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ブレグジット「合意なき離脱」に備え、グリーンカードを申請…

懸念のブレグジット問題。EUとの合意なき離脱が現実のものとなった場合、アイルランド島内の国境線をまたぐ流通に大きな問題が生じることがさかんに報じられていますね。
先日お仕事させていただいたFNNニュースでは、国境をまたいでビジネスを展開しているギネスを例に、その影響を伝えています。→揺れるアイルランド国境 経済的影響も 展望なき英EU離脱

そして影響はついに、私たちアイルランドに住む一般市民にも…。
昨日のニュースで、合意なき離脱となった場合、北アイルランド(英領)との国境を車で行き来するのに「グリーンカード(Green Card)」が必要になると報じられました。
Border-crossing motorists will need to apply for Green Cards from this week(2月26日付・Irish Times紙)

「グリーンカード」というとアメリカ永住権のこと?…と思いますよね。ところがこちらは全く別物で、アイルランドで登録された車両が北アイルランドを含むUK内を自由に通行するための自賠責保険の証書…のことだそう。

私はこれは、UKの車両が離脱後にEU圏内を自由走行するために必要なものだと思っていて、アイルランドの車両がUKを走行するのにも必要…という認識がなかったので、軽いショックを受けました。(考えてみればわかりそうなことですが、これまで誰も言わなかった!)
そう、これがブレグジットなのだ、と。我々隣国に住む者にもこういうかたちで影響が及ぶのか、と。

ご存知のように、現在、アイルランドと北アイルランド(英領)の国境には税関管理はなく、自由に行き来が出来ます。大きな表示があるわけでもなく、知らなければ気がつかないくらい、全くのオープン・ボーダーです。

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約500キロに及ぶアイルランド島内の国境線のひとつ。地図上ではR132と記される道路ですが、高速道路が出来る以前の旧・国道1号線(Old N1)です。写真ではわかりにくいので、国境線となる位置に水色の矢印を書き入れました。矢印手前の路肩の黄色点線がアイルランド、その先の白直線が北アイルランド(英領)です

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道路脇にはかつてのチェックポイントの建物が残りますが、ガソリンスタンドの宣伝…となっています

こうした「ソフト」ボーダーを、乗用車やバス、大型トラックなどが年間延べ1億1000万回通過しているそう。(北アイルランド経済省調べ)
私もそのうちの一人です。現在、観光誘致はアイルランド島全体で行っており、日本からのアイルランド周遊ツアーの多くは北アイルランドへも行きますので、国境通過は私にとっては日常。自家用車でダブリン~ベルファーストを往復することもしばしば。
そして、北西部のドネゴール方面へサーフィンに行く時は、一部の道路が北アイルランド領内を通過するため、目的地はアイルランド国内でも国境を超えざるを得ないことになります。
もしも合意なき離脱となった場合、グリーンカードなしで国境を通過すると、3月29日、もしくは延期された期日から即、違法になってしまう!

新聞報道では今週から申請可能…とのことでしたので、早速、3月29日以降の仕事のスケジュールをチェックすると共に、保険会社のサイトで情報収集。
グリーンカードの有効期間は15日以上、自動車保険が切れるまで。申請に料金がかかるのか、それはどこにも記載がないので、かからないという理解。
そしてグリーンカードの名の通り、緑色、もしくは地が緑色をした紙のカードのようなもの…らしいです。
英国とEUが離脱条件に合意すれば不要ですので、申請はもう少し様子を見てからでもよいかな…とも思いましたが、皆がいっきに申請して発給に時間がかかるかもしれないこと、私が加入している自動車保険の会社のサイトにはオンラインの申請フォームがすでにあったので、出来る時にしておこうと思い直し、申請しました。
5日間ほどで、郵送で届くそうです。

ちなみに、北アイルランド国境に隣接するラウス(Louth)、モナハン(Sligo)、キャヴァン(Cavan)、リートリム(Leitrim)、ドネゴール(Donegal)、スライゴ(Sligo)各県の在住者には、合意なき離脱となる最低5日前に、自動的にグリーンカードが送られるそうです。(保険会社により違いがあるかもしれません)

それにしても、こういう細かいことも含めた時間と労力の消費、経済的負担、精神的負担、さらには議会(しいては国内)の分裂を招いてまで今すべきことなのか。支持する人がいるからにはブレグジットのメリットもあるのでしょうが、それを秤にかけたとして、そこまで価値があるのか。やはり疑問です…。

申請はしたものの、出来れば不要となって欲しい。このままオープン・ボーダーのままであって欲しいというのが私の願いです。

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上記写真の国境にて。「ハード」でも「ソフト」でもなく、「ノー」ボーダーを訴える看板

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こちらも国境付近にある、地元のブレグジットに反対する団体によるもの(写真はいずれも2月21日撮影)

※関連過去ブログ:ブレグジットと北アイルランド国境問題国境なきアイリッシュ・ラグビー、ブレグジットへの懸念…

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コメント

No title

こんにちは。
ホンダがイギリスから撤退しましたが、日本のニュース
では、EU離脱後の関税などのことがまったく決まっていないためだと伝えられています。本当だとしたら困ったものですが。
結局困るのは、国民なんですよね。

Fionaさんへ

こんにちは。コメントありがとうございます。
ホンダの撤退はブレグジットが原因ではなく、欧州での業績不振のためと報じられていますが、ブレグジットがきっかけになったということはあるでしょうね。もしも「合意なき離脱」となったら、輸出に10%の関税が即適応されるそうですから。
一方、日本とEUはEPAを結んだので、今後さまざまな関税が撤廃されていきます。だったら日本の工場で製造したものをヨーロッパへ輸出した方がいい…ということになり、ホンダも、はやEUでなくなる英国内に工場を構えているメリットがあまりなくなったということかと思います。

ひとつの町で3500人の解雇、しかもそこは、投票の際、離脱派が過半数を大きく上回った町だそうですから、職を失う人たちは騙された…みたいな気持ちなのではないでしょうか。政治家は明日の食事に困らないですものね、おっしゃる通り、困るのは一般市民。
工場閉鎖は2022年だそうで、UKの雇用率は現在良いとのことですから、再就職口には困らないという意見もあるみたいですが、不安は不安ですよね…。

離脱交渉がここまでもめなければ、UKに進出している企業も早めに対策が取れるでしょうに。こうなった場合はこう、という選択肢をいくつも準備して待たなければいけないので、これまた手間と精神的負担が…。

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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