この話を書きかけたところで怒涛の日々がやってきてしまい、書き終えないままに半月も経ってしまいました。
もはや旬のトピックではなくなってしまいましたが、アイルランドという国を語る・知る上で大事なことだと感じているので書き留めておきます。
先月、アイルランドでは史上最年少38歳の新首相が誕生し、国内外で大きな話題となりました。
フランス大統領よりさらに1歳若いリーダーの誕生です。

前任のエンダ・ケニー首相辞任を受けて、6月初めに行われた与党フィナゲール(統一アイルランド党)の党首選で勝利したレオ・ヴァラッカー(Leo Varadkar)首相。写真は
Huffpost(2017年6月5日付)より
トリニティー・カレッジ卒業の医師。高校生の頃から政治活動に関わり、2004年に地方議会議員として政治界入りし、その3年後に国会議員に選出。2011年の政権交代でフィナゲールが与党となってからは運輸・観光・スポーツ大臣、厚生大臣、社会保護大臣を歴任。
このたび38歳という若さで首相に就任しましたが、話題となっているのは年齢だけではありません。父親がインドのボンベイ出身の移民2世であり、同性愛者であることをカミングアウトしている政治家でもあるのです。
社会的ハンディとされる、年齢、移民、ゲイという3つのハードルを越え、党首に選出されたわけですが、それをハンディとにさせないアイルランドという国の許容力が素晴らしい。
与党党首に選出された時のヴァラッカー首相のスピーチは、まさにこの国の多様性、平等性を全世界に知らしめるものでした。
今日の私の選出で明らかになったことがあるとすれば、この国には偏見が存在しないという事です。
父が新しい家庭を築くために5000マイル離れたアイルランドにやってきたとき、自分の息子が様々な違いを超越してその国の指導者となり、出自ではなく行動で判断されるとは夢にも夢にも思わなかったでしょう。
今ではアイルランドのすべての親が子供に大きな夢を抱くことができます。
IDA Ireland - アイルランド共和国史上最年少の首相に、ヴァラッカー氏、38歳 より転載
(←バラッカー首相の経歴、今回首相に選出されたことの意義がわかりやすく書かれています)
「今ではアイルランドのすべての親が子供に大きな夢を抱くことができます」
ヴァラッカー首相のこの言葉、勇気づけられますね。出所や生き方・考え方の違いではなく、その「行動」で人を判断する。
とても考えさせられる言葉だと思います。
かつてアイルランド人はアメリカなど国外の英語圏に大量に移民し、移民先の国を縁の下で支えてきました。差別されながらも努力と根性ではい上がり、移民先で名を残す偉業を多く成しとげています。アメリカとはとくに縁が深く、歴代アメリカ大統領の半数がアイルランド移民の子孫。
そんな歴史がアイルランド人のふところの深さ、違いを認め良いものを取り入れる柔軟性につながっているように感じます。
今回、本国アイルランドで移民2世の首相を誕生させたことは、先祖が乗り越えてきた数々の苦悩への大きなトリビュートであり、アイルランド人の人としての成熟度を物語る出来事であったように思います。
※関連過去ブログ:
アイルランド首相の移民を称えるスピーチが話題!
- 関連記事
-
コメント
ようはっぱ
アイルランドの歴史と地理と民族などの関係なんでしょうかね。
日本では今の段階では全く考えられません。
いわば、それが日本らしさでしょうか。
アイルランドに行って、実際にそんな空気感も感じたいです。
2017/07/07 URL 編集
naokoguide
お隣りのイギリスと比べても、自由で開放的な空気感。どんどん変わっていく、その変化を容認するキャパのある国だと日々感じています。
2017/07/08 URL 編集