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エミール・ノルデ展(アイルランド国立美術館)

今日は午後の半日をアイルランド国立美術館(National Gallery of Ireland, Dublin2)で過ごしました。
美術館は展示内容や絵の配置が時々変わるので、来週から本格的に始まるグループ・ツアーのご案内に備えてシーズン初めの下見&知識のリフレッシュ。
館内ガイド付きツアー(無料、土日のみのようです)にも参加し、メモを取りながらみっちり勉強してきました!

そして、気になっていた開催中のドイツ人画家、エミール・ノルデ(Emil Nolde, 1867-1956)の特別展も鑑賞。

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「カラー・イズ・ライフ」のタイトル通り、春にふさわしいカラフルな絵がいっぱい

エミール・ノルデ展
Emil Nolde / Colour is Life
2018年2月14日~6月10日
料金:15ユーロ(朝早い時間・午後遅い時間は割引あり)
※5/14以降は展示内容総入れ替え。リピート入場は最初のチケット提示すると5ユーロ

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昨年のフェルメール展バートン展の時と同様、ミレニアム・ウィングの階段が特別展仕様に(北海を描いたというこの絵の色調は印象的でした)

エミール・ノルデのことは実はあまりよく知らなかったのですが、当美術館のウェブサイトの告知に掲載された絵がとても素敵だったので興味を持ちました。

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「Ruffled Autumn Clouds(秋のちぎれ雲)」(1927)、National Gallery of Irelandより転載

肖像画、自画像、宗教や戦争、パーティーや踊る人、ロシアや南太平洋の国(ニューギニア)へ旅して描いた現地の人や風景(水上飛行機やシベリア鉄道で旅したそう!)、大好きだったという故郷の海。展示の終盤はカラフルな花やガーデンの絵で埋め尽くされ圧巻。
その中に見慣れた1枚があり、「あ、この絵知ってる!」と思ったら、当美術館が所有している1枚でした。
常展にいつもあったので、とくに足を止めてしげしげ観た覚えはないのに記憶にあったみたいです。この絵を描いた人だったのね、と、謎が解けたような気持ちになり、とたんに親近感がわきました。

エミール・ノルデは本当の苗字はハンセンといい、「ノルデ」はユトランド半島にある生まれ故郷の地名だそう。
彼が生まれた時はドイツ(プロイセン王国)でしたがのちにデンマーク領となり、失われた故郷への想いと、二重のアイデンティティーへの複雑な思いをその名にこめたようです。
(俗に言う「シュレースヴィヒ=ホルシュタイン問題」。第1次大戦後、ノルデの故郷北部シュレースヴィヒはデンマー領となった)

同時代の画家たちと群れることなく、ドイツ、デンマークの各地に住み、旅をし、独自のスタイルを築いていった画家のようです。
ゴッホを尊敬し、スペインでゴヤの絵をたくさん見て影響を受けたとも。

政治にも関心がありナチ党員であったにもかかわらず、第2次大戦が始まると個展を開いたり絵を売ることをナチスに禁じられてしまい、秘密裏に絵を描き続けた時代も。油絵だと匂いがしてしまうので、ライス・ペーパーなど小さなサイズの和紙に水彩画をこっそり描いていました。
そのコレクションが10枚ほど展示されていたのですが、油絵とはまた違った魅力が。題材を戸外に求めることが出来なかったので、おとぎ話や内なる空想の世界がはじけるような色彩で描かれているのです。

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ネット上で探せた、展示にあった水彩画の1枚。夕暮れの空の色のようなオレンジと、透明感のあるパープルが印象的でしたpinterest adrianadelerba emil-noldeより転載

色がにじんでいるのは、和紙を濡らして色をしみこませたから。パレットで色を交ぜるのではなく、紙の上で色がにじむままにした、ということでしょうか。
隣りの色との境界線を無視して色が自然に染み込んでいく様子が、抑制された戦時下にあっても「色(=ノルデの心)は自由なんだ!」と主張しているかのように見えました。

そのほかノルデの作品にご興味ある方は、Googleでイメージ検索すると代表的なものいろいろな出てきます。(実物とは色がだいぶ違ってしまっていますが)→こちら

当美術館所蔵の1枚以外は、すべてドイツのゼービュル(Seebüll=現Neukirchen)にあるノルデ博物館(Seebüll Nolde Foundation)所蔵。
奥さんと暮らした自宅兼アトリエを彼の遺言にしたがい博物館にしたもので、油絵500点、水彩画2500点のコレクションがあるそうです。晩年、庭造りに精を出した「ノルデの庭」も残り、今も季節の花々が咲き乱れるだとか。
こういうひとつの展覧会から、世界が広がるのって面白い。いつか訪れてみたい場所がまた増えました♪

※ノルデ博物館を訪ねた方の素晴らしい旅行記をネット上で見つけ、読みふけってしまいました。専門的に研究しておられる方ではないかと思います、ノルデについての説明もわかりやすく、理解が深まりました。→エミール・ノルデの故郷を訪ねて(宮川由衣さん)

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鑑賞後は美術館のカフェで糖分補給(かなり長時間、メモを取りながら見ていたので疲れた…笑)。カスタード入りアップル・ストゥーデルと抹茶ラテ♪

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プロフィール

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Author:naokoguide
アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。
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