
いくつか見た中でいちばん激しく、美しかった火
今から4年前、アランニット本の取材でイニシュモア(Inishmore, Aran Islands, Co. Galway)に滞在中、セント・ジョンズ・イヴの焚き火に偶然出くわしました。
(→過去ブログ:
焚き火と満月の夜…セント・ジョンズ・イブ(イニシュモア島))
セント・ジョンズ・イヴとは聖ヨハネの日の前夜祭。イエス・キリスト生誕(クリスマス)の6か月前である6月24日が洗礼者ヨハネの生誕日で、キリスト教ではその日は「聖ヨハネの日(St John's Day)」に定められています。
夏至に日が近いことから、キリスト教以前の習慣である夏至祭と結びつき、ヨーロッパや南米のカトリック国では前日の6月23日に前夜祭(イヴ)として火をたくなどしてこの日を祝う習慣があります。
有名なスペインのバレンシアの火祭りはこれにちなむもの。白夜になる北欧諸国で盛大に催しが行われるようです。
アイルランドでは西海岸地方にこの伝統が残り、各地で夜を徹して焚き火が行われます。
ケルトの不思議に興味深々の今回のグループのオーガナイザーさんにそのことをお話しし、セント・ジョンズ・イヴの夜に合わせてイニシュモア宿泊。14村それぞれの焚き火を見に出かけました。

イニシュモアでは夜9時から焚き火をたき始めます。夜9時はまだまだ明るく、子供も大人もピクニック気分

だんだん暗くなってきた…

海をバックに火を見つめるお客様たち

家族で小さな火を囲む人たちも

そしてここが島でいちばん大きな焚き火。焚き火のことは英語で「ボン・ファイヤー(bonfire)」と言いますが、語源は「Bone(骨)+Fire(火)」で、昔は動物の骨を燃やしたのだそう
「この村の火は情熱的ね」、「ここはちょっと物悲しい感じ」などとお客様とお話ししながらの焚き火めぐり。こうしてみると、火にもいろいろな表情があるものです。
人々はとってもフレンドリーで、地元行事を見物する私たちを歓迎してくれ、おいしい手づくりのスナックをふるまってくれる村も。
島中の焚き火を見て、最後に私たちが宿泊する村の火でしめくくり。ここでは日本の歌を歌わされ(「ふるさと」を歌いました)、お返しに村の長老らしき男性が素晴らしいシャンノース(アカペラの伝統歌)を披露してくれました。

風が強くなり、火の粉が闇夜に舞う様がこれまたきれい
4年前は満月の夜でしたが、今年は新月。闇夜の焚き火も幻想的で、あまりに暗いので、海をへだてた対岸のコネマラの村々で火をたく様子まで見えました。
原始の闇と火を垣間見たような気分。これまた忘れられない一夜となりました。
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