。
3つの部屋につなげられたチューブは糸電話と同じ原理。19世紀のアイデア商品ですね~。
さらに地下の展示ケースには、19世紀に使用されたメスや注射器、聴診器(木製の巨大なもの)など面白いものがたくさんありましたが、やはり「ナポレオンの歯ブラシ」のインパクトにかなうものなし。
きっと探せばまだまだあるであろう、
人知れず展示されているダブリンの「オタクなコレクション」発掘に、がぜん興味がわいてきたのでした!
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2006/11/17 編集