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さようなら、フィル・リノットの母・フィロミーナさん

アイルランドが誇る伝説のロッカー、フィル・リノット(Phil Lynott)のお母さん、フィロミーナ(Philomena Lynott)さんが先週の水曜日(6月12日)、88歳で永眠されました。
「アイルランド音楽界の母」として慕われてきたフィロミーナさん。昨日お葬式が執り行われ、親しい人々、音楽関係者に見送られ、フィルが眠るホウス半島のセント・フィントン墓地(St Fintan's Cemetery, Sutton, Dublin13)に埋葬されました。棺を飾ったのはU2から届いた花輪だったそうです。

Philomenalynott
2005年、ダブリン市内に設置されたフィルの銅像の除幕式で笑顔を見せるフィロミーナさん。写真はTributes paid at funeral of Philomena Lynott(RTE News)より転載

1986年、36歳でフィルがこの世を去ってから、彼の功績を伝える役目を果たしてきたフィロミーナさん。フィルの死後、1995年に出版された母子の関係をつづったメモワール『マイ・ボーイ(My Boy)』では、黒人との混血児であった幼いフィルをかかえて差別にあったことも語られています。

フィルがフロントマンをつとめたシン・リジー(Thin Lizzy)のナンバーは、今もアイルランドでは日常的に流れています。私もフィルをリアルタイムでは知らないけれど、アイルランドに来てからそのサウンドとカリスマ性に魅せられ、気づいたらファンになっていたひとり。

フィロミーナさんはホウス半島の付け根のサットン付近にお住まいだったので、かつて私がホウスに住んでいた時は、地元のパブなどで彼女にまつわるエピソードをいろいろと耳にしました。
フィルのファンが家に訪ねて来ると親しく会話を交わしたそう。知人の甥御さんがティーンエージャーの時、「僕、フィルみたいなロック・シンガーになりたいんです!」と訪ねて行ったところ、家に招き入れてフィルの写真や遺品を見せ、フィルが使ったギターピックをプレゼントして励ましてくれたそうです。
今から30年以上前、フィルに憧れてベルファーストからダブリンに出てきたという私の長年の友人もそんなひとり。ダブリンに来てまずはフィルのお墓参りをし、フィロミーナさんを訪ね親切にしてもらったといいます。
早世した息子の代わりに若い人たちを励まし、常に手を差し伸べておられたのですね。

そんな彼女の死は、一時代の終焉を告げるかのよう。さみしいですね…。

ちなみにフィル・リノットは1949年生まれで、今年は生誕70周年となります。(フィルが生きていたら70歳なんだ!)
昨年暮れには、フィルのソロ曲として有名な「オールド・タウン(Old Town)」を軸に据えたTVドキュメンタリー『Phil Lynott – Scéalta Ón Old Town』がRTEで放映されました。大好きな「オールド・タウン」のミュージック・ビデオ制作秘話が次々に語られ、ファンにはなんとも嬉しい内容でした。
音楽ライターの山崎智之さんがこの番組について大変詳しく書いてくださっていますので、ぜひご一読を。→シン・リジィ/フィル・ライノットのドキュメンタリーTV番組が海外で話題に
(山崎さんがおっしゃるように、日本のファンの皆さんにも見ていただけるようソフト化されるといいのですが。今のところ、YouTubeにあげてくださっている方がいますので、ここで見られます→Philip Lynott old town documentary

この記事中、山崎さんが「…ピアノで弾く「オールド・タウン」が涙腺を決壊させる」とおっしゃっていますが、私もそうでした。
「オールド・タウン」は不思議な曲ですね、甘くて切なくて。フィルの人生とダブリンという街が合わさって生まれた、ひとつの「奇跡」だと思います。

ちなみに山崎さんの記事にあるように、フィルの苗字「Lynott」の正式な発音は「ライノット」なのですが、アイルランドでは「リノット」で知られていて、みなそう発音しています。私も初めは「ライノット」と発音していましたが、アイルランド人がみな「リノット」と呼ぶのでその方が自然になり、今はそうしています。(ちなみにフィロミーナさんは、今回のお葬式などの報道では「ライノット」の発音で呼ばれていました)

伝説となったフィルの神話は終わることなく、生誕70周年を迎え、まだまだ続きます。フィルの生涯を描いたドキュメンタリー映画『Phil Lynott: Songs For While I’m Away』が近々公開されるようですし、生誕70周年記念コインも発行されます!
映画の具体的な上映についてはまだ発表がありませんが、コインは3000枚限定、€15のシルバーで、8月か9月に出るそうです。これはぜひ欲しいかも!→2019 Collector Coin Issue Programme
フィロミーナさんがそれを見ることなく逝ってしまったのが残念ですが、フィルを忘れないためにも、いずれも楽しみにしたいと思います。

ここ数日、フィロミーナさんのご冥福をお祈りしながら、シン・リジーのナンバーを久しぶりに聴いています…。

※フィル・リノットに関する過去ブログ
ダブリンにてフィル・リノット展開催(2011年3月記)
ジョイスの「ダブリン」とフィル・ライノットの「ダブリン」(2008年12月記)
フィル・ライノットのお墓参り(2008年8月記)

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コメント

フィルのママ

フィロミナさんが空に登って1ヶ月が経ちましたが、まだ信じられない気持ちです。ダブリンに行けば笑って迎えてくれるような、メソメソしてはダメと怒られそうなそんな気がします。そう思いながらナオコさんのブログを何度も読んでしまいます。書いてくださり、ありがとうございます。
天国で、フィルにやっと会えて、笑っているでしょうね。

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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