今回ご案内させていただいた視察グループさんは、アイルランドにおける大麦、オーツ麦など穀物の利用がテーマ。
ウィスキー蒸留所と大麦農家さんを訪問した翌日は、大麦やオーツ麦の家庭でのレシピをさぐるべく、一般家庭を訪問しました。
まず訪れたのが、北アイルランドのダンガノン(Dungannon, Co. Tyron, NI)のノーラさん宅。
ノーラさんは自宅で営むゲストハウスで、伝統的なアイルランド料理を伝えるべく料理教室も開催しています。→グレンジロッジ・カントリーハウス(
Grange Lodge Country House)
以前にお客様をお連れしてうかがったのは思い出せないくらい前のこと。数年ぶりの再会を喜んでくださり、あたたかく迎えてくださいました。

真っ赤なアーガ・クッカーが素敵なノーラさんのキッチンで、ウィート・ブレッド(ブラウン・ブレッドのこと。この地方ではこう呼ばれます)作りの実演中
アイルランドで生産される大麦はウィスキーやビールの原料となり、一般家庭での利用はあまり多くありません。主食はやはりジャガイモなので、麦はその代用品といったイメージがあるのでしょうか。
実演後にランチを兼ねた試食会。メイン・ディッシュはノーラさんのお母さんがよく作ってくれたという、大麦入りチキン・スープ。

にんじん、香りセロリ、白にんじん、ズッキーニ、ネギ、そしてチキンがどっさり入ったスープ。大麦が入ることで自然なトロミがつき、なんともおいしい♪

オーツ麦入りビスケットもこの地域ではポピュラーな伝統的お菓子。ノーラさん手作りのものは格別おいしく、ホットウィスキーと一緒にいただきました
午後はカウンティー・リートリムのモヒル(Mohill, Co. Lietrim)近郊の酪農畜産農家の奥さん、ドロレスさん宅へ。
ここは私の友人ロレインのご実家。数年前にここでクリスマスを過ごさせていただいたことがあります。
→過去ブログ:
田舎で過ごすクリスマス(クリスマス・デー)/
田舎で過ごすクリスマス その2(セント・スティーブンズ・デー)ドロレスさんにはバーリー・ウォーターと、アイルランド人の朝食として一般的なポリッジ(オーツ麦粥)を実演していただきました。

ここはドロレスさんの義母さんが住んでいたという古いコテージ。義母さんがここで作っていたという、大麦を煮立てて作るバーリー・ウォーターを作ってくださいました

これが煮たてた大麦。マグカップに注ぐと麦粒が下に沈むので、そのうわずみ液を飲みます。ほんのり麦茶を思わせるような香ばしさと麦特有の甘さがあり、思ったほどまずくなかった!(笑)
バーリー・ウォーターは利尿効果があって、腎臓に良いそう。健康ドリンクとして復活してもよさそうなものですが、どうやらアイルランドではレシピを発展させることなくすたれてしまったようです。
英国ロビンソン社製のレモンやオレンジ味のバーリー・ウォーターが以前はアイルランドでも市販されていて、私の友人たちは子供の頃によくそれを飲んだそうですが、今ではそれも姿を消してしまいました。(北アイルランドでは市販されているようです)
オーツ麦を牛乳で煮て作るポリッジのほかに、麦を使ったものでありませんが、ここリートリムの伝統料理であるボクスティーもいただきました。
ボクスティーはジャガイモのパンケーキ。ポテトケーキはマッシュポテトで作りますが、ボクスティーは調理していな生のジャガイモをすりおろして作ります。写真を取り忘れましたが、以前にロレインがつくってくれたものが
過去ブログにあります。
リートリムではあまりにポピュラーなので、家庭で一から作らなくても市販のものが売られていて、フライパンで加温するのみ。もちもち感がなんとも言えず、ついついとまらなくなるおいしさです。
伝統のレシピを通して、ノーラさん、ドロレスさんの実直で温かなお人柄もみなさんに感じていただけたようで嬉しく思いました。

義母さんが使っていたという鉄のフライパンを片手に、雨の中、母屋へ戻るドロレスさんの後ろ姿
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