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天皇陛下とアイルランド

平成天皇85歳のお誕生日。ご退位を控え、最後の天皇誕生日を祝福する一般参賀の様子をニュースで見て、感慨深い気持ちになりました。
先だっての記者会見での陛下のお言葉も心にしみましたね。本当にご苦労様でしたと申し上げたい気持ちです。

天皇皇后陛下はアイルランドに2度いらしています。一度目は1985年3月、2度目はその20年後の2005年5月に。
国連加盟国が190数か国ある中、アイルランドのような小国に2度も足を運ばれるのは珍しいと言われています。
(天皇陛下はご結婚以前の1953年、米国へ向かう途中の給油ストップでシャノン空港に着陸していますので、それもカウントするのであれば、ご訪問回数は3回となります)

1985年の最初のご訪問はまだ皇太子さまでいらした時で、昭和天皇の代理として、ダブリンでのご公務を果たされました。
トリニティー・カレッジで詩の朗読でのもてなしを受けられ、ダブリン近郊の、古代アイルランド王が君臨したタラの丘へも足をのばされています。
この時にダブリン名誉市民の称号も受けておられ、名誉市民一覧にU2のボノやビル・クリントン、ネルソン・マンデラさんと並んで「アキヒト」、「ミチコ」とお名前を連ねています!

ダブリンご訪問前にはアイルランド西海岸で週末を過ごされ、石灰岩が露出した珍しい景観のバレンが印象深かったと後の会見で話されています。
その際、ゴールウェイ近郊のパブ・レストラン、モランズ(Morans The Weir, Co. Galway)でお食事されたことは当地でもよく知られており、店内には今も写真が飾られています。陛下の気さくなお人柄がうかがい知れるエピソードは過去ブログにてご紹介させていただきました。
天皇陛下が訪れたパブ・レストラン、モランズ(ゴールウェイ近郊)(2014年5月記)

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両陛下と当時のオーナー親子との記念撮影(上)と、レストランご到着時の1枚(下)。ガラスが光ってしまって見えにくくすみません!

そして2005年、ノルウェーご訪問前の時差調整を兼ねたお立ち寄りで、ダブリンを再訪。
アイルランド政府の迎賓館として使用されているギネス家旧邸のファームリー・ハウス(Farmleigh Estate)に2泊され、歌手のエンヤや、ノーベル文学賞受賞者で皇后陛下と親交のあった故シェイマス・ヒーニーなど、アイルランドの著名人・文化人もご挨拶に伺ったと聞いています。
『ケルズの書』のあるトリニティー・カレッジのオールド・ライブラリー、初期キリスト教会遺跡のグレンダーロックなど、アイルランドが誇る歴史遺産にも足を運んでくださいました。その日は、「1日に春夏秋冬、四季がある」と言われる変わりやすいアイルランドのお天気の典型のような日で、突然の雨や雹(ひょう)に見舞われた両陛下が、大きな傘を広げて仲睦まじくグレンダーロックを歩かれる映像が、当地のテレビに映し出されたのをよく覚えています。
ダブリン市内のギフトショップでお土産ショッピングもされ、アラン・ニットのセーター、コネマラ・マーブルをあしらったシャムロックのネックレス、アイルランドの名所が描かれたコースターなど、一般の人が買うのと同じ、庶民的なアイルランドの名産品を購入されました。(後日お店の人に聞いた話です)

グレンダーロックへの道すがら、両陛下がランチを召し上がられた海の見えるマナー・ハウス、ティナキリー・ハウス(Tinekilly House, Co. Wicklow)は、その後、私のお気に入りとなりました。
お客様をしばしばお連れしますし、母がアイルランドに来た時には家族で宿泊し、楽しい時を過ごしました。昨年出版した私のアイルランド本にも、厳選した宿のひとつとして掲載させていただいています。
天皇陛下のランチタイム(2006年5月記)/ビクトリア時代の夢の邸宅、ティナキリー・ハウス(2008年12月記)/アイルランドで母のバースデー(ティナキリーハウス)(2014年9月記)

TinekillyHouseTenno1218
1883年完成の歴史あるヴィクトリア時代の大邸宅ですが、華美になりすぎず、昔ながらの洗練と品の良さがよく残されています。その雰囲気は、天皇皇后陛下にも好まれたことでしょう

そんな2回のご訪問のエピソードや、方々で読んだり聞いたりした話から推測するに、両陛下はどうやらアイルランドに特別な親近感を持ってくださっているように思われます。特に皇后陛下はハープをお弾きになられますし、アイルランド文学にも造詣が深くていらっしゃるよう。
2005年のご訪問に先だって行われた記者会見での、それを裏付けるかのようなお言葉を今も思い出します。
皇后陛下が通われたミッション系の学校にはアイルランド人のシスターがいらして、幼少の頃からその姿を見て育たれたとのこと。高校2年生の時には劇の主役に選ばれ、古代アイルランドを治めるタラの王子を演じたこともあったとか!
アイルランド詩や妖精伝説、苦難の歴史にも並々ならぬ共感を示してくださり、アイルランドにかかわる者としてとても嬉しく、勇気づけられたように思ったものです。

そういえば、2005年に開催された愛知万博でも、両陛下がアイルランド館を熱心にご見学くださったと聞いています。
アイルランドからシベリア鉄道ではるばる輸送された実寸大ハイクロスを興味深く見上げておられる両陛下のお写真が、後日、新聞に掲載されました。展示物の段取りなどでアイルランドにいらした関係者の方々をご案内させていただいたこともあり、数あるパビリオン中、アイルランド館での両陛下のお写真がとりわけ掲載されたことを、とても誇らしく思ったものです。

ちなみに、2005年のノルウェー&アイルランドご訪問に際しての記者会見全文が宮内庁HPに掲載されていましたので読み返してみたところ、陛下のお茶目なエピソードが語られていることにあらためて気が付きました。
両陛下ともタラの丘に思い入れがお強いようですが、なんとそのタラの丘で、陛下がすべって転んでしまうというハプニングがあったそうです!それを記者会見で楽しくお話しになる陛下の気さくなお人柄が、長きにわたり国民に親しまれてきた所以なのでしょうね。

当時、陛下は51歳。まだお若く、はつらつとしたお姿のお2人が、緑の丘で仲睦まじくお笑いになっているお姿が目に浮かぶようです。(お付きの人たちはさぞかし慌てたことでしょうが・笑)
今後の両陛下が、お2人で紡いできた素晴らしい思い出を胸いっぱいに、お心穏やかに過ごされることを願ってやみません。

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天皇皇后両陛下の思い出の地、タラの丘→つわものどもは夢のあと…タラの丘(2008年3月記)

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。

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