
うつむいて咲く可憐な姿がなんとも愛らしい
週末にサーフィンに出かけた際、スライゴ在住の友人がブルーベル(Bleubell)の花が咲き乱れる森に連れて行ってくれました。
森が近づくにつれ、道すがらに青紫の花がちらほら。静かな森に一歩踏み出すと空気がふわっと軽い感じがして、目の前に一面の青い絨毯が現れました。

新緑とのコンビネーションがなんとも美しい

古い巨木の下にまるで身を隠すかのようにひっそり咲き乱れているのがなんとも素敵でした
別名フェアリー・フラワー(Fairy Flower=妖精の花)とも呼ばれ、5月の森を青く染め上げる幻想的な花。
ブルーベルの森へ迷い込んだら妖精に連れ去られるとか、花の音が聞こえたら弔いの鐘だとか、少々不吉な言い伝えもあるくらい。
昼間は姿を隠している妖精たちも闇夜にまぎれて出てきて、鐘を鳴らして遊ぶことでしょう。そんな光景がなんの不思議もなく目に浮かびました。
花の時期は毎年5月の1~2週目くらい。満開の時期は短く、お天気のいい日が続くと10日持つかどうか。
今年は冬が長かったせいかここ数日のうちにやっと咲き始めたくらいですので、今週末もまだ見られると思います。
この森に感じる特別な静寂は、ここが祈りの場であったせいかもしれません。
英国支配時代に虐げられたカトリック教徒たちが隠れてミサをあげた場所がこの近くにあり、マス・ロック(Mass Rock=ミサの石)が安置されています。

森の入り口にあるサイン。17世紀のマス・ロックを、1975年にもとの場所からこちらに移動したと書かれています

巨木の下に安置された3つの石

写真手前のくぼみのある石は洗礼盤でしょうか。真ん中の石には十字架の一部のような線が彫られていました
アイルランドの田舎にしばしば残るマス・ロックと呼ばれる石は、カトリックの信仰が禁じられた時代、ミサをあげる場所の目印や祭壇やとして使用した石のこと。
17世紀半ば~後半、クロムウェル軍の侵略やピーネル法(英国国教会以外の宗派を認めない法律)の導入により、カトリック教会は次々に改宗または破壊されます。司祭も改宗しないと捕らえられ、祈りの場を失った人々は、破壊された教会の残骸の石などをひと目につかない場所に置き、そこに集まって密かにミサをあげていました。
虐げられて野外でのミサを余儀なくされたわけですが、生命力あふれる木々に囲まれての祈りはさぞかし厳粛で、慰めを与えてくれるものだったろうと思います。
秘密の森に人知れず咲くブルーベルの花たちは、かつて虐げられた人々の魂を弔わんと健気に咲いてくれているように見えました。

可愛らしい花をつけたハート型のシャムロックもいっぱい。ウッドソレル(Wood Sorrel)、和名は「コミヤマカタバミ」

ウッドアネモネ(Wood Anemore)もたくさん咲いていました。日本では学名の「アネモネ・ネモローサ」または「ヤブイチゲ」と呼ばれるようです

森の入り口からはベンブルベンに続くスライゴの山が神々しく眺められます
※行き方
クリフォニー(Cliffony)近郊。土地勘がないと探しにくい場所なので、Google Mapに以下の緯度・経度をコピペして打ち込むのが間違いないです。
54°26'10.8"N 8°23'04.4"W
※この時期にブルーベルの絨毯が見られるほかの場所
・ロックキイ森林公園(
Lough Key Forest and Activity Park, Co. Roscommon)→過去ブログ:
ブルーベルの季節となりました)
・ティンターン・アビー(
Tintern Abbey、Co. Wexford)の森
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