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西城秀樹さんと「アンジェラの灰」

日本を代表するスーパースター、西城秀樹さんが先月お亡くなりになりました。
昭和の歌番組全盛期に子供時代、青春時代を送った世代にはあまりに悲しく、寂しいニュース。心にぽっかり穴があいたような喪失感を感じた人も多いのではないでしょうか。
その功績や偉大さを称えるネット上の記事や過去の映像を見ていたら、私も海を越えて「秀樹ロス」になってしまいました。

私は、「ヒデキ~」と熱狂したちびまる子ちゃんのお姉ちゃん世代より少し後の生まれなので、物心ついた時にはヒデキはすでに円熟期を迎えつつあるベテラン歌手でした。
私たち世代が夢中になったのは新御3家以降の聖子ちゃん、トシちゃん、マッチに始まる80年代のスターたちで(個人的には沖田浩之ファンでした!)、ヒデキはすでにお兄さんアイドル的存在。それでも当時は歌番組やアイドル出演のバラエティがたくさんあったので、テレビをつければ見ない日はない、スーパースターとしてそこにいるのが当然のお茶の間の顔でしたね。

ヒデキの曲で私がリアルタイムで最初に覚えているのは、片手をぶんぶん振り回す「ブーメラン・ストリート」でしょうか。
ライターに火をつける「ブーツを脱いで朝食を」、国民みなが熱狂した「ヤングマン」、そして個人的にはポップで夏っぽい「聖・少女」が好きでした。
小さい時からテレビっ子だったので、どの曲も歌って踊りました。テレビが夢があって楽しい、いい時代でしたね。

本当のことを言うと、子供だった私には派手さではジュリーの方が度肝を抜いたし、カックラキンで大笑いしたのは「ゴロンボ刑事」の方でした。(←知ってますか?野口五郎さんのコントです・笑)
でも、何をやっても品良くさわやかなヒデキを嫌いな人はいなくて、いつもそこにいて当たり前の存在だったから、いなくなって初めてヒデキ・ファンを意識していなかった人まで「秀樹ロス」になっちゃったのかもしれません。

余談ですが、「ヤングマン」で私が真っ先に思い出すのは、当時大好きで夢中で見ていた「3年B組金八先生Ⅱ」。
3年B組では毎朝生徒が持ち回りでリクエストする歌を歌うことになっていて、転入してきたばかりの、あの「腐ったミカン」の加藤クンが、恥ずかしそうにリクエストした曲が「ヤングマン」だったのです。
加藤クン、札付きの不良のはずなのに、こんなさわやかな流行歌が好きだなんて意外!…って子供心に驚いた記憶が(笑)。

さて、本来アイルランドのことを書くはずのブログに西城秀樹さんを登場させたのは、以前にテレビのトーク番組で、西城さんがアイルランド映画を見て大泣きしたことを語っておられたのを思い出したからです。
ずい分前のことで記憶が定かでないのですが、小堺一機さん司会の「ごきげんよう」というお昼のトーク番組だったと思います。
ちょうど日本滞在中に番組を見ていた私は、映画のタイトルは名言されなかったものの、西城さんの話の内容から、その頃日本で公開されたばかりの『アンジェラの灰(Angela's Ash)』だと確信したのでした。

angelasashmovie
ダブリンを舞台とした名作『ザ・コミットメンツ』(1991年)を手掛けたアラン・パーカー監督の作品

『アンジェラの灰』は同名の小説を原作とした1999年の映画。日本公開は2000年10月。
作者のフランク・マコート(Frank McCourt, 1930-2009)が、アイルランド西部のシャノン川のほとりにひらけた街、リマリック(Limerick)で過ごした少年時代を自伝的につづった作品。移民先のニューヨークから、お母さんアンジェラの実家のあるリマリックに一家が引きあげてくるところから始まります。
1950年代のアイルランド。北アイルランド出身のお父さんは大酒飲みで、やっと手に入れた日雇いの仕事で稼いだお金をパブで全部飲んで使っちゃう。極貧の一家はフランク少年を筆頭に子だくさん。小さい弟は死んじゃうし、お腹はすくし、天気は悪いし…。とにかく貧しくて、暗いのです。
小説はユーモラスな箇所もあり読んでいてまだ救いがあるものの、映画の方はとにかく悲壮な印象でした。

