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ブルーナボーニャのもうひとつの巨石遺跡、ダウス

このところ、古代の巨石遺跡に関するご案内が続いています。

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久しぶりにダウスを訪ねました…

ユネスコ世界遺産に指定されているブルーナボーニャ(Bru Na Boinne, Co. Meath)には大小合わせて40(7月に発見されたものも含めると41になりますね)の新石器時代の遺跡が密集していますが、そのうち大型古墳が3つ。有名なニューグレンジ(Newgrange)、ナウス(Knowth)は見学する人が絶えませんが、3つ目の巨石古墳ダウス(Dowth)は訪れる人も少なく、野にうずまるようにひっそりとしています。

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案内板に描かれた絵の通り、マウンドの真ん中はクレーターのように沈んでしまっています

ニューグレンジは60~70年代に、ナウスは80年代に大掛かりな調査と修復が行われていますが、ダウスは1847年に発掘調査を行って以来、大きな作業はほとんどおこなれていないようです。敷地には自由に立ち入ることが出来ますが、ほかの2か所で行われているようなガイド付きツアーもなく、墓の中にも入ることが出来ません。

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ダウスには西向きの羨道墓が2つ発見されています。墓の入り口にはヒツジの群れが…

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入り口はしっかり鍵がかかっていて、中を見ることが出来ないのが残念。正面の縁石には渦巻模様が見て取れます

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こちらは羨道が長い方の墓の入り口。鉄格子の内側にカメラを入れて撮影してみましたが、入り口付近からすぐに湾曲しているようで玄室までは見えませんでした

ニューグレンジは冬至の頃の朝の太陽光が玄室に差し込むことで知られますが、ダウスは11~2月の冬の4か月間、日の入り時刻の光が差し込むよう設計されていることがわかっています。長い時は2時間も光が入り、玄室にある模様のある石が照らし出されるのだとか。
ここの模様にはロッククルーのケアンTに見られるようなレモンやオレンジの輪切りみたいなデザインが多く、縁石のひとつにはっきり見て取れるものがありました。

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写真だととてもわかりにくいですが、拡大して目をこらしてみてください。近頃、渦巻きよりもこのタイプの模様に妙に魅かれるんです…

ほかの遺跡に比べて人が少なく、朽ち果てた感があるからでしょうか。ニューグレンジやナウスが考古学的、天文学的に興味深いの対し、ここは学術的興味より聖地…といった趣きが強く感じられる場所です。

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マウンドの上に巨木が。根っこがマウンドをダメにしてしまいそうで心配になりながらも、5000年もの古い史跡の上にすくすく育っている巨木の大胆さ、奔放さに、並々ならぬエネルギーを感じました

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周囲の景色はのどかそのもの

太陽が低く差す冬の日に、光が羨道に差し込む様子を見てみたいものです。

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naokoguide

アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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