
ポスターになっている絵は、ベルリン絵画館所蔵の「真珠の首飾りの女(Woman with a Pearl Necklace)」!
久しぶりにダブリンに戻り、仕事の合い間をぬって、
待ちに待ったフェルメール展を観に行きました。
30数点しかないというフェルメール画のうち、約3分の一にあたる10点がダブリンに大集結。6月17日より3か月間、ダブリンの国立美術館(National Gallery of Ireland, Dublin 2)にて開催中です。
フェルメールと同時代の巨匠たちの絵画展:刺激と競争2017年6月17日~9月17日 アイルランド国立美術館
Vermeer and the Masters of Genre Painting: Inspiration and RivalryNational Gallery of Ireland | 17 June – 17 September 2017

展示室に至るミレニアム・ウィングの階段がフェルメール仕様に!
展示されているフェルメール画は下記の10点。
1996年、オランダのハーグに23点が大集結した奇跡の大フェルメール展に次ぐ展示数です。
「真珠の首飾りの女(Woman with a Pearl Necklace)」 ベルリン絵画館所蔵
「手紙を書く女性とメイド(Woman Writing a Letter, with her Maid)」 アイルランド国立美術館(ダブリン)所蔵
「手紙を書く女(Lady Writing)」 ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵
「恋文(The Love Letter)」 アムステルダム国立美術館所蔵
「ヴァージナルの前にすわる若い女(Young woman Seated at a Virginal)」 ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵
「リュートを調弦する女(Woman with a Lute)」 メトロポリタン美術館(ニューヨーク)所蔵
「レースを編む女(The Lacemaker)」 ルーヴル美術館所蔵
「天文学者(The Astronomer)」 ルーヴル美術館所蔵
「地質学者(The Geographer)」 シュテーデル美術館(フランクフルト)所蔵
「天秤を持つ女(Woman with a Balance)」 ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵
ちなみに今回のエキシビジョンは、単なる「フェルメール展」ではなく、「フェルメールと同時代の巨匠たちの絵画展」なんですね。
フェルメール10点を含む同時期の画家の作品63点が、テーマごとに並べられているのがポイント。
それまでの画家たちは宗教や神話をテーマに描くことが多かったのですが、フェルメールと同時代・同地域で活躍した画家たちは日々の暮らしのひとコマを描きました。
女性のちょっとしたしぐさや眼差し、衣服やアクセサリーの質感、室内の調度品や小物などちょっとしたモチーフが活き活きと描かれるようになるのです。
そして、同テーマの他の画家の作品と並べてみると、フェルメールはやはり特別。そのやわらかいタッチのせいなのか、光の取り入れ方のせいなのか、一体この画家は絵にどんな魔法をかけたのでしょう。
眺めていると絵の中の人物が身近に感じられ、その時代、その場所に引きこまれるような衝動に駆られます。
今回の展示の解説で興味深かったことは、この時代のオランダ画家たちは、互いに行き来し合い絵の題材や構図をまねていたということ。
例えば、フェルメールの有名な「天文学者」は、3年程前に書かれたヘリット・ドウ(Gerrit Dou)という画家の「キャンドルライトの天文学者(Astronomer by Candlelight)」とテーマも構図も極似。今回の展示では隣り同士に並べられていますが、どうやらドウの絵をフェルメールが見て、「これはいい!」とまねたようなのです。
しかし、フェルメールの絵の方が大判ですし、ずっと明るい。もはや同じテーマとは気がつかないくらいに、違った仕上がりになっています。
今だったら盗作と言われてしまいそうですが、この時代はおおらかだったのですね。すぐれた芸術とは本来ゼロから産みだされるものではなく、先人たちが積み重ねてきたものから少しづつ頭角を表していくものなのかもしれません。
入場は時間ごとに事前予約制(→
こちら)、15ユーロ(シニア・学生割引きあり)。当日券も空きがあれば購入可能ですが、毎日午後2~3時にはその日の入場枠が売り切れているようですので、予約なしで行く場合は早めの時間に行くことをお勧めします。
素晴らしいエキシビジョンだったので、私も開催中に2度、3度と足を運びたいと思いました。

ミュージアム・ショップにもフェルメールがいっぱい!(ちなみにこの「真珠の耳飾りの少女」は展示されていません)
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