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新聞記者ライラ・マッキーさんの死と、産経新聞の記事

先日、北アイルランドでの取材をコーディネートさせていただいた産経新聞さんの記事が発表されました。
非常によく書かれていますので、ご興味ある方、ぜひご一読を。

紛争の傷跡残る北アイルランドで新たな過激派の動き

4月にデリー(Derry/Londonderry, Northern Ireland)で起こった暴動で、取材活動のためにその場に居合わせた若き新聞記者、ライラ・マッキー(Lyra Mckee)さんが銃弾に倒れ、亡くなりました。その事件を受けて、地元の人や元テロリストの声を聞き、今回の暴動を主導した新IRAのことや、北アイルランド和平の現状を伝えた内容です。
(ライラ・マッキーさんが撃たれた事件についてはこちら→北アイルランドで暴動、記者が撃たれ死亡 テロ容疑で2人逮捕

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ライラさんの死を悼み、出身地であるベルファースト市内に新たに描かれた彼女の壁画(Kent Street, Belfast)

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ライラさんの葬儀が行われた聖アン大聖堂(St Anne's Cathedral, Belfast)。今回の取材中、記者の方をお連れしました

ライラさんの葬儀には英国のメイ首相、アイルランドのバラカー首相はじめ、北アイルランドの対立する2大政党(DUP、シンフェイン)の両党首も参列。彼女の死がひとつのきっかけとなり、今月初めには、約2年にわたり停止している北アイルランド議会再開に向けての話し合いも行われました。(関連記事→北アイルランド自治政府再開に向け来月7日に協議 記者銃撃死で機運

今回の取材コーディネートをさせていただくに当たり、リサーチをしたり、さまざまな立場の人へのインタビューに立ち会わせていただく中で、北アイルランドの「今」が私なりに見えてきたような気がしています。

和平合意から20余年の月日が流れ、北アイルランドでは紛争を知らない世代が大人になりつつあります。
昨今デリーで起こっている暴動はそんな若者世代が主導するもので、紛争時代とは違って、彼らには明確な「標的」がありません。かつてIRAが標的としたイギリス兵や、怒りの対象とした公民権の不平等は、和平が訪れたデリーの町にはもはや存在しないからです。

それでも武器を持ち、テロリスト然として暴力行為を行うのはどういうわけなのでしょう。
今回の暴動が起こったデリーのカトリック系住民地区は、3分の一が貧困層だと聞きます。和平が訪れ、世代が変わっても、日々の暮らしは良くならない。それなら何のために武器を捨てたのか。和平合意はムダだったのではないか。…という論法で、暴力行為に逆行してしまったのではないかと思います。

メディアが「新IRA」と名付ける過激派組織はそんな中から生まれたもので、根底にあるのは社会不満。
政治的支援もなければコミュニティーからも承認されない孤立した集団のようですが、それだけに、和平合意の裏に今なお存在する北アイルランドの「闇」が垣間見えて、悲しくなります。

29歳という若さで命を落としたライラ・マッキーさんは、同性愛や北アイルランド紛争をテーマに取材活動を続ける、将来を期待されたジャーナリストでした。
冒頭写真の笑顔のライラさんの壁画には、彼女自身の次の言葉が書かれています。

It won't always be like this. It's going to be better.
=いつまでもこのままなわけじゃない。(状況は)良くなっていくはず


自身も同性愛者であるライラさんは、マイノリティーとしての葛藤をかかえながら大人になりました。この言葉は今から5年前、ライラさん24歳の時に、ティーンエージャーの自分にあてて書いた「Letter to my 14-year-old self(14歳の私への手紙)」というブログ記事の中の一文。この記事がきっかけとなり、ライラさんはジャーナリストとして注目を浴びることとなったそうです。

この言葉、まるで北アイルランドの現状を言い表しているかのようで、やるせない気持ちになります。嘆きつつも希望をつないでいこうとするライラさんの願いが込められているかのよう…。
彼女の死を無駄にしないためにも、北アイルランドの状況が「良くなっていく」ことを願ってやみません。

※関連過去ブログ→元テロリストが語る、ブレグジットとテロ再燃の懸念(産経新聞)

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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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