全英オープンの仕事も無事に終了し、昨日ダブリンに戻りました。
68年ぶりに北アイルランドで開かれた全英オープンを制したのは、同じ大地で生まれ育ったアイルランド人選手シェーン・ローリー(Shane Lowry)。11年ぶりのアイルランド勢の勝利、しかもアイルランド島内での大会だっただけに、大変な盛り上がりとなりました。

シェーン・ローリー勝利の瞬間の18番ホール
日本のスポンサー企業さんと招待客の方々のアテンドが私の役割でしたので、近くのジャイアンツ・コーズウェイやブッシュミルズ蒸留所へお客様をご案内したり、お食事にお連れしたりしていて、大会開催中、実際にゴルフ場にいた時間は少なかったんですね。
幸いにも最終日の優勝の瞬間には居合わせることが出来て、アイルランド国旗をはためかせた群衆が「シェーン!」と叫びなからどどぉーとグリーンを移動していく様を目にすることが出来ました。

シェーンのスウィングの瞬間。いちばん右の黒い人がシェーン

その後、最終ホールへ移動していくシェーンを追いかけてグリーンに突進していく群衆…!まるでサッカーの試合か何かのよう、ゴルフもこんなふうになるとは驚きでした

水色のジャケットを着た係員が素早くロープを張って群衆を制したものの、すごい人だかり!
ゴルフの応援なのに、サッカーみたいに「オーレ、オレ、オレ…♪」と掛け声をかけたりするのにも驚きました。普段ゴルフのトーナメントを見ることがあまりないので、いろいろもの珍しかったのですが、それにしても最後の群衆の熱狂には驚きました。
北アイルランド出身の人気ゴルファー、ローリー・マキロイが予選落ちしてしまい、地元ががっくり肩を落とす中、同じ緑の大地出身の選手が優勝となり、結果的には多いに盛り上がった大会でした。
ちなみに今回の大会がうまくいったおかげか、次回は68年待たなくとも5年以内にポートラッシュに再び全英オープンが戻ってくるとう噂も…!
一躍時の人となったシェーン・ローリーはなかなか恰幅の良い堂々とした風貌ですが、若干32歳。アイルランド内陸部カウンティー・オファリーのクララ(Crara, Co. Offaly)という村の出身だそう。カウンティー・オファリーといえば、オバマ元大統領のご先祖の出身県ですね。
今回のシェーンの優勝について、彼の人となりがよくわかる温かい記事が日本語で書かれているのを見つけました。ご興味のある方、参考まで。→
全英OP初優勝は「シュールな経験」?シェーン・ローリーのゴルフと家族。
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コメント
Yama
さて、 The Alpine Pass の新訳がでましたね。雨の日が続くので、旧訳との比較をしてみました。アイルランドで日本の書籍が簡単に手に入るのですか。
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旧訳の『険しい道』 副題 モンゴメリ自叙伝 篠崎書林刊 山口昌子訳
手持ちの本はS54.5.1第2版 680円 145p 180g 並製本 紙質が悪く酸化しています。
訳注が本文に挟みこまれているので、やや読みにくいものの、訳文やあとがきから訳者の性格が読み取れます。言い回しが古いものの真摯でかつ内省的、モンゴメリの心の闇に目を凝らし、悩みに寄り添い理解しようとする姿勢を感じます。(おまけに言えば昭和の香りがする---。)
あとがきのなかで特に共感したのは、以下のくだりでした。
「作品そのものがもつ独立した絶対的価値」を客観的に正しく評価するための準備的な段階として、作品のもつ背景---作家の自伝的要素や地理的歴史的要素---を知っておくことも必要だと思う。広く深い情報の基礎の上に立ってこそ完成された作家の創造物という「絶対的価値」を深く理解し鑑賞できるのではないか」 (ほぼ原文ママ。ちょっと表現がくどいかも)
実はこの件、何年間か所属していた読書会で話題になったことがありました。長年司会を務める人が「作品の背景はいっさい問題にしない。作品そのものを解読しよう」という立場にありました。私は書かれた歴史や地理的条件や、作者がどのような環境に置かれていたのかにも興味を持ちます。作品をより理解しやすくなると思うので。ただしこれをやるとミスリードが起きることもある---葛藤でしたね。
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新訳 ストーリー・オブ・マイ・キャリア 副題 「赤毛のアン」が生まれるまで
水谷利美訳 柏書房刊 2019.7.10台1刷発行 1700円+税 ハードカバー 上製本 322g
訳注が豊富で別枠に収めてあるので、分かりやすいが、字が小さい。これではハズキルーペがいりそう。
訳者あとがきを兼ねている小論がまとまっていて読みやすい。
小論の内容は:作者の生涯 作品について モードと日記 島への愛など。
副題が「赤毛のアン」が生まれるまで ----となっています。なぜ「かぎかっこ」で『二重鍵かっこ』ではないのか、何か意図するものがあったのでしょうか。わかりません。
表紙絵がモンゴメリの上半身です。(あべあつし氏)絵というのはとても刺激的です。これが読者にどう届くのか。想像力の邪魔をされると思うか、実像が迫ってくると受け取るのか。あ、これはでも前段に書いた「作者の背景を知りたい」に相反するかもしれませんね。
翻訳という作業は、作品の内容が翻訳家の身体を通って現れ出てきたものだと考えます。クリスチャンである訳者の、信仰に根差したなにごとも受け止める生き方が、明るい文章に宿っているようです。
明るくポジティブ、ある時はポップに。あっけらかん。文体はわかりやすくアン初心者にも受け入れやすく楽しく読める。しかし、モンゴメリの内面の「思考する精神」の上澄みだけを抽出した表現のようにも思える部分もありました。
さて、村岡訳で育った私には、どちらかというと、旧訳のほうに肌が合いますが、ほかの方はどうでしょう。でも、より若い世代や、もっと若い世代の人たちに「アン」が受け入れられるには、やはり新訳のこの軽やかさが必要だとも思うのです。出るべくして出てきた新訳を喜び歓迎しましょう。
本の重さを書きました。なぜって?本の手触りって大事だと思うのです。手に入れて嬉しい、これをバッグに入れて持ち運ぼう、大事にしようという気持ちが湧いてくるかどうか。
参考までに。『スカーレット』アレクサンドラ・リプリー 森瑤子 訳
この本は1807センチ立方メートルで、縦22センチ、横15.5センチ、厚さ5.3センチ、重さ1.2キログラム。体積は2リットル入りのペットボトル一杯くらいで、入るのが、コーラやお茶ではなくて「文字」であること 。おまけにページは1096枚。
2019/07/25 URL 編集
Yama
2019/07/25 URL 編集
naokoguide
詳しい解説をありがとうございます。今度日本に帰った時に読んでみようと思います。
本の重さ…。今、スケリッグ・マイケルのTVロケをしていて、修道士たちが手書きで書を作成していた時代、本には特別なパワーが宿っていると考えられているという話を聞きました。やはり「宿る」んですよね、本そのものに…!
2019/07/31 URL 編集