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グラストンベリーの聖パトリック礼拝堂

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グラストンベリー修道院の敷地内にある聖パトリック礼拝堂。1500年頃建立。今も毎日礼拝が行われています

先月、グループのアテンドでイングランドへ行った時のこと。(→過去ブログ:グラストンベリーで過ごす1日
イングランドきってのパワースポットであり、伝説のアーサー王が眠るとされるグラストンベリー修道院(Glastonbury Abbey)で、アイルランドの守護聖人、聖パトリックをまつった礼拝堂(St Patrick's Chapel)に思いがけず遭遇。どうやらあちらの言い伝えでは、聖パトリックは晩年グラストンベリーに暮らし、そこで亡くなり埋葬されたとされているようなのです。

こじんまりした礼拝堂に入ってみると、とっても素敵な聖パトリックの壁画が。

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聖人パトリック、天使に導かれてグラストンベリーに現るの図?背後にグラストンベリー・トーの丘が描かれています。聖人が橋のような道を歩いているのは、この頃のトーの丘は沼地に浮かぶ島だったからでしょう

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こちらも背後にグラストンベリー・トー。左端に2本立っているのはケルト十字架。聖人が連れている犬はアイリッシュ・ウルフハウンドでしょうか。アイルランドでヘビ退治をしたという伝説にちなみ、足元にはヘビが…

聖パトリックはブリテン島ウェールズ出身。少年の頃、アイルランドの海賊にさらわれ、アイルランド島北部で羊や豚の世話をしながら奴隷労働をさせられていました。苦しい暮らしの中で神のお告げを聞き、本国へ逃げ帰り、ブリテン島でキリスト教の伝道師となります。さらにフランスで布教活動をしていた時、再び神のお告げを聞き、アイルランド島へキリスト教を布教すべくやって来たのが起源432年。パトリックはその時、47歳だったと言われています。
アイルランドで伝えられていることには、パトリックはそのままアイルランドで生涯を終え、461年頃、75歳で亡くなったとされています。北アイルランドのダウンパトリックには、ここが聖パトリックのお墓です、と言われる石が残っているものの、正確な墓所は不明。パトリックのことが書かれている「アーマーの書(Book of Armagh)」には、「彼の骨の行方は誰も知らない(Where his bones are no one knows)」と記載されているのだとか。

にもかかわらず、グラストンベリーでは別の言い伝えが信じられているよう。
聖パトリックは晩年、故郷のブリテン島に戻って来て、グラストンベリー・トーの丘で生涯を終えたとされています。丘に住む隠遁者たちを集めてコミュニティーをつくり、グラストンベリーの初代修道院長になったとか。

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礼拝堂内のステンドグラス。左から2枚目が聖パトリック。手にシャムロックと司教杖を持ち、ヘビを足蹴にしています!ちなみに他のステンドグラスは、左が聖母子とアリマテのヨセフ、右から2枚目がグラストンベリー生まれの聖ダンスタン(悪魔退治中、女性に化けた悪魔の青いドレスが脱げかかっている…)、いちばん右はグラストンベリー・トーの丘に七色の羽をつけて出現する大天使ミミカエルと、火のかたまりと十字架を手にした聖女ブリジット(背後には乳しぼりの時にすわる椅子あり)

聖女ブリジッドもアイルランドの守護聖人のひとりですが、ここでも信仰されているよう。
パトリックもブリジッドもグラストンベリーへやって来たようなことが、トーの丘の廃墟の説明書きにありました。2人の像も彫り込まれています。

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高いところに彫られていて、うまく写真が撮れなかったのですが。こちらが聖パトリック

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椅子にすわって乳しぼりをする聖ブリジッド

聖パトリックの生誕地はグラストンベリーのある南西イングランドのサマセット州との説もあるようです。だとすると、晩年故郷が恋しくなって戻って来たという説もアリかも。
初めて行ったグランストンベリーでアイルランドの守護聖人との思いがけないコネクションを見つけ、うれしくなった出来事でした。

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アイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子です。2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、アイススケート、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。長野県上田市出身。

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