ツアーのご案内でダブリン市内のグレシャム・ホテル(
Riu Plaza Gresham Dublin, Dublin 1)に宿泊しています。
通常お客様がダブリン泊の時は私は自宅へ帰るのですが、今回のツアーは業務終了が毎晩遅くなるので私も宿泊させていただくことに。ダブリンでホテルに泊まることはめったにないので、ちょっぴり嬉しい♪
グレシャム・ホテルは1817年創業の、ダブリンの老舗ホテルの代表格。おそらく街でいちばん長く営業しているホテルではないかと思います。(高級老舗ホテルのシェルボーンは1824年創業)
そして、今から20年前、私がアイルランドに初上陸したその夜に泊まった思い出のホテルでもあります!

ダブリンの目抜き通り、オコンネル・ストリート(O'Connell Street)に面した外観。今はリフィ川南岸の方がお洒落な界隈となりましたが、1960年代頃まではこちらが繁華街・歓楽街でした

グリーンを基調とした落ち着いた内装の部屋。おそらくスーペリア・クラス(スタンダードよりワンランクアップ)の部屋かと思いますが、ソファーもあり、街中のホテルとは思えないくらい広々しています
かつて旅行会社の添乗員だった私は、1998年、1999年の2年間、グループ・ツアーのお客様をお連れしてしばしばアイルランドを訪れていました。
ダブリンで泊まるホテルはいつもグレシャムか、グレシャムの向いにあった今はなきロイヤル・ダブリン(Royal Dublin)。グレシャムの方がちょっぴり品が良くて、朝食もおいしい…というのが当時の私の印象でした。
1999年の夏はほぼ毎月のように添乗でアイルランドに来ていて、頻繁にグレシャムに泊まっていたので、スタッフともすっかり顔なじみに。
私は巨大な横型の黄色いスーツケースを持っていて(今も使ってます!)、とても重いので、グレシャムのスタッフたちに「イエロー・サブマリンに気をつけろ!」とからかわれていました(笑)。
6年間の添乗員人生で唯一、寝坊をしたのもこのホテル。
2週間のアイルランド周遊を終え、いよいよダブリン空港へ向かうその朝、「イエロー・サブマリンが見当たらない!」とホテルのスタッフが気づいてくれて、部屋のドアをがんがんたたいて起こしてくれたのでした。
当時お化粧もあまりしていなかったから、目覚めて3分位で支度ができて、出発時刻にきっかりか、1~2分遅れたくらいでお客様の前へ。皆さん「疲れてたのね~」と優しく笑って許してくださった…というのが少々曖昧になりつつある私の記憶です(笑)。
そういえばこんなこともありました。
オコンネル通りに面した素敵なお部屋が当たった男性のお客様。窓を開けたままでお出かけになられ、帰ってきたら部屋の中にハトがいたのだそう!
ホテルのスタッフに両手をバタバタさせてハトのまねをして見せて、なんとか理解してもらい追い払ってもらったそう。事の顛末をあとからうかがい、お客様の「ハトまね」に大笑いしました。
(このお客様とは後日、スペインのツアーでもご一緒し、ハトの話題で盛り上がったものです・笑)
2000年よりアイルランドで生活するようになり、今度はガイドとしてお客様をここへお連れするようになりましたが、最近はホテルの数も増え、グループ・ツアーが利用するホテルも変わってきたので来ることも少なくなりました。
「イエロー・サブマリン事件」を知るスタッフもいつの頃からいなくなり、トイレ貸してね~、朝食食べさせて〜なんて気楽に出入りしていた頃がちょっぴりなつかしい。
そんな思い出深いグレシャム・ホテルですが、2016年よりスペイン系のホテル・グループとなり、現在の正式ホテル名は「Riuプラザ・グレシャム・ダブリン」。
レセプション・エリアもすっかり模様替えされました。

素敵なガラスの装飾が天井いっぱいに。かつては入って左にあったレセプション・デスクが中央に移動され、広々した感じになりました

色とりどりのガラス装飾はアイルランドの花や石灰岩の大地など、自然のさまざまな要素を表しているそう。グリーンはやっぱりシャムロック
私が初めて来た頃から変わらずあるのは、ホテル内のバー、トディーズ(Toddys)です。
1980年代、『愛蘭土紀行』執筆の取材旅行にやってきた司馬遼太郎さんはここに宿泊し、トディーズで時間を過ごしました。『愛蘭土紀行』の中にその場面があり、当時のオコンネル・ストリートの様子が描写されています。

ホテル内からの「トディーズ」への入り口。地元の人にも親しまれている落ち着いたバー、食事も出来ます
今手元に本がなく、司馬さんが何と書いたか詳細が思い出せませんが、経済成長以前のまだ貧しさが残る、独立時代の話題が似合うような、そんなストリートの様子が書かれていたように記憶しています。
60年代にIRAが爆破したネルソン像の話も書かれていたかも。
司馬さんが来た頃、そして私が初めて来た頃とはダブリンもすっかり変わりましたが、こうして当時のことを思い出せてくれるホテルが今もあるというのは嬉しいことですね。
宿泊するのはもしかしたら、1999年以来かも。天の計らいにより、アイルランド上陸20周年記念にここへ泊ることになったのかな。
20年ぶりに寝坊することがないよう気をつけます(笑)。

ホテル正面から見える先が針のように尖ったモニュメント、スパイア(Spire)は2003年建立。新ダブリンの象徴…と思っていたけれど、それさえ15年前なんですね!
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コメント
Yama
生まれてきてくださってありがとう。
あなたの作品にはずいぶん影響を受けました。
こう東の空につぶやきました。
直子さんのブログに影響を受けて、最近読んでいる本が
『街道をゆく 30 31 愛蘭土紀行1 と 2』
『司馬遼太郎の風景 愛蘭土紀行 NHKスペシャル』。
これからゆっくりアイルランドについて考えていきますね。
それから、K・グレアム作『楽しい川辺』(The Wind in the Willows)の新訳が出ました。
R・イングペンの挿絵と杉田七重さんの訳を楽しんでいます。(西村書店 2200円 2017年4月11日発刊)
モンゴメリはこの本のどこに魅力を感じたたのか、読みながら感じてみます。
2018/04/24 URL 編集
naokoguide
今日はモンゴメリの66回目の命日ですね。(誕生日は11月30日、射手座♪)
司馬さんのアイルランド紀行に描かれたアイルランドとはずいぶん変わりましたが、経済成長前のこの国の様子を日本語で記録した貴重な書だと思っています。どうぞ楽しんでください!
そして「楽しい川辺」。ずいぶん読み返していませんが、モンゴメリのことを思いながらまた読みたくなりました。
2018/04/24 URL 編集
Yama
こんな春浅い時期に亡くなったのでしたね。
2018/04/24 URL 編集
naokoguide
2018/04/24 URL 編集