西城秀樹さんが一般女性とご結婚されたのは、この映画公開の翌年、2001年。
奥様とのデートで見に行き、かわいそうな話だったので不覚にも泣いてしまった…と話されていたように思います。ギャランドゥなイメージのヒデキが意外と涙もろいのね、と親しみを感じたものです。
(私の記憶違いもあるかもしれず、事実を検証したいと思いこの時の映像をYouTubeなどで探してみましたが、見つけられませんでした。どなたか覚えている方、映像を見つけた方いたらぜひ教えてください。)

そんなことで、『アンジェラの灰』はヒデキを感涙させた映画…として私の記憶に刻まれ、ツアーでリマリックの街を通る度に思い出します。

2度の脳梗塞に倒れながらも、必死のリハビリでステージに復帰し、現役歌手として生涯を終えた西城秀樹さん。
実は訃報の数か月前、手足のしびれに耐えながらステージに立つ西城さんの姿を追いかけたドキュメンタリー番組を、YouTubeで偶然に観たんですね。
悪夢のような病を受け入れて、病気になったからこそ気づけたことがあると前向きに生きる姿勢や、かつて大スターだった人が、不自由な姿をさらしてもステージに立って歌う様子に感動。一体どんな星回りの人なのだろう…とあらためて興味を持ち、西城さんのホロスコープを拝見すると、革命の星・天王星により、宇宙から使者として送られたかのような人でした。
そして、私と同じ牡羊座の太陽、射手座の月(出生時間不明のため推測)、魚座の金星をお持ち(度数も非常に近い)で、勝手ながら親近感を覚えたのでした。
(天王星が西城さんの太陽星座である牡羊座を去って、牡牛座へ移動するタイミングでこの世を旅立たれたことも印象的でした)

早すぎる死は残念でなりませんが、想像を絶するような辛いリハビリに耐えておられたことと思いますので、神様がご褒美として、もう休んでいいですよ、と楽な場所へ召されたのかもしれません。

『アンジェラの灰』は悲しいので今また観る気になりませんが、西城さん追悼の意を込めて、アマゾンで「GOLDEN☆BEST デラックス 西城秀樹」買いました。
ご冥福を、そして残されたご家族の安らかな日々を、心よりお祈り申し上げます。

《2018年7月6日追記》
奥様とのデートでこの映画を観たと西城さんご本人の著書に書かれているそうです。そして、その映画デートで奥様にプロポーズしたそうです。kaedyさんにコメントいただき、教えていただきました。ありがとうございます!

コメント

No title

こんばんは!
秀樹の記事に飛びついてやってきました!
秀樹ロスにかかり、ネットサーフィン状態なのです。
素敵な記事に感謝です。
「アンジェラの灰」は確かに秀樹が奥様とデートの際ご覧になった映画です。
ご本人の著書に書かれていました。
しかもこの映画デートの日に秀樹は彼女にプロポーズをしたのですよ!
その一世一代の日にこの映画を観て、しかもそのあと食事の時も、「この食事をあの子供たちに食べさせてあげたい‥」とちらちらと映画がよぎったそうです。(それをふりきって見事プロポーズ成功となったわけですが)
こちらの記事をtwitterで紹介させていただいてもよろしいでしょうか?

kaedyさんへ

コメントありがとうございます!
やっぱりそうだったんですね。教えてくださり、ありがとうございました。
なんとプロポーズしたのもその時だったとは。そういえば、トーク番組でもそうおっしゃっていたような。記憶がよみがえってきました。
それにしても、あの『アンジェラの灰』がキューピット役だったとは。アイルランド関係者としては嬉しい話。

はい、TwitterでシェアしていただいてOKです。ありがとうございます!

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プロフィール

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。
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