所用で北アイルランドの国境に近いモーン山脈のふもとへ。行きは高速道路で国境線を越えましたが、帰りはカーリングフォード湾(Carlingford Lough)をカーフェリーで渡り、水上で国境線を越えてみました。
→カーリングフォード・ロック・フェリー(
Carlingford Lough Ferry)

グリーンキャッスル(Greencastle, Co. Down, Northern Ireland)のフェリー乗り場。対岸のクーリー半島の山並みが見えます

対岸からフェリーがまもなく到着…というのに、がら~ん。乗船したのは私たちの車のほかに、作業車一台のみでした。夏の行楽シーズンや、地元の人たちの通勤時間帯はもっとにぎわうことでしょう
対岸のグリーノア(Greenore, Co. Lough)まで乗船時間は約20分。タイムテーブルは1時間に1往復。グリーンキャッスルからは毎時、グリーノアからは毎「半」時に出発と決まっています。
(季節ごとの運行時間はこちら→
Timetable)
カーリングフォード湾は氷河により形成されたフィヨルドの一種で、ニューリー川(Newly River)がアイリッシュ海へ注ぐ深い入江です。
「カーリングフォード・ロック(Carlingford Lough)」と呼ばれ、「ロック(ロッホ)=Lough」は本来アイルランド語で「湖」を意味しますが、アイルランド(特に北部)ではしばしば、入江(湾)も「ロック」と呼びます。(ロック・スウィーリー=Lough Swilly、ストラングフォード・ロック=Strangford Lough、ロック・フォイル=Lough Foyleなど、いずれも湖でなく入江)
この入江が、南北アイルランドの国境線となります。

私たちが乗ったのは16時発のフェリー。低くなった太陽の光が、海面と雲の間から黄金色に透けて見えました

入江の口に、まるで海に浮かんでいるかのように見える灯台が。ホースのベイリーズやスケリッグマイケルの灯台も手がけた建築家、ジョージ・ハルピン(George Halpin)が1824年に建てたハウルボウリン灯台(Haulbowline Lighthouse)です
背後にモーン山脈、行く手にクーリー山脈を眺めながら、水しぶきをあげてのんびりと航行するフェリー。
ブレグジットによりまさかのハードボーダー復活となったら、ここにも国境審査が設けられてしまうのでしょうか。日々の通勤路として利用している人たちはどうなってしまうのでしょう。
美しく、神秘的でさえあった海と空を見ながら、この景色に厳しい国境審査は似合わないなあ…と思わずにはいられませんでした。
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