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ハリー・クラークのステンドグラスめぐり① 聖ジョセフ教会

「ハリー・クラーク アイルランドの挿絵とステンドグラスの世界」(解説・監修:海野 弘、パイインターナショナル)に感激して、すっかりマイ・ブームとなったハリー・クラーク(1889~1931)のステンドグラスめぐり第1弾です。
(過去ブログ参照→「ハリー・クラーク アイルランドの挿絵とステンドグラスの世界」

ダブリン市内サウス・サイド、テレヌアの閑静な住宅街にある聖ジョセフ教会(St. Joseph's Church, Terenure, Dublin 6)。
クラークが自身をモデルにしたという、「キリスト磔刑」をテーマとした巨大なステンドグラスの窓があるということで見に行ってみました。

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1897~1905年建立のネオ・ロマネスク様式の美しい教会。左右非対称…なのがかえって印象的

正面入り口をを入ると、教会のいちばん奥に目指す窓が輝いていました。

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1920年5月23日にお披露目された「キリスト磔刑とアイルランドの聖人による十字架の礼拝(The Crucifixion and the Adoration of the Cross by Irish Saints)」

挿絵画家だったクラークは、父親の跡を継いでステンドグラスの製作も手掛けるようになり、そこでも優れた才能を発揮することとなります。
18.5平方メートル(200平方フィート)という巨大なこの窓の仕事は父親のジョシュア・クラークが希望していたそうですが、息子のハリーに依頼がきて、彼の出世作となりました。
31歳となったこの年の後半にはクラークの挿絵による「The Spring(ときに春)」と題する詩集が出版されるなど、挿絵の仕事とステンドグラスの仕事という二束の草鞋(にそくのわらじ)を見事に履きこなしていたことがうかがえます。

細部の装飾を見ようと近づくものの、窓が巨大な上、かなり高いところにあるので、近づけば近づくほどよく見えない…。
こういうものはオペラグラスのようなものがないと、細部の鑑賞は難しいですね。仕方なく、スマートフォンをズームにして見てみました。

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3面の中央の窓。クラーク自身が裸で十字架にかけられて写真を撮り、それをもとに描かれたという「キリストの磔刑」!

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キリストの足の下には向かい合う聖母マリアと聖ヨハネ、ひざまづいて祈りをあげるマグダラのマリア

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向かって右の窓の下にはアイルランドの聖人たち

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左の窓の下にも同じくアイルランドの聖人たち

この聖人たちが誰が誰か、ということがわかると楽しいのですが、教会内にも上述の海野さんの本にも説明がありません。
頭の後ろの後光に名前が書かれているようですが小さくて見えない…。左の窓のいちばん下の緑のガウンを着て仙人みたいな髭をはやしているのが聖パトリックでしょうか。

この教会は中央に祭壇があり、祭壇の上の天井からキリスト磔刑像が吊るされています。

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彫刻とステンドグラスの2つの「キリスト磔刑」が重なって見えるという仕掛け

この窓が好評だったため、クラークは同教会内のさらに2面の窓の装飾も依頼されることに。
それは祭壇に近い、教会右側廊にありました。

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「受胎告知(左)と聖母載冠(右)(The Annunciation and The Blessed Virgin in Glory)」。左が1922年、右が1923年完成

こちらの窓の方が断然、好み。マリア様の表情がなんとも優しく可愛らしくて、聖母をこんな顔に出来る人はクラークしかいない!ひと目で彼の作品とわかります。
それまでのキリスト教的な堅苦しいイメージから離れ、よりオリジナリティーを強めていくのはこの頃からでしょうか。

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右の窓の美しいマリア様。近寄りがたい聖母というより、賢く聡明な女性の表情。よく見ると背後にたくさんの人物が描かれていて、聖書ではなくておとぎ話に登場する人たちのような風貌です

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左の窓の受胎告知のマリア様はほっそりしなやかで若々しい。細部も見飽きがなく、左下にはアールヌーヴォー風のお花がいっぱい♪

この1920年代というのはハリー・クラークのステンドグラス作品が円熟期を迎えた時代。
アイルランド国立美術館にある、あの素晴らしい「悲しみの聖母(The Mother of Sorrow)」が完成するのはこの4年後ですが、この2枚の聖母の表情にすでにその兆しが表れているのを見取ることができました。
(過去ブログ参照→国立美術館本館、6年ぶりに再オープン

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。
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