先週のO様ご夫妻との旅で、南東部ウェックスフォードの町の近くにあるジョンズタウン・キャッスル(
Johnstown Castle, Co. Wexford)を訪ねました。

1000エーカー(約400ヘクタール=東京ドーム80個分!)の広大な敷地にたたずむ、19世紀のゴシック・リバイバル様式の城館
城の敷地はこれまでも一般開放されていましたが、城内が公開されたのは今年6月から。過去の栄光を再現することを目的に、4年間かけて大々的な修復がほどこされ、ガイド付きツアーで見学できるようになりました。
O様ご夫妻とご一緒にツアーに参加し、約1時間にわたり、12世紀にはじまる城の歴史や変遷を詳しく解説してもらながら見学しました。

こちらが城の表面玄関。ツアーはここから始まります。12世紀の築城当時の城が入り口近くにあったそうですが、20世紀に取り壊してしまったそう

参加者多数。ツアーは日に数回行われていますが、人気が高いので事前予約が必要です

ガイドさんの説明が上手で聞きほれてしまい、あまり熱心に写真を撮らなかったのですが、ここだけは撮りました!城のキッチンから続く長さ86メートルのトンネル!使用人は屋敷付近に姿を見せないように、ここを通って外に出たんですね
城内見学後、庭園をぐるりと散歩しました。この城は19世紀前半を代表する建築家、ダニエル・ロバートソン(Daniel Robertson)が手がけたものですが、ロバートソンはどちらかというと今で言うランドスケープ・アーキテクト(建物の外の景観を含めて設計する建築家)。
シュガーローフ山を借景にした美しい庭園とのコンビネーションで知られるダブリン近郊のパワーズコート・ハウス(
Powerscourt House & Garden, Co. Wicklow)の庭園設計にも関わっていることから、彼の手腕がうかがい知れます。

池越しに眺める城。水面を藻が覆いつくして、池まで緑に…

園内には中世の姿をとどめる城がもうひとつ。ラスラノン・キャッスル(Rathlannon Castle)、ジョンズタウンももとはこのようなタワー型の城でした

園内を歩く孔雀の群れ!
1950年代以降、城の建物と敷地はチャガス(Teagasc=農業と食品開発のための政府機関)の管理下となり、農業発展のための訓練所&研究所として使用されてきました。城内の研究所で、土壌のリサーチなどが行われたようです。
その関係もあり、敷地内には農場博物館があります。今から40年も前にオープンしたという、知る人ぞ知るマニアックなコレクション満載の博物館。

お屋敷時代の納屋か厩でしょうか。この中におびただしい数の19世紀の農機具や家庭用品のコレクションがあります

すごい数の中から目をひいたもののひとつ…農薬散布機!

スゴンと呼ばれた藁で編んだ椅子。アイルランドには木が少ないので、木の椅子は貴重品でした
この博物館ですごいのは、アイルランドの人口を半減させた1840年代後半のジャガイモ大飢饉に関する資料展示。さすが農業関連の政府機関のお膝元とあって、数字による資料が非常に詳しくわかりやすく、勉強になりました。一度の見学では消化しきれず、今度あらためて、ノートを取りながらもっと時間をかけて見学しなくては…と思ったくらい。

ジャガイモ大飢饉前の19世紀のアイルランド人が1日どれだけイモを食べていたか、という展示。このお皿いっぱいのイモが成人女性が1日に食べていた量!なんと5キロ。イモ以外、食べるものはなかったんですよね…
6月の城内オープンに向けて、アイルランド公営放送RTEの人気番組「ネイションワイド(Nationwide)」で取り上げられたようです。アイルランド国内からしか見ることが出来ませんが、参考までにRTE Playerのリンクです→
こちら大型バスの団体ツアーの旅程には含められることの少ないアイルランド南東部。今年は個人のお客様をご案内して来る機会が多く、嬉しいです。
※アイルランド南東部の見どころ。組み合わせて1~1.5日で観光するといいですね♪
→
アイルランド9000年の歴史をたどる野外博物館、ナショナル・ヘリテージ・パーク→
ダンブローディ号とケネディ大統領(ニューロス)
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