
美術館の目玉の大絵画「イーファの結婚」を鑑賞する親子
フェルメール展でにぎわうアイルランド国立美術館(
National Gallery of Ireland, Dublin 2)ですが、2011年より修復中だった本館展示室も先月15日より新装オープンしています。
1864年開館。建物の老朽化に伴い修復が行われ、このほど6年ぶりに再オープン。屋根の修復と、絵の環境に最適な地下の大改造が行われたとのこと。
修復中はヨーロッパ絵画の一部をミレ二アム・ウィング(2001年オープンの新館)の1~2室に集めて展示していましたが、アイルランド人画家のものはほとんど目にすることがありませんでした。
今回の新装オープンで本館1階がすべてアイルランド絵画の展示に。なつかしい絵画たちと久しぶりの再会を果たし、6年間これらの絵について語らずにいてさびついてしまった記憶をリフレッシュさせるため、先日ノート片手に出かけみっちり勉強してきたところです!
私がお客様をお連れする際に必ずお見せする絵がいくつかあるのですが、冒頭写真の大絵画「イーファの結婚」もそのひとつ。
アイルランド内の王国同士の争いを平定するためにブリテン島から派遣されたストロングボウが、レンスター王国のプリンセス、イーファと結婚するシーン。画家はこの出来事をアイルランドがイギリス支配に入る始まりととらえ、今後の歴史的苦難を予感させるモチーフを描き込んでいます。迫力ある印象的な一枚。
第1次世界大戦の公式画家であったジョン・ラヴァリー(John Lavery)、ポスト印象派でアイルランド鉄道のポスター画にもなったポール・ヘンリー(Paul Henry)、詩人イエーツの弟ジャック・B・イエーツ(Jack B Yeats)の絵画なども豊富にあり、見応えたっぷり。
今回の再オープンにあたり、私が初めて目にし感激したのがこちら。聖母子をテーマとした
ハリー・クラーク(Harry Clarke)の作の美しいステンドグラスです。

シャルトルのブルーに影響を受けたという青を基調とした美しい作品。マドンナの表情、細部の細かい装飾など、この前にすわって1日中見ていたい…
アールヌーヴォーにクラーク特有のメルヘンなタッチが加わり、見とれるほどの美しさ。もともとグラスゴーにあったもののようです。
(ハリー・クラークに関する過去ブログ:
西の果ての島でステンドグラス鑑賞(イニシュマーン)/
今年のクリスマス切手はハリー・クラーク)
フェルメール、カラヴァッジョ(いずれも特別展出展のため現在常展にはありません)の秀作を有する美術館として有名ですが、日本ではなかなか見る機会のないアイルランド人画家の傑作にもぜひ注目してみてください。
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コメント
ようはっぱ
コスタリカに行った時、町の普通の教会でもきれいなステンドグラスがあって感動しました。
素敵な情報、ありがとうございました。
2017/07/07 URL 編集
naokoguide
2017/07/08 URL 編集