本日ご案内させていただいたのは、アイルランド神話(ケルト神話)ファンの女性ひとり旅のお客様。
英雄クーフリンや赤枝騎士団が登場する、アイルランド北部を舞台とするアルスター物語群がお好きとうかがい、ご自身ではなかなか行きにくい神話の舞台とされる地を数か所ご案内させていただきました。
いちばんの目的地は、アルスター王国の首都エウァン・マハ(Emain Macha)。赤枝騎士団のお膝元、セタンタ少年が王の犬を倒して「クーフリン(フリン王の猛犬)」の名を与えられたのもここですね。(クーフリンについて詳しく知りたい方は
こちらを参照)
現代の地名では、ナーヴァン・フォート(
Navan Centre & Fort, Armagh, Co. Armagh)です。
(「エウァン・マハ」は日本のカタカナ表記では「エヴァンマハ」とされることが多いようです)

神話の舞台であると同時に、考古学的にも重要な地。ケルト人の祭事の場として紀元前95年に建造され、この盛り土の下には、神への捧げものとしてアルスター王国の民が総出で建造した木造神殿が埋まっているのだそう!人間や動物を生贄にする代わりに、建造に費やした国民の想いやエネルギーを神に捧げたのですね

ナーヴァン・フォートに付随するセンターでガイド付きツアーに参加すると、ケルト人の暮らしの様子を再現したケルト村も案内してくれます。ケルト人の住まいの前で、ガイドのアマンダさんの詳しい説明に耳を傾けるお客様。(アラン諸島で購入されたという白いニット帽が素敵♪)家の壁は柳とハシバミの枝を編んだもの、川辺に生える葦でふいた屋根は完全ウォータープルーフだそう
夏場ですとケルト村にはケルト人に扮した人たちがいて、当時の暮らしを実演してくれます。大変面白いので、夏に訪れた時の様子はまた別の機会にご紹介しようと思います。
センター内の映写室でクーフリンのお話しや「悲しみのディアドラ」など神話の映像を見た後、今度は近くのアーマー(Aramagh)の町へ、ダーナ神族のヌアザ(Nuadha)王の像を見に行きました。
ヌアザは、クーフリンたち赤枝騎士団が登場するアルスター物語群以前の年代記の王様です。

アーマーの聖パトリック大聖堂(アーマーには聖パトリック大聖堂が2つありますが、プロテスタント教会(Church of Ireland)の方です)内にあります。ファーボルグ族との戦いで右腕を切り取られ、医神に銀の義手をつけてもらったヌアザ。こんな手になっちゃったよう…ってちょっと情けない顔してるのがカワイイ。五体満足でないため王の座を追われてしまいますが、のちに手が戻り王位に返り咲きます
午後はあいにくお天気が下り坂となりましたが、英雄クーフリンが孤軍奮闘した「クーリーの牛争い」物語の舞台をドライブしながらダブリンへ。

「ギャップ・オヴ・ザ・ノース(Gap of the North)」と呼ばれる、アルスター王国へ至る峠の道の入り口。「クーリーの牛争い」で、クーフリン率いるアルスター軍がメーヴ女王率いるコノート軍と戦った難所だとナーヴァン・フォートのガイドのアマンダさんが教えてくれました。廃墟の塔は1601年に英軍が建てたモイリー・キャッスル(Moyry Castle, Jonesborough、Co. Armagh)。神話の中だけでなく、歴史上もアルスター進攻の拠点だったことがうかがわれます

「クーリーの牛争い」が繰り広げられたクーリー半島(Cooley Peninsula, Co. Louth)をドライブ。カーリングフォード湾を挟んだ対岸のモーン山脈がきれいに見えました。半島内には「Tain Way(争いの道)」という全長40キロのハイキング・ルートもあります。夏の気候の良い時でしたら一部だけでも歩いてみると楽しそう
このあとは雨が激しくなりあまり写真は撮れませんでしたが、お客様がずっと行きたかった!というナーヴァン・フォートではお天気が持ち、喜んでいただけたので良かったです。
アイルランド神話の登場人物は、日本では漫画やゲームのキャラクターとしてよく知られているようです。そこからアイルランドという国を知り魅かれて来る方も少なくなく、過去のお客様にも多数いらっしゃいました。
愛憎交わるファンタジックでドラマチックな筋書きに加え、不思議キャラ、英雄キャラも満載。スターウォーズのライフセーバーや、アーサー王物語のエクスカリバーに匹敵するような魔法の武器もあります。ちなみに、漫画のクーフリンは超イケメンだそう(笑)。
そんなお話しをお客様からもいろいろうかがい、私も勉強になり、おかげ様でとても楽しい一日を過ごさせていただきました。
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